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雨季、閑話

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街の半分が水に浸ってからしばらく。
だんだんこの状況にも慣れてきました。

「今日はもうやること終わってしまったし、何をしましょう」

ソファに寝転んだ視線の先には太刀魚の銀粉。
太刀魚の骨は武器に、身はおいしく食べるけど粘膜?の銀色はほとんど捨てるそうです。
鱗じゃないからなかなか絵の具や装飾にも使いづらいからだとか。
もったいないからとある分すべてもらいましたけど、どうしましょうか。

「そういえばこの前作った木のビーズ、あれが銀色だったらきっと女神様のかんざしみたいになりません?なんて良い考え!!」

となれば今やりましょう。時は金なり、アイデアはひらめいた時が食べ頃です!

そして木のビーズに少しの水で溶いた太刀魚の銀粉を塗り込める作業を繰り返すこと……どれくらいたったでしょう?
余っていた木のビーズが昔見せてもらった事のある、女神のかんざしの真珠みたいになりました!

「うまくできちゃいました……さしずめ太刀魚の真珠といったところでしょうか」
そのままだと水に弱いので良く乾燥させて、そのあとに先生から木工細工の時に使うようともらった木の腐食を防ぐコーティングをかければつやつやと輝くビーズの出来上がりです。

「これ楽しいですね、まだビーズはありますしたくさん作って先生をびっくりさせましょう。あ、そういえば雨季の後王宮に行く用事があるっておっしゃってましたし、そのときに使える正装用のかんざしでも作りましょうか。きっと先生の事だから服装には無頓着でしょうし……」

******

「本当に海の金粉がとれるとは」
同刻、別の部屋にて。
「きっと彼女の事だから正装用のかんざしもないだろうと思ったのだが、まさかここまでうまくいくとは……さて、細工は苦手だがやることとするか。モチーフはあれで良いだろう。良く似合うだろうな」

似た者師弟は、互いに互いがかんざしを持っていないだろうと考えて、同じ素材と向き合っていたのでした。
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