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サムライ校での学園生活

新たな出会いの始まり

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友愛「あ! う、うん・・・」

友愛は、一瞬声をかけられドキ!っとしたが、相手が自分と同じ新入生の子だとわかると安心した。


「君も置いてけぼりにされたの?」

メガネの男の子がそう問いかけてきた。


友愛「うん、そうなんだ・・・影が薄いせいか、みんな僕のこと置いてちゃって・・・」


「そっか・・僕もそうなんだ・・・あの良かったら、一緒に行動しない? 僕怖いんだ・・・1人で恐ろしい殺人鬼を探すなんて・・」


そりゃあ、みんなそうだ!



男の子は、友愛にすがるような目でそう頼んだ。

友愛はニコリと笑い


友愛「こっちから、お願いしたいぐらいだよ。」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




「僕は、海江田麗太っていうんだ。よろしく」

男の子は、そう名乗った。

「僕は、小島友愛。よろしくね。」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



友愛「なんか、着物って動きずらいよね。」

麗太「それな。でもなんか本当にサムライになった気分。」


2人は、そんな風に気軽に雑談をしながら、道を進む。

満月が多少、森を照らしてくれるが、やはり夜なのでほとんど道は真っ暗。

互いのスマホのライトで、前を照らして進むしかなかった。



誰かが隣にいてくれることは心強かった・・・

友愛は、気さくに会話してくれる麗太がありがたかった。

自分からは、会話の種も探し出せないし、そもそもコミュニケーションもあまり得意な方ではない。



友愛「そう言えば、僕らって今どこ歩いてるんだろう?」

麗太「安心して、パパが僕にここらへんの地図をメールで送ってくれてるから。」

友愛「え?そうなの?でも、僕さっき、この侍島をゴーグルマップで調べたけど、そもそも島の存在自体が表示もされなかったよ。【該当の場所は見つかりませんでした。】って・・・」

麗太「そりゃそうさ。サムライ校では秘密訓練や特殊な授業をやるからね。誰にもどの国にも、その詳細が知られないように特殊な警備システムやシールドを島全体に張ってあるから、衛星写真でも映らないようになっているんだ。」

友愛「え?じゃあ何で君のお父さんは、この島の地図を持ってるの?」


麗太は、少し申し訳なさそうな顔をして・・・


麗太「・・・・・・自慢みたいに聞こえたら本当にごめんね。僕のパパ、天道校長に信用されている玄勇会の会員で、衆議院議員の海江田俊介って言うんだ。」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



え?  パパが衆議院議員?



友愛「ええ!!」


麗太「知らないかな?自政党の政治家の海江田俊介・・・よくテレビで出てるんだけど・・・・」

友愛「あ! ああ知ってる!知ってる!なんか最近、政治家でYourtubeをやり始めたって人ってだよね?・・・え?もしかしてあの人が君のパパ?」


麗太は、少し恥ずかしそうに顔を赤らめて頷いた。



麗太は、政権与党である自政党(自由民政党)の政治家、海江田俊介の息子だった。

そして、祖父は元内閣総理大臣の海江田建造という大物政治家一族の長男なのだ。

そして、もっと遠い時代を遡れば、大久保利通と激しく論争を繰り返したと言われている【明治の影の立役者】と呼ばれた海江田政則が先祖。

つまり、海江田家は明治から100年以上続く華麗なる政治家一族であり、麗太はその家の由緒正しきお坊ちゃまなのだ。




麗太「あんなことやり出したら、また僕、みんなから、からかわれちゃうよ・・・・」


確かに、12歳の多感な時期に父親がYourtubeやってるなんて恥ずかしくてしかたないだろう・・・


友愛も政治家のYourtubeなんて珍しいと思い、麗太の父のチャンネルの動画を見たことはあるが、お世辞にも面白いとは言えなかった・・・

はっきり言って「おじさんが無理に若者の真似をしている」としか見えない・・・・

申し訳ないけど・・・・



麗太「パパは昔から、空気の読めないことばっかりやるんだ。そのせいで僕は、授業参観や学芸会で恥ずかしい思いばかりしてきたし、クラスでも『お前の父さん、頭悪いんじゃないの?』ってずっとからかわれてきたし・・・」

友愛「君も苦労してきたんだね・・・・」


友愛も麗太とはケースは違えど、周りからバカにされたり、イジメられてきた・・・・

弱々しい雰囲気や、運動ができなかったりすることからだ・・・

だから友愛は、かなり麗太と共感することもでき、寄り添えることもできた・・・



友愛「でも、すごいね、じゃあ君のお家はずっと政治家一族なんだ。」

麗太「うん、でも、それも玄勇会のおかげさ。海江田家が政界で落ちぶれてしまった時は、いつも玄勇会が支援してくれたんだ。だから海江田家はずっと政治家一族でいられたんだよね。うちの父さんは、玄勇会の中でも周りから白い目で見られ浮いているんだけど、そんな中でも天道会長だけは父さんと分け隔てなく接して信用もしてくれたみたい・・・」


そっか・・・あの天道っていう校長・・・玄勇会の会長でもあるんだ・・・・・


麗太「天道会長はパパを信用して、島の地図を渡したみたいなんだ。本来なら学校の教職員と島の管理をしている一部の玄勇会の幹部しか持っていない重要な地図なんだけど。パパはそんな大事なモノを僕に送ってくれたんだ。ありがたいんだけど、もしこれが玄勇会や学校にバレたら、パパすごい怒られちゃうよ。」

友愛「怒られるだけじゃすまないような気がするけど・・・・」

麗太「本当だよね。」


麗太はそう言いながら、スマホの画面をスクロールし、この侍島の地図を友愛に見せてくれる。


どうやら、麗太のパパが送ってくれた地図というのは、【侍島地図アプリ】というもので、【侍島だけを表示できる侍島に特化した地図アプリ】みたいらしい。

ゴーグルマップみたいに音声案内もしてくれるし、スクロールして、指定した範囲だけを拡大し、ストリートビューを見ることもできるみたいだ。

そして、現在地の場所も詳細に見れるみたいだ。



『まもなく天使村です。』 とアプリの音声案内が鳴る・・・・



友愛「天使村?」

麗太「なんか、わけのわからない所に来ちゃったみたいだね・・・・」


2人は、いつの間にかどこかわからぬ所へ来てしまったようだ・・・・



目の前に現れたのは、廃村となった集落のような場所だった・・・

ボロボロの立て札には、乱暴な文字で【天使村】と書かれている。


名前には、あまりに似つかわしくないとて~も不気味で恐ろしい雰囲気を放った場所だ・・・・



友愛と麗太の2人は、まるで得体の知れぬ何かに引っ張られるかのように、その村に入ってゆく。




そして、そんな2人に静かに近づく「黒い人影」があった・・・・































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