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魔族の話と聖女の話
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それから回復して、国境を越えた私たちは森の中のお屋敷に滞在していた。
どうやら、王族所有の避暑地のひとつらしい。
そこで私は魔公国の聖女になるための準備として、魔族の性質やこの世界の事を毎日頭に叩き込むことになった。
ちなみに、魔公国では私が召喚されて追放されたアルテ帝国よりも技術は進んでるけど、帰ることが出来る技術は無いらしい。
会社の事はとりあえずあきらめて、もし帰ったらこの経験をそのまま本にして売り込むかな。
出版は不況だっていうけど、うまく書けばいわゆるなろうテンプレになりそうだし。
どうにかお金になったらまあいいかくらいの気でいる。
もちろん、色々あきらめのつかないこともあるけど、今帰れるわけじゃないし後で考えようと思うようになった。
「よし、覚えたか。確認するぞ」
今は色々覚えて、魔公国でやらかさないようにするのが先決だ。
アベルとカミオに日替わりで勉強?を見てもらっている。
今日はカミオだ。
「魔族の姿を魔力の高い順に」
「一番高いものが人型と獣形を自在に使えるもの、その次が獣形のみのもの、一番下が人型のみのもの」
「よし、では人型のみの魔族で国境近くの者の生態は」
「魔族同士で集落を作るほかに、人間の村にいることもある。ただ、言葉が通じないことが多い。手先が器用な傾向があって、魔族の名残として薬草などを集めることを得意とするため、ひっそりと薬師をやっていることも多い」
「よし、いい感じだな。赤ん坊の時から人間に育てられた場合はどうだ」
「魔族の幼児でも、小さいころから人間の言語に触れていれば学習する。速度は人間より少し遅れる。薬草を集めが得意な傾向は薄れるが、それでも人間の同年代と比べて得意と言って差しさわりないことが多い」
カミオが満足げに頷く。
とりあえず合格点らしい。
「じゃ~ん!今日はパウンドケーキやいたの!お勉強終わった?」
ドアが勢いよく開いたかと思うと、ふんわりといい匂いと共にアベルがラックを押してくる。
これはもうお茶にする気満々だ。
「まだ聖女の役割辺りはやってないんだが」
「そんなの、魔族は種を残す能力が人間より低いからその能力だけ人間から助けてもらう、って感じでよくない?
はい、おわり~!お茶にしよ!」
そうと決まればアベルは手が早い。
何かすごいことさらっと流された気がするんですけど。
なんて考えている間にあっという間にテーブルセッティングされて、それぞれに紅茶とパウンドケーキがサーブされた。
「あ、これナッツがいっぱい入ってる!―おいしい」
「そう、この前ドライフルーツ入れたときにリリィの反応が良かったでしょ?だから今度は好きだって言ってたナッツを入れてみようかなって。喜んでもらえて良かった~」
「え、天才だと思う。すっごいおいしい!」
がんばった後のおやつって、いつも思うけどなんでこんなにおいしいんだろう。
このところいっぱいおやつを食べちゃうし、ご飯もおいしいから少し体重が増えた気がする。
ここには体重計がないから、自分で触ったときの肉感とかでしか判断できないけど。
「ああ、そういえばね、父さんにリリィが聖女になる事の了承もらってきたよ」
「ああ、やっとか」
え?ああ、そういえばなんか魔公国の聖女にもなるって話でしたね。
「それで、お披露目なんだけど、ちょうどこの後アルテ帝国に使節団が行くじゃない?そこに先についてって、その後国内ってのはどうかなって思ってるんだよね。ね、リリィ」
「え、私も行くってことですか」
「そりゃ聖女はリリィしかいないもん。それに、一緒に行けばひどいことしたやつらに一泡吹かせられるよ?」
あ、それはすごい魅力的。
帰るのは半分あきらめかけてるけど、それを引き起こしてくれたやつらへの感情はなくなったわけではないからね。
「その顔してるってことは、オッケーだね。じゃあこの後はドレスとかを選ぶ時間にしようか。そのあたりはカミオに任せちゃおっかな」
「ああ、お前は服のセンスは壊滅的だからな。夕飯を頼む」
そのあとゆっくりお茶を楽しんだ、という事にはならず、なににしよっかな~と言いながら出ていったアベルと入れ替えに、何人ものお針子さんたちが入ってきてあらゆる採寸と色柄の好みの質問をされる。
何度もカミオの指示であれをつけてこれを取ってと着せ替え人形にされる。
「それではまた調整をしてまいりますね、お嬢様」
「出来る限り早く頼む」
「ええ、もちろんでございます」
お針子さんたちがすごいホクホクした顔で帰っていく。
着せ替え人形はもうクタクタだった。
「もう一生分ドレス着た。もうドレスなんて着ない」
どうやら、王族所有の避暑地のひとつらしい。
そこで私は魔公国の聖女になるための準備として、魔族の性質やこの世界の事を毎日頭に叩き込むことになった。
ちなみに、魔公国では私が召喚されて追放されたアルテ帝国よりも技術は進んでるけど、帰ることが出来る技術は無いらしい。
会社の事はとりあえずあきらめて、もし帰ったらこの経験をそのまま本にして売り込むかな。
出版は不況だっていうけど、うまく書けばいわゆるなろうテンプレになりそうだし。
どうにかお金になったらまあいいかくらいの気でいる。
もちろん、色々あきらめのつかないこともあるけど、今帰れるわけじゃないし後で考えようと思うようになった。
「よし、覚えたか。確認するぞ」
今は色々覚えて、魔公国でやらかさないようにするのが先決だ。
アベルとカミオに日替わりで勉強?を見てもらっている。
今日はカミオだ。
「魔族の姿を魔力の高い順に」
「一番高いものが人型と獣形を自在に使えるもの、その次が獣形のみのもの、一番下が人型のみのもの」
「よし、では人型のみの魔族で国境近くの者の生態は」
「魔族同士で集落を作るほかに、人間の村にいることもある。ただ、言葉が通じないことが多い。手先が器用な傾向があって、魔族の名残として薬草などを集めることを得意とするため、ひっそりと薬師をやっていることも多い」
「よし、いい感じだな。赤ん坊の時から人間に育てられた場合はどうだ」
「魔族の幼児でも、小さいころから人間の言語に触れていれば学習する。速度は人間より少し遅れる。薬草を集めが得意な傾向は薄れるが、それでも人間の同年代と比べて得意と言って差しさわりないことが多い」
カミオが満足げに頷く。
とりあえず合格点らしい。
「じゃ~ん!今日はパウンドケーキやいたの!お勉強終わった?」
ドアが勢いよく開いたかと思うと、ふんわりといい匂いと共にアベルがラックを押してくる。
これはもうお茶にする気満々だ。
「まだ聖女の役割辺りはやってないんだが」
「そんなの、魔族は種を残す能力が人間より低いからその能力だけ人間から助けてもらう、って感じでよくない?
はい、おわり~!お茶にしよ!」
そうと決まればアベルは手が早い。
何かすごいことさらっと流された気がするんですけど。
なんて考えている間にあっという間にテーブルセッティングされて、それぞれに紅茶とパウンドケーキがサーブされた。
「あ、これナッツがいっぱい入ってる!―おいしい」
「そう、この前ドライフルーツ入れたときにリリィの反応が良かったでしょ?だから今度は好きだって言ってたナッツを入れてみようかなって。喜んでもらえて良かった~」
「え、天才だと思う。すっごいおいしい!」
がんばった後のおやつって、いつも思うけどなんでこんなにおいしいんだろう。
このところいっぱいおやつを食べちゃうし、ご飯もおいしいから少し体重が増えた気がする。
ここには体重計がないから、自分で触ったときの肉感とかでしか判断できないけど。
「ああ、そういえばね、父さんにリリィが聖女になる事の了承もらってきたよ」
「ああ、やっとか」
え?ああ、そういえばなんか魔公国の聖女にもなるって話でしたね。
「それで、お披露目なんだけど、ちょうどこの後アルテ帝国に使節団が行くじゃない?そこに先についてって、その後国内ってのはどうかなって思ってるんだよね。ね、リリィ」
「え、私も行くってことですか」
「そりゃ聖女はリリィしかいないもん。それに、一緒に行けばひどいことしたやつらに一泡吹かせられるよ?」
あ、それはすごい魅力的。
帰るのは半分あきらめかけてるけど、それを引き起こしてくれたやつらへの感情はなくなったわけではないからね。
「その顔してるってことは、オッケーだね。じゃあこの後はドレスとかを選ぶ時間にしようか。そのあたりはカミオに任せちゃおっかな」
「ああ、お前は服のセンスは壊滅的だからな。夕飯を頼む」
そのあとゆっくりお茶を楽しんだ、という事にはならず、なににしよっかな~と言いながら出ていったアベルと入れ替えに、何人ものお針子さんたちが入ってきてあらゆる採寸と色柄の好みの質問をされる。
何度もカミオの指示であれをつけてこれを取ってと着せ替え人形にされる。
「それではまた調整をしてまいりますね、お嬢様」
「出来る限り早く頼む」
「ええ、もちろんでございます」
お針子さんたちがすごいホクホクした顔で帰っていく。
着せ替え人形はもうクタクタだった。
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