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街の偽聖女と言われて

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「ルーナ、今日も半日かけて小さい石ころか?」
「はい、申し訳ありません。」
「少しでも成長していればなぁ。ああ、もう下がっていいぞ」

私はルーナ。
10歳の時に聖女の適性判定を受けてからこの神殿で働いている。

さっき神殿長も言った通り、私は落ちこぼれだ。

お祈りは人より多く時間を取っても、祈りの聖杯はなかなか満タンにならない。
魔晶石への注入だって注入しようと色々試行錯誤してみても、半日で一番小さなサイズの注入が精一杯。
何をしても上手くいかないことばかりで、最近、街では偽聖女と呼ばれるようになってしまった。

「私、なんでこんなに皆みたいにうまく出来ないんだろう……。」

口に出さないようにと思っていても、ついいつも口に出してしまう。

先輩聖女たちは涼しい顔をして大きな魔晶石をいくつも作り上げてしまうし、お祈りも聖杯がすぐにあふれる。

「あら、ルーナ。魔晶石は終わった?お昼の準備をするからこっち手伝ってちょうだい。」

食事の手伝い、ということはお産のお祝いかお客様だ。
ここに来るまでに洗礼の準備はしていなかった、ということは。

「は、はい。今日はお客様ですか?」
「ええ、なんでも王都から急遽視察団の方々が来るとのことなの。食事もいつもよりちょっと豪華よ。」
「王都の方ですか、お口に少しでも合えばいいですが……」
「あら、そんなこと言いながらもうニコニコしちゃって。私の半分、明日の洗濯補助でどう?」
「え、いいんですか!わぁ、嬉しいです。」
「ルーナは本当にかわいいわねぇ。」
「そんな、リリアさんの綺麗さにはかないません。」
「ありがとう。さ、ちゃっちゃと準備しちゃいましょう」

来客のある時は少しお肉が増えて、食事の最後に小さなお菓子が付く。
私はそのお菓子がとても好きなのだ。
ああ、神様ありがとうございます。今日はちょっといい日かもしれません。
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