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12歳の少年がサムライになれる学校へ
みんなのお父さん ババ・バンガの大予言
しおりを挟む友愛は、数原さんの店で、実際に軍隊が訓練で使用するサバイバルナイフ、ミリタリーナイフを購入した。
友愛「あ、あの~美奈子さん、お金払ってもらったけどいいの?僕の教材なのに・・・」
美奈子さん「教材購入用のお金は事前にお母さんに頂いてるから気にしないで。大丈夫だよ。」
友愛「ああ、そうなんだ・・・・ていうか、美奈子さんってお母さんと知り合いなの?」
美奈子さん「そう、佐竹さんとの繋がりでね。」
それから、友愛は気になってることを、もう1つ聞いてみた。
友愛「数原さん、僕の名前を聞いた時、なんか驚いてたみたいなんですけど・・・美奈子さん何でかわかる?」
美奈子さん「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
質問に黙る美奈子さんは、少し悲しそうな顔して、友愛を見た。
友愛「美奈子さん?」
美奈子さん 「私も数原さんも、あなたのお父さんに助けられて、今ここにいるの。」
友愛「え?父さんを知ってるの?」
美奈子さん 「・・・・・・命の恩人よ。」
15年前・・・・
両親も他界し、頼る人がいなかった当時の私は人身売買業者に引き取られ、日本からイラクに売り飛ばされ、現地で強制労働させられていたわ・・・・
まだ、友愛君より小さかったのに・・・・幼くして世界に絶望したの。
私を助けてくれる人なんてもう誰もいないと思っていた。
でも、現地で私より少し年上だった同じ日本人のお兄ちゃんが言ってたわ・・・
「希望を無くすな・・・世界を変えてくれる勇者は必ずやってくる、だからそれまでの辛抱だ。
勇者は言ってたよ。【明日太陽が輝くためには、今は夜の星が必要なんだ。】と。」
「は、そんなの来るわけないじゃん・・・・そんな言葉で希望が生まれると思うわけ・・・」
この世に絶望していた私は冷たくそのお兄ちゃんに言ったわ。
でも、お兄ちゃんは確信があったみたい。
「来るよ・・・約束したもん・・・・」
そう、確かに希望は見えたの・・・米軍がイラクに侵攻してきて、イラクの腐敗政治を軍事的に潰し、国民や弱者は解放されたかに見えたわ。
でも、そこで見たのは新たな絶望だったの。
助けに来てくれたと思った米軍は悪魔だったわ・・・・
何の関係もないイラク国民や私たちみたいな外国の労働者を次々と殺す蛮行を行ったの。
そんな矢先のこと
突然、「約束が違う!」
と言う ある日本人男性の声が響いたわ・・・米軍と同じように軍隊の格好をした人だった。
その人が、米軍に「これ以上好き勝手に領土を荒らしていると国際問題になるぞ」と訴えたおかげで、
私たちの命は助かったの・・・
その人は日本人だった私を抱きかかえてこう言ったわ。
「もう、心配することはないお嬢ちゃん・・・・酷い世界は終わったよ・・・・大丈夫。君たちがもう2度と決してこんな辛い場所に行くことにならないよう私たち大人が日本を・・・いや世界を変えてみせるから・・・・」
友愛君、あなたのお父さんだったわ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
回想を語る美奈子さんの目には大粒の涙が溢れていた・・・・・
美奈子さん「そのお父さんの背中に憧れたバカが、当時私と働いていたそのお兄ちゃん、そう、数原さんだったの・・・」
友愛「そうだったんだ・・・」
そういうことだったのか・・・・だから数原さんは僕の名前を聞いた時、とっさに父さんの子だとわかって・・・
美奈子さん「数さんがなんで、あんなにいつも笑顔だと思う?」
友愛「え?」
美奈子さん「友愛君のお父さんが、どんな絶望の暗闇の中でも笑っていたからなの・・・・そう、太陽だったから・・・でも数さんは言ってたわ。【あの人みたいな本当の太陽は、あの人とあの人の息子ぐらいしかなることはできない存在だ。ライオンになれるのはライオンの息子だけのようにな・・・俺は太陽に憧れる無数の星の1つに過ぎない。】と少し寂しそうにね・・・
私も数原さんも、冬樹さんに少しでも恩返しを・・・いや恩を返せるなんて思ってないけど・・・冬樹さんの理想のお手伝いを出来ればと思って玄勇会に入ったの・・・数さんは戦場で・・・私はジャーナリストとして少しでも世界の闇に光を照らすために・・・
数原さんは、冬樹さんに憧れて高校生の頃から戦場に行ってるの。今じゃ本当に強すぎる傭兵として、世界各国の軍隊がこぞって彼を雇おうと引っ張りだこ状態・・・アフリカ、シリア、イスラエル、アフガニスタン・・・多くの紛争地域に行って数々の戦績を上げてきたわ。彼のおかげで、玄勇会が運営する傭兵組織や民間軍事会社は、世界から優秀だと言われるようになり、軍事ビジネスとして大成功したの・・・」
数原さんってそんなに凄い人だったんだ・・・あんなに明るく優しそうなお兄ちゃんなのに
そんな壮絶で凄い人生を送っていたなんて・・・
美奈子さん「友愛君のお父さんは、苦しんでいる人【みんなのお父さん】だったわ。お父さんが、いろんな顔を持っているのは後々知った。公安の捜査員に変装して、色んな事件を調べて、色んな人を助けていたことも・・・
お父さんからしたら、私たちは無数に助けてきた人間のたった1人か2人かもしれないけど、私からすれば
唯一信じることのできた立派な大人だった。
カッコつけたこと言って、戦災孤児だった私たちを助けてくれた永遠のヒーローなの。
だから、亡くなったと聞いた時は、ショックで目の前が真っ白になったの・・・」
父さんは死んでなかった・・・・
【明日太陽が輝くためには、今は夜の星が必要なんだ。】
その言葉に込められた父さんの魂は、父さんに命を救われた多くの子供たちにこうして受け継がれ、今も世界の理不尽な闇と闘っているんだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
美奈子さん「あ・・・ごめんね、しんみりした雰囲気にさせちゃって・・・」
友愛「いや、いいんだ・・・でも僕にできるかな・・・父さんみたいになれるのかな・・・サムライ校で【日本を守れるようなサムライ】になれるかな・・・今まで勉強も運動もできかったコンプレックスの塊みたいな僕が、父さんみたいに立派になれるかどうか・・・」
美奈子さん「・・・・・・・・・・・・・・・・」
美奈子さんは、悩みうつむく友愛の小さな顔の両頬を、元気づけるように優しく両手で触れ、そして
こう言った。
美奈子さん「父さんみたいになろうなんて思わなくていい・・・友愛君は友愛君!お父さんはお父さん!」
友愛「え?」
美奈子さん「サムライ校では、日本を守るためのサムライになるために多くのことを学ぶと思う・・・・でもね、私たちが望む未来はあなたたちが学んだことを使う必要がない世界なの・・・
友愛君やお父さんみたいなヒーローが必要ない世界、これを実現するために私たち大人は活動してるの。
大丈夫、あなたたちが卒業しても決して危険な現場に行くことにならないよう私たち大人が日本を、いや世界を変えてみせるから・・・・」
友愛「美奈子さん、父さんと同じ事言ってる。それに僕はヒーローなんかじゃないよ。」
友愛は、泣き晴らす美奈子さんに、微笑んでそう言った。
佐竹さんはこの事を知っていたから、美奈子さんを僕の案内人にしたんだ・・・・
母さんも、そのことを知っていたから、美奈子さんに信用して、教材のお金を渡したんだ・・・
美奈子さん「すっかり、話が長くなっちゃったね、ごめんね・・・・ジュース買ってくるわ、ちょっと待ってて」
美奈子さんが、涙を拭きながら小走りでジュースを買いに行ってくれた・・・・
なんか、知れば知るほど父さんって凄い人だったんだ・・・・・自分の父親のことなのに・・・こんなに知らないことが多いなんて・・・・
「悩める少年よ・・・・・」
な、なんだ!突然、ドスの効いたしわがれた声が後ろから聞こえてきた・・・・・
老婆?占い師みたいで、開かれた店の中央のテーブルに水晶玉が光っている。
「どうやら、自身の知らない広く大きな世界、そこで知る数々の真実に圧倒され戸惑っている様子だな・・・どれ私がこれからお前の将来を見てやろう・・・こっちへ来い・・」
す、すごい・・・・なんか知らんけど当たってる・・・・
姿格好は、いかにも昔ばなし出てくる怪しい妖怪みたいだけど・・・・もしかして魔女?
「安心せい、何もとって食ったりはせん・・・お前の未来を見てやるだけじゃ。」
その占い師の婆さんが、しつこく手招きするから、とりあえず水晶玉で【僕のこれから】とやらを見てもらうことにした・・・
「私の名はババ・バンガ・・・・今まで世界で起こった大事件や大災害などの出来事は、大体事前に当てておる大預言者様じゃ・・・わしに占ってもらうことを光栄に思え、小僧・・・ま、信じるか信じないかはお前次第じゃが・・・」
なんだ、急に上から目線やん、この婆さん・・・・
「どれどれ・・・お前の未来はと・・・・うん?うおおおおおおお!」
婆さんは水晶玉を覗き込んだ瞬間、突然、飛び上がって驚いた!
「ど、どうしたんですか!・・・・・・」
突然、婆さんは飛び上がり、友愛の前に膝まづいた。
「あ、あなたが・・・・この世界を救う本当の救世主様だったのですね・・・ご無礼お許しください・・・・太陽だ!まさに神だ!」
ど、どういうことー!
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