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 問うと、電話の向こうで九条さんがフッと笑いのような吐息を吐いたので、思わず「九条くじょうさん!」と声が荒ぶる。

「ある人に聞きました。最後に真夜まやを見たのは三週間ちょっと前に九条さんとタクシーに乗っていったところだって……。九条さんが真夜を捕まえてるんですか?」

『何だ……もうバレたのか? そうだよ。真夜は俺の家にいる』

「どういうことですか? 真夜は無事なんですよね? どうして九条さんのところに真夜がいるんですか?」

『言ったろ? 真夜は誰か一人を愛せなくて、でも宇大うたのことはマジになって葛藤して苦しんでた。だから俺が囲ったんだよ。これ以上真夜が苦しまないように。お前と一緒にさせておいたら、真夜はどんどん苦しむだけだから』

 囲っていたってそれは真夜に自由はあるのだろうか……。
 まさか監禁のようなことでもしているのか?

 連絡が一切取れなかったのも、やはり九条さんの指示によるものだったのだろうか。

 スマートフォンは取り上げられていると解釈するのがこの場合正解なのかもしれない。

 けれど、それより何より――。

「真夜に手出ししたりしていないですよね? ちゃんと無事でいるんですよね? どうしてそんな真似を? 真夜を俺に会わせてくれますか?」

 上司に対してこんな強い声音で問うのははばかられるけれど、真夜が絡んで、そして自由を拘束されているのかと思うと話は別だ。

 電話口で、九条さんは溜め息のようなものを吐いた。

『悪いけど……宇大に会わせるつもりはない』
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