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コポポ村
ご対面
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ジャンヌの転送呪文によってヒュラト街から遙か北にあるコポポ村へやってきたナポレオンたちだったが。
「……さっっっっむい!!!」
それも当然だ。何しろ今は春だというのに、ここ、コポポ村は冬なのだから。
ナポレオンたちは冬用のコートや手袋を着用しているものの、急な気候の違いで耐性がついていないので、余計寒く感じていることだろう。
寒い寒いと言いながら村に入ると、普通に話している村人たちや遊んでいた子供たちが一変して静かになり、物珍しい目でナポレオンたちを見てきた。少し気味悪く感じていると、村人の一人が話しかけてきた。
「お前たち、旅の者か?」
「あ、ああ。マザーテレサに会いに来たんだ。この村にいると聞いたんでね」
ナポレオンがすぐに答えると、村人は首を傾げた。
「テレサ様に?なんの用で来たんだ?」
その問いにはジャンヌが答えた。
「私はテレサ様と同じ神を信じている者です。彼女は徳の高いお方です、神託を頂きたく参りました。彼らは私の付き添いです」
「ふーん、なるほどな。とりあえず、寒いだろ?この村の一番奥にある客人用の屋敷に案内する」
そう言って村人がついてこいと踵を返すと、三人はそのあとを追った。それを村人たちは未だにナポレオンたちを異形者を見るような目を向けていた。
辺りを見回すと、村人の人数と家屋がほかの村より極端に少ないような気がして、 レオンが口に出した。
「ほんとに小さな村だねー」
「ん?何だよ?レオン」
「だってさー、僕らが今案内されるのはこの村の一番奥、なんでしょ?その奥がもう目の前」
そう指で前方を差した。その方向を目で追うと、案内してくれた村人が屋敷の扉を開けて待っていた。中にはメイドが控えていた。常にここにいるようで、村人とナポレオンたちを見ると優しげに微笑んだ。
「テレサ様のお客様ですか?」
「はい、急な訪問をお許しください。神託を頂きたいのです」
「かしこまりました。お伝え致しますので、こちらでごくつろぎ下さいませ」
そう言ってメイドは案内してくれた村人にもてなすように伝えて屋敷を出て行った。
部屋の中には一人かけのソファーと三人かけのソファー、大きなテーブル、その横には小さめのキッチンがあった。どれも豪勢なものだ。
ナポレオンたちが適当に席に着いてくつろいでいると、村人がレモンティーを入れてテーブルに持ってきた。レオンは彼にお礼を言うと、先程から気になっていた村のことを尋ね始めた。
「そういえばさー、この村、すっごい小さいし、人口も少ないよね?」
「ああ。この村は昔から住んでるやつしかいないからな。それがこの村の掟みてえなものなんだよ」
「掟かー。じゃあ、この村には色んなしきたりがあるの?」
「ほかの村に比べたらあるだろうな。神教徒の村だから。そこの嬢ちゃんもそうなんだろ?」
クリスティアーヌは神を信じる神教神教の信徒のことだ。この世界は神によって作られ、人々は神から恩恵を受けていると考えており、神に感謝し、祀っているのだ。この村は宗教村だったのだ。それを聞いて、レオンも納得する。
「なるほど、クリスティアーヌは血筋を大事にするって聞いたことがあるよ。それでこの人数の規模の村なんだね」
「ああ。そして、神に選ばれ、神と会話できるテレサ様がいる。だからここにクリスティアーヌの客人がよく来るんだ」
「へぇ。じゃあ、急な訪問にも対応できるようにしてるってことねー」
そう言って、レオンは出されたレモンティーを啜った。
「……さっっっっむい!!!」
それも当然だ。何しろ今は春だというのに、ここ、コポポ村は冬なのだから。
ナポレオンたちは冬用のコートや手袋を着用しているものの、急な気候の違いで耐性がついていないので、余計寒く感じていることだろう。
寒い寒いと言いながら村に入ると、普通に話している村人たちや遊んでいた子供たちが一変して静かになり、物珍しい目でナポレオンたちを見てきた。少し気味悪く感じていると、村人の一人が話しかけてきた。
「お前たち、旅の者か?」
「あ、ああ。マザーテレサに会いに来たんだ。この村にいると聞いたんでね」
ナポレオンがすぐに答えると、村人は首を傾げた。
「テレサ様に?なんの用で来たんだ?」
その問いにはジャンヌが答えた。
「私はテレサ様と同じ神を信じている者です。彼女は徳の高いお方です、神託を頂きたく参りました。彼らは私の付き添いです」
「ふーん、なるほどな。とりあえず、寒いだろ?この村の一番奥にある客人用の屋敷に案内する」
そう言って村人がついてこいと踵を返すと、三人はそのあとを追った。それを村人たちは未だにナポレオンたちを異形者を見るような目を向けていた。
辺りを見回すと、村人の人数と家屋がほかの村より極端に少ないような気がして、 レオンが口に出した。
「ほんとに小さな村だねー」
「ん?何だよ?レオン」
「だってさー、僕らが今案内されるのはこの村の一番奥、なんでしょ?その奥がもう目の前」
そう指で前方を差した。その方向を目で追うと、案内してくれた村人が屋敷の扉を開けて待っていた。中にはメイドが控えていた。常にここにいるようで、村人とナポレオンたちを見ると優しげに微笑んだ。
「テレサ様のお客様ですか?」
「はい、急な訪問をお許しください。神託を頂きたいのです」
「かしこまりました。お伝え致しますので、こちらでごくつろぎ下さいませ」
そう言ってメイドは案内してくれた村人にもてなすように伝えて屋敷を出て行った。
部屋の中には一人かけのソファーと三人かけのソファー、大きなテーブル、その横には小さめのキッチンがあった。どれも豪勢なものだ。
ナポレオンたちが適当に席に着いてくつろいでいると、村人がレモンティーを入れてテーブルに持ってきた。レオンは彼にお礼を言うと、先程から気になっていた村のことを尋ね始めた。
「そういえばさー、この村、すっごい小さいし、人口も少ないよね?」
「ああ。この村は昔から住んでるやつしかいないからな。それがこの村の掟みてえなものなんだよ」
「掟かー。じゃあ、この村には色んなしきたりがあるの?」
「ほかの村に比べたらあるだろうな。神教徒の村だから。そこの嬢ちゃんもそうなんだろ?」
クリスティアーヌは神を信じる神教神教の信徒のことだ。この世界は神によって作られ、人々は神から恩恵を受けていると考えており、神に感謝し、祀っているのだ。この村は宗教村だったのだ。それを聞いて、レオンも納得する。
「なるほど、クリスティアーヌは血筋を大事にするって聞いたことがあるよ。それでこの人数の規模の村なんだね」
「ああ。そして、神に選ばれ、神と会話できるテレサ様がいる。だからここにクリスティアーヌの客人がよく来るんだ」
「へぇ。じゃあ、急な訪問にも対応できるようにしてるってことねー」
そう言って、レオンは出されたレモンティーを啜った。
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