俺様執着男が忠犬になれと命じてくるがアンタに飼われる気などない

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（やっぱ……オッサンの優しいキス屈辱だ……）

　舌が入り込んでくるタイミングはやや性急だった。

　互いの唾液が混ざり合い、身体の芯に滑り落ちていくような、独占欲が滲んだ深いキスはどこまでも執拗だ。もはや舐められていない部分はないんじゃないかと思うほどに舌は咥内こうないを隅々まで這い回る。

　嚥下えんかしきれなかった唾液が口端から滴したたるが、それを舐め取ろうとしないところが京馬きょうまらしい。

　いつもの何十倍も優しくされている自覚はあるが……。

（こういうところが塩対応だよな……）

　だが、それすらも何だが愛おしくなってくるから、両想いってやつは不思議な魔法だ。

　口付けは徐々に下降して、顎を思い切り噛まれるので、「痛ぇよ！」と抗議すれば、京馬が紅あかい舌で己の濡れた唇を舐め取った。

　どうやら本当に唾液を拭ってくれる気はないようだと判断し、俺も口端を自らの指で拭う。  

「脱げよ、Ｔシャツ」

「優しく脱がす気はねぇのかよ」

「残念ながら趣味じゃない」

　チッと舌打ちして自らの服を脱ぎ捨てると、すぐにキスで伝播でんぱし、既に芯が通ったように硬くなっている胸の粒に思い切り爪を立てて引っ張られる。

「だから痛ぇって！」

　再び抗議すれば、今度は歯で引きちぎるように噛み付かれる。

「何かお前、優しく抱く気になれないんだよな。可愛げがないからか？」

「うるせぇよ！　俺に可愛げとか求めてんならやってけねぇぞ！」

「それは困った。優しくしよう」

　言って、京馬が慎ましやかな尖端を口に含み、吸われた後で舐められると背筋がぞくっとしたのも束の間、「摘つまみやすい形に尖ってるな」と辱める言葉を放つのでマジでムカつく。

　噛まれ続けていた突起が熱を持ち、色付いて唾液でてらてらと光り始めると、今度は「ぬるぬるして摘めない」とイチャモンをつけてきやがる。

「アンタ、やる気あんのか？」

「お前ほどにはやる気あるけど？」

　言葉と同時、（一応）キスと胸への愛撫で反応を示している下肢の象徴を握り込まれ、「しっかりやる気引き出してるだろ？」と得意げに宣のたまうのが腹立たしい。

（愛撫はろくでもねぇが、好きな奴に触られたらそうなるっつーの）