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第1章 失われた命
6 残酷な事実
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ヒリュー「疑問なのは、今回は例年よりなぜかイケニエが2人も増えたという事実だ。なぜ神々はそんなことをしたのか?
君たち2人は気をつけたほうがいい。 神々はなんらかの理由があって君ら2人をイケニエに選んだ可能性があるかもしれない。
君らは政府からだけではなく、神々からも狙われているのだ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
カホ「タカト!タカト!」
タカトは、ハッ!とする・・・・
カホ「タカト、ちゃんと聞いてるの?今、丁寧に説明してくれてるのよ。」
タカトは、昨日ヒリュー将軍に言われたことが頭からずっと離れず、マーベルの校舎内の説明をちゃんと聞いていなかった・・・
カホ「ごめんね、タカトがボーッとしてて・・・」
マーベル「いや・・・・」
なんだか、知らないがマーベルは、かなり2人を警戒している様子だ・・・・・同時に2人に何やら、言い知れぬ怒りみたいなものも抱えてそうな様子だ。
【神技神術学校】の中は、想像以上に広かった。
中世ヨーロッパのお城をイメージしてもらえれば、わかりやすい。
レンガと鉄筋で造られた、いかにも頑丈そうなお城だった。
校舎内には、赤いマントに、革命軍が作ったと思われる制服に身を包んだ様々な年代の子供たちがいた。
恐らく、この学校の生徒だろう・・・
生徒たちは、タカトとカホを見かけると、口々に「ヒ!」と悲鳴を上げ、2人から距離をとって、ヒソヒソと恐ろし気に何か話している・・・
「あれって・・・大量殺人鬼の・・・」
「ああ、今、指名手配中の奴だろ?」
「ゼギウス府を呪った子供たち・・・」
「なんで、ここに・・・」
2人をまるで悪魔かのように、そんな噂話をしている。
タカト「まあ、無理もないか・・・・俺たちは今、お尋ね者だからな・・・・」
カホ「根も葉もない様なデマばかりを、人類新聞がながしているからね。」
タカト「だが、そんな情報を鼻から信じているようじゃ、ここの連中の頭もたかが知れているぜ。そんな調子じゃ、神々と闘う前に、やられちまうだろうな・・・・」
タカトは、周りの生徒を見下すように、そう言い放つ。
マーベル「!!」
マーベルは、その言葉にピクッと反応する・・・・
カホ「ちょっと、タカト!そんなこと言ってたら、また友達なんて出来ないわよ!」
カホは、心の中で、もう!と言いながら
今のタカトの発言で、マーベルが怒ってないか、確認するように会話を始めた。
カホ「あ、あの・・・マーベル君って言ったよね?君は、機械をいじったりするのが好きなの?」
マーベル「え?」
マーベルは、なんでそれがわかるの?と言わんばかりの目でカホを見る・・・
カホ「だって、君のポケットの中にはペンチやスパナ、ボルトが入ってるし、さっきもアカギさんに勝手に戦車を触ったりして怒られたって言われていたじゃん。
そんなに機械いじり好きなのかな~って・・・」
カホが微笑みながら、そう質問してきて
ドキ!
思わず、胸が激しく動くマーベル・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
マーベル「父さんは、革命軍の科学者だったんだ・・・・だから、僕も得意なだけ・・・ただ、それだけさ・・・」
マーベルは、顔が赤くなったのを見られないよう、背を向けながら、そう言った。
タカト「だったってことは・・・・今、親はどうしてんだよ?」
カホ「タカト!」
カホは、察しろ!と言わんばかりに、デリカシーの欠片もないタカトに強い声を上げる。
そして、それは禁断の質問だった・・・
マーベル「両親とも革命軍のスパイとして、ゼギウス府に潜入し、人類政府の動向を調査する任務の矢先、府内に神獣と天使が襲来した・・・・君らが、府内から逃げた日だ。
そして、僕の両親の死亡報告が来た。神獣に踏みつぶされて亡くなったと・・・・」
マーベルは、2人を思いきり睨んだ。
君らが、逃げなければ、あの日神々がゼギウス府に攻めてくることもなかった・・・・僕の親も死ぬ必要がなかった・・・・と言わんばかりの目で。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
タカト「そうか・・・・それは気の毒だったな・・・・」
と他人事のように言うタカト・・・・・
マーベルは、信じられない!と言わんばかりの顔でタカトを見た。
こいつ・・・人間の心はあるのか?
マーベル「僕の親だけじゃない!この学校にいる多くの生徒の中には、ゼギウスに親を残し、ここに来た子がたくさんいる。 君らの勝手な行動が、ここにいる多くの子の親を奪ったんだ!
それに対して申し訳ない、という気持ちはないのか?!」
マーベルは、感情を抑えきれずに、溢れ出る怒りを荒げた声に、のせてしまった・・・
タカト「だったらなんだ?謝ってほしいのか?人類のためにイケニエならず、勝手に逃げてしまって、すいませんって!
じゃあ、俺たちの命は踏み台か?黙ってされるがままに、お前らの親のためにイケニエになって死ねって言うのかよ?!」
タカトも完全に敵意むき出しで、言葉の攻撃をする。
マーベル「ああ!黙って人類の犠牲になって死ねばよかったんだ!」
頭に血がのぼったマーベルは、売り言葉に買い言葉のようにそう言ってしまった・・・
実際は、そんなこと思ってないのに・・・・
でも親を失ったやり場のない感情を、誰かにぶつけないと気が済まない・・・
その思いが勝ってしまったマーベル・・・・
タカト「お前らだってイケニエになるのが、死ぬのが嫌だったから、革命軍に入って、この学校に入学したんだろう?!
死にたくない気持ちは、お前らだって同じだろうが!なんで、それがわからねえんだよ?!」
それはわかっていた・・・・マーベルも・・・でも・・・・
タカト「あの天刑台で・・・・俺らと同じ年代の子供たちが、イケニエとなって、兵士に殺される悲鳴をお前は聞いたことがあるのか?
俺たちは、それを目の前で見ちまったんだぞ!それを見て、同じことが言えんのかよ?!」
わかってる・・・・わかってるんだよ・・・・でも・・・
誰かに感情をぶつけないと・・・・
誰かのせいにしないと・・・・
父さんと母さんを失った悲しみや怒りが、晴れないような気がしたんだ・・・・
タカト「それに・・・俺だって・・・・俺だって・・・・」
タカトは、その時・・・・
脳裏に、あの時、自分に話しかけてきた神との対話の記憶と、両親の涙に濡れた顔がよぎった・・・・
そうだ・・・・・
俺は、自分で親を殺したようなものだ・・・・
タカト「もう、親はいない・・・・・」
!!
マーベルは、ハッ!とっする。
そして、もう何も言えなくなったのか、2人の前から急いで走って去っていってしまった・・・・
そこにいるのが、耐えられなくなったのだ・・・・
カホ「マーベル君!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
辺りは急に静かになった・・・・
言い合いで真っ赤になった顔のタカトに近づくカホ・・・・・・
見ると、タカトは必死に涙をこらえている様子だったが、どうやら我慢できなかったらしい。
ポロポロと地に雫が落ちていた・・・
そんなタカトの様子を見て、冷静だったカホも思わず泣きそうになってしまった・・・・
カホはタカトの肩をギュッと抱きしめ、なるべく冷静さを保った声で、さとすようにこう言った。
カホ「起こった事実に関しては、【仕方なかった】で解決するしかないけど・・・・・
人の気持ちは【仕方なかった】じゃ解決することはできない。
大切な人を失った、やり場のない悔しい気持ちは、あなたが1番わかるはずでしょ?」
タカトは何か言おうしたが、返せる言葉がなかった・・・・
カホ「こんな事言う権利、私にはないかもしれないけど・・・・
痛みを分かち合う心を持たないと、いつまでも仲間なんてできないと思う。
私達が、逃げたことで、多くの人が亡くなったのは事実なのだから・・・・・
みんな、大切な人を・・・・・・・故郷をなくしている・・・・・・まずは、その痛みを互いに理解してからでないと、前には進めない。
神様と闘うにしても、故郷を取り戻すにしても・・・・・私たちは、1人じゃ何もできないんだから・・・・・
例え、人類新聞が私たちのデマを流していようと・・・・
その情報に振り回されて、みんなが私たちから遠ざかろうと・・・・
その心さえあれば・・・・いつか、きっと・・・・・」
タカト「んなもん理想論にすぎねえよ! 所詮、人間なんてバカなんだからよ!それに俺は仲間なんていらねえ!
そんなものなくたって、1人で戦える!」
カホの言っていることを理解できてはいる・・・・
そして、俺みたいに、すぐつっかかる奴が、上手くいかないことも・・・・
でも、どうしても素直に言うことを聞けねえ・・・・・
その時だった!
校舎内のどこからか、大きな鐘の音がなった・・・・
そして、大きな声で誰かが・・・・
「ただいまより、訓練を開始する!全校生徒は、いつもの場所に集まれ!」
君たち2人は気をつけたほうがいい。 神々はなんらかの理由があって君ら2人をイケニエに選んだ可能性があるかもしれない。
君らは政府からだけではなく、神々からも狙われているのだ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
カホ「タカト!タカト!」
タカトは、ハッ!とする・・・・
カホ「タカト、ちゃんと聞いてるの?今、丁寧に説明してくれてるのよ。」
タカトは、昨日ヒリュー将軍に言われたことが頭からずっと離れず、マーベルの校舎内の説明をちゃんと聞いていなかった・・・
カホ「ごめんね、タカトがボーッとしてて・・・」
マーベル「いや・・・・」
なんだか、知らないがマーベルは、かなり2人を警戒している様子だ・・・・・同時に2人に何やら、言い知れぬ怒りみたいなものも抱えてそうな様子だ。
【神技神術学校】の中は、想像以上に広かった。
中世ヨーロッパのお城をイメージしてもらえれば、わかりやすい。
レンガと鉄筋で造られた、いかにも頑丈そうなお城だった。
校舎内には、赤いマントに、革命軍が作ったと思われる制服に身を包んだ様々な年代の子供たちがいた。
恐らく、この学校の生徒だろう・・・
生徒たちは、タカトとカホを見かけると、口々に「ヒ!」と悲鳴を上げ、2人から距離をとって、ヒソヒソと恐ろし気に何か話している・・・
「あれって・・・大量殺人鬼の・・・」
「ああ、今、指名手配中の奴だろ?」
「ゼギウス府を呪った子供たち・・・」
「なんで、ここに・・・」
2人をまるで悪魔かのように、そんな噂話をしている。
タカト「まあ、無理もないか・・・・俺たちは今、お尋ね者だからな・・・・」
カホ「根も葉もない様なデマばかりを、人類新聞がながしているからね。」
タカト「だが、そんな情報を鼻から信じているようじゃ、ここの連中の頭もたかが知れているぜ。そんな調子じゃ、神々と闘う前に、やられちまうだろうな・・・・」
タカトは、周りの生徒を見下すように、そう言い放つ。
マーベル「!!」
マーベルは、その言葉にピクッと反応する・・・・
カホ「ちょっと、タカト!そんなこと言ってたら、また友達なんて出来ないわよ!」
カホは、心の中で、もう!と言いながら
今のタカトの発言で、マーベルが怒ってないか、確認するように会話を始めた。
カホ「あ、あの・・・マーベル君って言ったよね?君は、機械をいじったりするのが好きなの?」
マーベル「え?」
マーベルは、なんでそれがわかるの?と言わんばかりの目でカホを見る・・・
カホ「だって、君のポケットの中にはペンチやスパナ、ボルトが入ってるし、さっきもアカギさんに勝手に戦車を触ったりして怒られたって言われていたじゃん。
そんなに機械いじり好きなのかな~って・・・」
カホが微笑みながら、そう質問してきて
ドキ!
思わず、胸が激しく動くマーベル・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
マーベル「父さんは、革命軍の科学者だったんだ・・・・だから、僕も得意なだけ・・・ただ、それだけさ・・・」
マーベルは、顔が赤くなったのを見られないよう、背を向けながら、そう言った。
タカト「だったってことは・・・・今、親はどうしてんだよ?」
カホ「タカト!」
カホは、察しろ!と言わんばかりに、デリカシーの欠片もないタカトに強い声を上げる。
そして、それは禁断の質問だった・・・
マーベル「両親とも革命軍のスパイとして、ゼギウス府に潜入し、人類政府の動向を調査する任務の矢先、府内に神獣と天使が襲来した・・・・君らが、府内から逃げた日だ。
そして、僕の両親の死亡報告が来た。神獣に踏みつぶされて亡くなったと・・・・」
マーベルは、2人を思いきり睨んだ。
君らが、逃げなければ、あの日神々がゼギウス府に攻めてくることもなかった・・・・僕の親も死ぬ必要がなかった・・・・と言わんばかりの目で。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
タカト「そうか・・・・それは気の毒だったな・・・・」
と他人事のように言うタカト・・・・・
マーベルは、信じられない!と言わんばかりの顔でタカトを見た。
こいつ・・・人間の心はあるのか?
マーベル「僕の親だけじゃない!この学校にいる多くの生徒の中には、ゼギウスに親を残し、ここに来た子がたくさんいる。 君らの勝手な行動が、ここにいる多くの子の親を奪ったんだ!
それに対して申し訳ない、という気持ちはないのか?!」
マーベルは、感情を抑えきれずに、溢れ出る怒りを荒げた声に、のせてしまった・・・
タカト「だったらなんだ?謝ってほしいのか?人類のためにイケニエならず、勝手に逃げてしまって、すいませんって!
じゃあ、俺たちの命は踏み台か?黙ってされるがままに、お前らの親のためにイケニエになって死ねって言うのかよ?!」
タカトも完全に敵意むき出しで、言葉の攻撃をする。
マーベル「ああ!黙って人類の犠牲になって死ねばよかったんだ!」
頭に血がのぼったマーベルは、売り言葉に買い言葉のようにそう言ってしまった・・・
実際は、そんなこと思ってないのに・・・・
でも親を失ったやり場のない感情を、誰かにぶつけないと気が済まない・・・
その思いが勝ってしまったマーベル・・・・
タカト「お前らだってイケニエになるのが、死ぬのが嫌だったから、革命軍に入って、この学校に入学したんだろう?!
死にたくない気持ちは、お前らだって同じだろうが!なんで、それがわからねえんだよ?!」
それはわかっていた・・・・マーベルも・・・でも・・・・
タカト「あの天刑台で・・・・俺らと同じ年代の子供たちが、イケニエとなって、兵士に殺される悲鳴をお前は聞いたことがあるのか?
俺たちは、それを目の前で見ちまったんだぞ!それを見て、同じことが言えんのかよ?!」
わかってる・・・・わかってるんだよ・・・・でも・・・
誰かに感情をぶつけないと・・・・
誰かのせいにしないと・・・・
父さんと母さんを失った悲しみや怒りが、晴れないような気がしたんだ・・・・
タカト「それに・・・俺だって・・・・俺だって・・・・」
タカトは、その時・・・・
脳裏に、あの時、自分に話しかけてきた神との対話の記憶と、両親の涙に濡れた顔がよぎった・・・・
そうだ・・・・・
俺は、自分で親を殺したようなものだ・・・・
タカト「もう、親はいない・・・・・」
!!
マーベルは、ハッ!とっする。
そして、もう何も言えなくなったのか、2人の前から急いで走って去っていってしまった・・・・
そこにいるのが、耐えられなくなったのだ・・・・
カホ「マーベル君!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
辺りは急に静かになった・・・・
言い合いで真っ赤になった顔のタカトに近づくカホ・・・・・・
見ると、タカトは必死に涙をこらえている様子だったが、どうやら我慢できなかったらしい。
ポロポロと地に雫が落ちていた・・・
そんなタカトの様子を見て、冷静だったカホも思わず泣きそうになってしまった・・・・
カホはタカトの肩をギュッと抱きしめ、なるべく冷静さを保った声で、さとすようにこう言った。
カホ「起こった事実に関しては、【仕方なかった】で解決するしかないけど・・・・・
人の気持ちは【仕方なかった】じゃ解決することはできない。
大切な人を失った、やり場のない悔しい気持ちは、あなたが1番わかるはずでしょ?」
タカトは何か言おうしたが、返せる言葉がなかった・・・・
カホ「こんな事言う権利、私にはないかもしれないけど・・・・
痛みを分かち合う心を持たないと、いつまでも仲間なんてできないと思う。
私達が、逃げたことで、多くの人が亡くなったのは事実なのだから・・・・・
みんな、大切な人を・・・・・・・故郷をなくしている・・・・・・まずは、その痛みを互いに理解してからでないと、前には進めない。
神様と闘うにしても、故郷を取り戻すにしても・・・・・私たちは、1人じゃ何もできないんだから・・・・・
例え、人類新聞が私たちのデマを流していようと・・・・
その情報に振り回されて、みんなが私たちから遠ざかろうと・・・・
その心さえあれば・・・・いつか、きっと・・・・・」
タカト「んなもん理想論にすぎねえよ! 所詮、人間なんてバカなんだからよ!それに俺は仲間なんていらねえ!
そんなものなくたって、1人で戦える!」
カホの言っていることを理解できてはいる・・・・
そして、俺みたいに、すぐつっかかる奴が、上手くいかないことも・・・・
でも、どうしても素直に言うことを聞けねえ・・・・・
その時だった!
校舎内のどこからか、大きな鐘の音がなった・・・・
そして、大きな声で誰かが・・・・
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