4 / 22
知らぬ間に
しおりを挟む
用意してくれたお風呂は狭かったけど、木の浴槽はぬくもりがあってよかった。
アリスさんが用意してくれたご飯も質素だけれどおいしかった。
「じゃあ、ここが今日の寝床だよ。本当に明日出発するのかい?」
「ええ、あまりお世話になってばかりいられませんから」
「そうかい?私たちはいいんだよ?」
「いえいえ、ありがとうございます。こんなによくしてくれて」
「いやいや、こんなんでお礼なんて本当に欲がないんだねぇ。寝床の藁が足りなかったら言っておくれ」
「はい、ありがとうございます」
「よく寝なよ」
「はい、おやすみなさい」
さすがにふかふかのベッド、とはいかなかったけど、アリスさんはまるでアルプスの少女みたいな寝床を用意してくれた。
今日も満足に寝られないかと思っていたのに、久しぶりの満腹とその安心感からかもう瞼が重い。
「ちゃんとご飯食べたの、こっちの世界に来る前の昼以来だもんな……」
意識を保とうにも、その力がもうなくなっていく。
私は明日の出発の考え事をする間もなく、眠ってしまった。
その頃、アリスさんと村長さんが大分葛藤してくれていたことなんて、知る由もなかった。
アリスさんが用意してくれたご飯も質素だけれどおいしかった。
「じゃあ、ここが今日の寝床だよ。本当に明日出発するのかい?」
「ええ、あまりお世話になってばかりいられませんから」
「そうかい?私たちはいいんだよ?」
「いえいえ、ありがとうございます。こんなによくしてくれて」
「いやいや、こんなんでお礼なんて本当に欲がないんだねぇ。寝床の藁が足りなかったら言っておくれ」
「はい、ありがとうございます」
「よく寝なよ」
「はい、おやすみなさい」
さすがにふかふかのベッド、とはいかなかったけど、アリスさんはまるでアルプスの少女みたいな寝床を用意してくれた。
今日も満足に寝られないかと思っていたのに、久しぶりの満腹とその安心感からかもう瞼が重い。
「ちゃんとご飯食べたの、こっちの世界に来る前の昼以来だもんな……」
意識を保とうにも、その力がもうなくなっていく。
私は明日の出発の考え事をする間もなく、眠ってしまった。
その頃、アリスさんと村長さんが大分葛藤してくれていたことなんて、知る由もなかった。
5
お気に入りに追加
396
あなたにおすすめの小説
私、実は若返り王妃ですの。シミュレーション能力で第二の人生を切り開いておりますので、邪魔はしないでくださいませ
もぐすけ
ファンタジー
シーファは王妃だが、王が新しい妃に夢中になり始めてからは、王宮内でぞんざいに扱われるようになり、遂には廃屋で暮らすよう言い渡される。
あまりの扱いにシーファは侍女のテレサと王宮を抜け出すことを決意するが、王の寵愛をかさに横暴を極めるユリカ姫は、シーファを見張っており、逃亡の準備をしていたテレサを手討ちにしてしまう。
テレサを娘のように思っていたシーファは絶望するが、テレサは天に召される前に、シーファに二つのギフトを手渡した。
嘘つきと呼ばれた精霊使いの私
ゆるぽ
ファンタジー
私の村には精霊の愛し子がいた、私にも精霊使いとしての才能があったのに誰も信じてくれなかった。愛し子についている精霊王さえも。真実を述べたのに信じてもらえず嘘つきと呼ばれた少女が幸せになるまでの物語。
婚約破棄され追放された聖女は冒険者になりました
もぐすけ
ファンタジー
私はルミエールといいます。聖女として頑張って来ましたが、聖女補佐のマリアンヌにハメられて、王太子から婚約破棄され、ゴブリンの拠点近くに捨てられました。
ゴブリンの手から何とか逃れ、同じように婚約破棄され、妹にハメられた悪役令嬢のステーシアと偶然出会い、二人で冒険者をすることになりました。
一方、王太子殿下は私の能力の凄さを遅まきながら知りましたが、後の祭です。後悔していると風の噂に聞きましたが、そんなの知りません。
通称偽聖女は便利屋を始めました ~ただし国家存亡の危機は謹んでお断りします~
フルーツパフェ
ファンタジー
エレスト神聖国の聖女、ミカディラが没した。
前聖女の転生者としてセシル=エレスティーノがその任を引き継ぐも、政治家達の陰謀により、偽聖女の濡れ衣を着せられて生前でありながら聖女の座を剥奪されてしまう。
死罪を免れたセシルは辺境の村で便利屋を開業することに。
先代より受け継がれた魔力と叡智を使って、治療から未来予知、技術指導まで何でこなす第二の人生が始まった。
弱い立場の人々を救いながらも、彼女は言う。
――基本は何でもしますが、国家存亡の危機だけはお断りします。それは後任(本物の聖女)に任せますから
仲良しのもふもふに理不尽な婚約破棄を愚痴ったら、国が崩壊することになりました
柚木ゆず
ファンタジー
あのね。殿下は聖女様に心変わりをされて、理不尽に婚約破棄をされちゃったの――。
はぁ。関係者全員に、罰が当たらないかなぁ――。
6年前無理やり私を婚約者にしたくせに、結婚式まで3か月となった今日一方的に婚約破棄を宣告されたこと。おまけにお父様達は殿下や陛下と取り引きをしていて、私を悪者に仕立て上げて追放する準備を始めたこと。
それらを私は、唯一の親友に――7年前に偶然助けたことで仲良くなった、ラグドールのノアに愚痴った。
そうしたら…………え!?
ノアはラグドールじゃなくて、神様が住む世界に居た神獣!?
これから神の力を使って、関係者全員に罰を与えに行く!?
ノアからビックリする秘密を聞かされて、そうして私の長い長い1日が始まったのでした――。
婚約破棄を目撃したら国家運営が破綻しました
ダイスケ
ファンタジー
「もう遅い」テンプレが流行っているので書いてみました。
王子の婚約破棄と醜聞を目撃した魔術師ビギナは王国から追放されてしまいます。
しかし王国首脳陣も本人も自覚はなかったのですが、彼女は王国の国家運営を左右する存在であったのです。
聖女が降臨した日が、運命の分かれ目でした
猫乃真鶴
ファンタジー
女神に供物と祈りを捧げ、豊穣を願う祭事の最中、聖女が降臨した。
聖女とは女神の力が顕現した存在。居るだけで豊穣が約束されるのだとそう言われている。
思ってもみない奇跡に一同が驚愕する中、第一王子のロイドだけはただ一人、皆とは違った視線を聖女に向けていた。
彼の婚約者であるレイアだけがそれに気付いた。
それが良いことなのかどうなのか、レイアには分からない。
けれども、なにかが胸の内に燻っている。
聖女が降臨したその日、それが大きくなったのだった。
※このお話は、小説家になろう様にも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる