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再来即逆襲

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アルテ帝国の謁見の間は相変わらずというか、すごく成金趣味でちょっと居心地が悪かった。

いやぁ……すごいですね。
思わずため息をついてしまう。
そしてあの、カーテシーをしていてもなんとなく分かってしまう身に着けた装飾品の多さよ。
ぶれませんねぇ。

つつがなく挨拶を交わしていく。
ああ、ずっと頭を下げているから首のネックレスが地味にダメージが来ますね。

「ふん、そんなのは泥水でもすすらせておけ。こっちはそんなくだらんことをしている時間は無いんだ」

まあ丁重に扱われてつつがなく挨拶が進んでいく。
ここはこらえて神様に色々やってもらおうと考えていた時に今までのすべてを破壊してくれる言葉が降ってきた。

「まあ、お言葉をありがとうございます。追放されたけどあちらで聖女になりましたの。偽聖女と追放されたことで素敵な殿方にであうことが出来ましたし、お屋敷もお食事もなにもかもこちらにいたころのように不自由することなく優雅に生活しておりますわ。
私は慈悲深いですから、呪うなんてことは致しません。ただ、古い書物によると私が隣国の聖女になったことで少しばかり悪意のある方には副作用があるかもしれないとのことですけれど。」

あっ、やばい。気が付いたら流れるように反論しちゃった。
そう言って顔を上げると私の前に並ぶ人たち、もとい私を追放した人たちの顔が一気に青ざめたのが分かった。

「お、お前……あの、あの時の」

成金のおじ様、やっぱり今日もよく飾り立てていい成金具合でいらっしゃいますね?
あー、お隣のお坊ちゃんはあの時に色々読み上げたあの子かな?

「お久しゅうございます、みな様」
「あ、あああ、せ、聖女様!どうぞ愚かな私どもをお許しください!ああ、どうぞ」

えー、推定王様の隣の女性、ということで推定王妃様が平身低頭で許しを乞うてきた。
んー、まあ私がどうかしようと思わなくても神様の采配次第なんだよね。

「どうぞそんなことをなさらないでください。所詮は偽聖女として追放された身です」

あー、王様の顔がどんどん白くなっていますね?
なんか楽しくなってきちゃったなー。ふふふ。
さすがにこれからカミオが頑張る土壌を荒らしそうだからやめておきますけど。
どうせここで何しようとも神様が一度更地にしてくれるみたいだし。

「皆様にこれ以上お目汚しするわけにはいきませんので、これにて」
「い、いえもう少しせっかくですしお話を、その、お好きかと思いまして珍しいお菓子などもご用意致しましたので」
「いえ、この後は聖女の祈りの準備を行わねばなりませんので。これで失礼いたしますわ」

ああ、なんかちょっとだけすっきりしましたね。
さあ、この後は十分に休息を取って祈りの力を最大限発揮することにいたしましょう。
パーティーは派手にしなければ楽しくありませんからね?
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