38 / 43
38
しおりを挟む
翌日──。
昼休み、お弁当を食べ終わって頬杖をついてぼんやりしていたら「座古くん」とクラスの女子に話しかけられた。
「ん?」
「座古くんに会いたいって二年の子が来てるよ?」
そう言われて教室の入口を見遣ると、開け放たれていた引き戸の傍に二年生の黄色のネクタイを着けた計良くんが立っていた。
何の用だろう……と、固唾を呑む。
そっと席を立って計良くんの傍までいくと、計良くんに教室の死角になるところまで促される。
また焚きつけるような瞳を俺に向けた。
「座古先輩、神くんを俺に返してくれません? 神くんがいないと欲求不満で仕方がないんですよ。別に、座古先輩と付き合ってても構いません。セフレとして俺に貸してくれません?」
付き合ってても構わない?
セフレとして貸す?
俺は計良くんの言っている旨がさっぱりわからず呆然とした。
だけど──。
「そんなこと、本気で言ってるの? 俺が、理生がそんなことを許すとでも思う? 一体、理生のことを何だと思ってるの? 理生は道具じゃない」
「道具ですよ。俺を気持ちよくさせてくれるオモチャです。それ以上でも、それ以下でもありません」
俺はカッとなって、ダメなんだってわかっていたけれど、気付けば計良くんの頬を平手打ちしていた。
「理生は道具じゃない。付き合ってても構わない? 貸す? 何をバカなことを言ってるの?」
計良くんが怒りを露わにした表情で俺に向かって手を振り上げた。
殴られる、と目をぎゅっと瞑った。
バチンッと大きな音が鳴って──。
昼休み、お弁当を食べ終わって頬杖をついてぼんやりしていたら「座古くん」とクラスの女子に話しかけられた。
「ん?」
「座古くんに会いたいって二年の子が来てるよ?」
そう言われて教室の入口を見遣ると、開け放たれていた引き戸の傍に二年生の黄色のネクタイを着けた計良くんが立っていた。
何の用だろう……と、固唾を呑む。
そっと席を立って計良くんの傍までいくと、計良くんに教室の死角になるところまで促される。
また焚きつけるような瞳を俺に向けた。
「座古先輩、神くんを俺に返してくれません? 神くんがいないと欲求不満で仕方がないんですよ。別に、座古先輩と付き合ってても構いません。セフレとして俺に貸してくれません?」
付き合ってても構わない?
セフレとして貸す?
俺は計良くんの言っている旨がさっぱりわからず呆然とした。
だけど──。
「そんなこと、本気で言ってるの? 俺が、理生がそんなことを許すとでも思う? 一体、理生のことを何だと思ってるの? 理生は道具じゃない」
「道具ですよ。俺を気持ちよくさせてくれるオモチャです。それ以上でも、それ以下でもありません」
俺はカッとなって、ダメなんだってわかっていたけれど、気付けば計良くんの頬を平手打ちしていた。
「理生は道具じゃない。付き合ってても構わない? 貸す? 何をバカなことを言ってるの?」
計良くんが怒りを露わにした表情で俺に向かって手を振り上げた。
殴られる、と目をぎゅっと瞑った。
バチンッと大きな音が鳴って──。
0
お気に入りに追加
56
あなたにおすすめの小説
肌が白くて女の子みたいに綺麗な先輩。本当におしっこするのか気になり過ぎて…?
こじらせた処女
BL
槍本シュン(やりもとしゅん)の所属している部活、機器操作部は2つ上の先輩、白井瑞稀(しらいみずき)しか居ない。
自分より身長の高い大男のはずなのに、足の先まで綺麗な先輩。彼が近くに来ると、何故か落ち着かない槍本は、これが何なのか分からないでいた。
ある日の冬、大雪で帰れなくなった槍本は、一人暮らしをしている白井の家に泊まることになる。帰り道、おしっこしたいと呟く白井に、本当にトイレするのかと何故か疑問に思ってしまい…?
くまさんのマッサージ♡
はやしかわともえ
BL
ほのぼの日常。ちょっとえっちめ。
2024.03.06
閲覧、お気に入りありがとうございます。
m(_ _)m
もう一本書く予定です。時間が掛かりそうなのでお気に入りして頂けると便利かと思います。よろしくお願い致します。
2024.03.10
完結しました!読んで頂きありがとうございます。m(_ _)m
今月25日(3/25)のピクトスクエア様のwebイベントにてこの作品のスピンオフを頒布致します。詳細はまたお知らせ致します。
2024.03.19
https://pictsquare.net/skaojqhx7lcbwqxp8i5ul7eqkorx4foy
イベントページになります。
25日0時より開始です!
※補足
サークルスペースが確定いたしました。
一次創作2: え5
にて出展させていただいてます!
2024.10.28
11/1から開催されるwebイベントにて、新作スピンオフを書いています。改めてお知らせいたします。
2024.11.01
https://pictsquare.net/4g1gw20b5ptpi85w5fmm3rsw729ifyn2
本日22時より、イベントが開催されます。
よろしければ遊びに来てください。
少年ペット契約
眠りん
BL
※少年売買契約のスピンオフ作品です。
↑上記作品を知らなくても読めます。
小山内文和は貧乏な家庭に育ち、教育上よろしくない環境にいながらも、幸せな生活を送っていた。
趣味は布団でゴロゴロする事。
ある日学校から帰ってくると、部屋はもぬけの殻、両親はいなくなっており、借金取りにやってきたヤクザの組員に人身売買で売られる事になってしまった。
文和を購入したのは堂島雪夜。四十二歳の優しい雰囲気のおじさんだ。
文和は雪夜の養子となり、学校に通ったり、本当の子供のように愛された。
文和同様人身売買で買われて、堂島の元で育ったアラサー家政婦の金井栞も、サバサバした性格だが、文和に親切だ。
三年程を堂島の家で、呑気に雪夜や栞とゴロゴロした生活を送っていたのだが、ある日雪夜が人身売買の罪で逮捕されてしまった。
文和はゴロゴロ生活を守る為、雪夜が出所するまでの間、ペットにしてくれる人を探す事にした。
※前作と違い、エロは最初の頃少しだけで、あとはほぼないです。
※前作がシリアスで暗かったので、今回は明るめでやってます。
ストレスを感じすぎた社畜くんが、急におもらししちゃう話
こじらせた処女
BL
社会人になってから一年が経った健斗(けんと)は、住んでいた部屋が火事で焼けてしまい、大家に突然退去命令を出されてしまう。家具やら引越し費用やらを捻出できず、大学の同期であった祐樹(ゆうき)の家に転がり込むこととなった。
家賃は折半。しかし毎日終電ギリギリまで仕事がある健斗は洗濯も炊事も祐樹に任せっきりになりがちだった。罪悪感に駆られるも、疲弊しきってボロボロの体では家事をすることができない日々。社会人として自立できていない焦燥感、日々の疲れ。体にも心にも余裕がなくなった健斗はある日おねしょをしてしまう。手伝おうとした祐樹に当たり散らしてしまい、喧嘩になってしまい、それが張り詰めていた糸を切るきっかけになったのか、その日の夜、帰宅した健斗は玄関から動けなくなってしまい…?
エレベーターで一緒になった男の子がやけにモジモジしているので
こじらせた処女
BL
大学生になり、一人暮らしを始めた荒井は、今日も今日とて買い物を済ませて、下宿先のエレベーターを待っていた。そこに偶然居合わせた中学生になりたての男の子。やけにソワソワしていて、我慢しているというのは明白だった。
とてつもなく短いエレベーターの移動時間に繰り広げられる、激しいおしっこダンス。果たして彼は間に合うのだろうか…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる