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つかの間のやさしさ

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ガタゴトと運ばれること1週間。
小さな村に着くと私は馬車から下ろされて、そのまま村長の家に連れていかれた。

「村長、お久しぶりです。最果ての小屋に入れる者を連れてまいりました。」
「おうおう、良く来なさった。まあ、とりあえず座りなさい。」


どうやら、私は国外追放としてここより先、最果ての小屋と言われる場所に捨て置かれるらしい。
ただ、そこまで行くにはそこそこの体力が必要なのでこの村を拠点に休んでから行くことを許されている。

「そんなに過酷な道のりなんですか?」
「まあ、そこそこの魔物が出るときもあるからのう。まあゆっくりしていきなされ」
「それでは村長、私どもはこれで」
「はいはい、ごくろうさん。きぃつけてな」

「じゃあ、まずお風呂に入ってご飯を食べなさいな。」
村長の娘のアリスさんが声をかけてくれた。

「えっお風呂」

正直こんなボロさだとないと思ってた。
あ、五右衛門風呂かな。水風呂かな。

「うんうん、そうじゃの。今回は特に手荒い送り方だからのう。ゆっくり入ってきなされ」
あ~、村長さんいいおじいちゃん!

「じゃあこっちだよ、えっと、名前はなんていうんだい?」
あ、そういえばこっちに来てから一度も名乗ってないや。
ずっと私って言ってたし、あいつとかお前とかちょっとだけ聖女様とかだったからな。

「え、えっと、名前……あ、リリィと言います。」
「リリィね。こっちだよ」

変に勘繰られなくて良かった。
もうこれ以上は人の接触避けていきながら、困ったとき用に少し言い訳も考えとこう。
にしてももう戻れないかなぁ、会社……。
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