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サムライ校での学園生活
【路上の神話】と呼ばれる男 ~朝本未春~
しおりを挟む大奥たち「へ~。頭も良いし、顔も悪くないから、私たちの派閥に入れてあげようと思ったのに・・・断るんだ。わざわざ、そんな生きにくい道を選ぶんだ?」
どうやら、リリは【大奥】の連中にメンバーにならないか?と誘われたらしいが・・・
それを断ったのだ。
恐らく、【大奥】たちはリリは、優秀だし美人だからメンバーに入れようと思ったのだろう。
だが、リリの性格上、どこかのグループに所属するなんてことはしないようだ・・・
リリ「わざわざのお誘いをけって悪いけど、私は人の表面や能力しか見ない人間にはなりたくないの。
自分が関わりたい相手は、自分で決めるわ。
もっとも他人を上から見下し、誰かを攻撃する時も群れてしかできない小心者や
孤独になる勇気もない愚かな子達とは一生関わることはないだろうけどね。」
リリが鼻で笑うように、そう言った。
大奥たち「随分、調子乗ってるじゃない・・・少し痛めつけないとわからないみたいね・・・」
大奥の中でも、特に【武】のクラスの女の子と思わしき連中が、かなりリリの挑発に苛立ってるようだ。
友愛「ヤバいよ、リリを助けにいこう!」
友愛が、リリを助けようと、いざこざに足を踏み入れようとする。
麗太「バカ!あんな奴助けなくたっていいよ!」
だが麗太は、友愛を止めた。
友愛「なんで?ケンカしてたって君の友達だろ?」
麗太「友達じゃないよ、あんなの・・・それにあいつは、ああいう強気な性格だから誰かに絡まれることも多いけど、そういう時は、いつも持ち前の頭の良さで切り抜けてきた・・今回だってなんとかなるさ。いいんだよ、あいつは。ずっと孤独で生きてるんだ、ずっと1人でいるのが楽しい奴なのさ・・・ほっとこうよ。」
友愛「でも・・・・・」
果たして、本当に孤独で楽しかったのだろうか・・・
友愛と始めて会った時のリリや、電車で一緒に話していた時のリリは、少なくとも1人でいる時よりはずっと楽しそうだった・・・
口では強がっていても、孤独は絶対に寂しいし、心細いはずだ。
強気で頭の良いリリは、みんなから誤解されやすいし、トラブルも多い人生だったんだろう・・・
だからって、友達になれないわけじゃないはずだ。
友愛「僕、やっぱ助けにいくよ!」
麗太「友愛!」
友愛は、ジッと見ているのが我慢できず、いざこざに介入しようとする。
孤独で戦ってるからこそ、心では泣いてるはずだ・・・・僕だってそうだった・・・
友愛はそう思い、駆け出す。
その時!
「大勢で1人の人をせめることは、弱い者イジメと聞いております。」
背の高い銀色の髪の女の子が、リリを守ろうと、いざこざの中に入っていった。
透き通るような目をした、リリと同じハーフっぽい美少女だ。
友愛「あの子って・・確か・・・」
友愛は、思い出した・・・・
確かあの子は、早朝の【光速反射訓練】の時に、まったく息切れもせずに走り続けていて、
トップで完走していた女の子じゃなかったっけ?
「弱い者イジメは、悪いことだと聞いております・・・・」
女の子は、【大奥】に囲まれている怖い状況でも常にロボットのように無表情だ・・・・
大奥たち「何よ、あんた・・・私達に逆らう気なの?」
大奥のメンバーの1人が、その子の制服の胸ぐらを掴む・・・・
だが、他の大奥のメンバーが、「そいつに喧嘩を売っちゃダメだ!!」と何故か凄い慌ててる・・・
「暴力はいけません。」
銀髪の女の子は、そう言ったかと思うと、胸ぐらを掴んだ子の手をヒュ!っと引っ張り
軽く投げ飛ばしてしまった・・・・
ドサ!
「暴力には制圧を・・と聞いております・・・」
いや、君のも立派な実力行使のような気がするんだけど・・・・
大奥たち「きゃあああああ!!」
大奥のメンバーは、その銀髪の女の子を恐れて、逃げてしまった・・・・
見かけの派手さに比べたら、随分、小心者だな・・・と思う友愛・・・
大奥が去っていったと同時に、リリが、まるで我慢していた感情を爆発させるようにワッと泣き出した。
「リリ様・・・大丈夫ですか?」
銀髪の女の子が、そっとリリに問いかける。
友愛「リリ!!」
友愛もリリに駆け寄る。
友愛は、なんだか自分に無性に腹が立った。友達がイジメられているのを見て、何もできなかったからだ。
リリは、泣き続ける・・・
そんなリリを見て、麗太はなんだか罪悪感にかられたような申し訳なさそうな顔をしていた・・・
リリは泣き晴らした赤い目で、麗太を見る。
リリと麗太の目があった・・・・・
だが、麗太は彼女を見ないように、そっぽを向いてしまう。
リリは、麗太のその行動にかなり傷ついたようで、ワッとまた泣き、思いきり駆け出して、どこかへ行ってしまった。
友愛「リリ!!」
友愛にも銀髪の女の子にも、もうリリを追うことはできなかった・・・
友愛「麗太、なんであんな態度を取るんだよ!!リリがすごい傷ついてるときに!」
友愛は、麗太に激しく怒ったが・・・
麗太も、その場に居るのが、いたたまれなくなったみたいで、逃げ去ってしまった。
友愛「まったく頑固なのはお互い様みたい・・・あ、あのリリを助けてくれてありがとう。君は・・・?」
友愛は、無表情でその場に立っている銀髪の女の子にお礼をして、同時に名前を聞いた。
レカミエ「申し遅れました・・・私は【桐谷レカミエ】と申します。小島友愛様と同じ【個】のクラスの生徒です。」
随分、丁寧な言葉遣いだな・・・敬称までつけてくれるし・・・それに立ち振る舞いも丁寧で、なんだか本当にロボットみたいだ・・
友愛「あ、僕のこと知ってるの?」
レカミエ「はい。この学校に来た時点で、全ての生徒、教職員の顔と名前は頭に入れております。戦場で標的の名前と顔を頭に入れておくのは、情報収集の基本であり、覚えておけと言われておりますから。」
友愛「はい?どういうこと?」
なんなの?この子?怖・・・・戦場では基本って何? どういう人生送ってきたの?
つーか、この学校って、出会う子出会う子、1人もまともな人いないやん・・・誰か助けて・・マジで・・・
その頃・・【武】のクラスの寮のフリースペースでは、強面の【武】のヤンキー生徒たちが授業をサボって、たむろしていた・・・
アメリカのラップ音楽を大音量でバンバンかけ、奇声を発して盛り上がっているヤンキーたち・・・
まるで、我が物顔のように、フリースペースを占領して、おらついている・・・
そのヤンキーたちのリーダー【朝本未春】は、13歳という年齢でサングラスをかけている・・
彼の全身から出る危険なオーラは、他のヤンキーたちとは違い、ただ者ではないことを示している・・・
小学生の頃から、365日ケンカに明け暮れる毎日を送り・・・
自ら修羅に身を投じ、クラスメイトも教師でさえも容赦なく血まみれにさせ・・・
ついたあだ名は【路上の神話】。
そんな朝本は、このサムライ校でもすぐに【武】のクラスの頂点にたち、そのケンカの強さとカリスマ性で
ヤンキーたちの頂点に立った。
その姿とオーラは、まさしく修羅の帝王のようだ・・・・
朝本「で、頼み事って?つまんねえ依頼だったら、ぶち殺すぞ。」
大奥たち「多分、面白い話だと思うんだけど・・・まずは聞いてよ。」
今、【大奥】たちは、朝本に【ある依頼】をしている所である。
朝本は、ぎらついた鋭い目で、【大奥】たちの話を聞く。
朝本「ほう・・お前ら【大奥】に立ち向かう骨のある奴がいるとはな・・・面白れぇ、そいつの顔を見たくなった。依頼を受けるかどうかはともかく、とにかくそいつの顔を見てやるとするか・・・」
ちなみに、朝本は、MMA(総合格闘技)のジュニアチャンピオンである・・・
朝本は、フリースペースに置いてあるサンドバッグに向かって強烈な鉄拳をバシ!と決める・・・
黒い一波乱が起こりそうな嫌な予感がする・・・
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