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 いつも深夜二時頃帰宅して食事等を済ませ五時頃から十三時いちじまで就寝するのだが、今日は寝ずに真夜まやを待った。

 真夜が帰ってきたのは朝七時頃だった。
 結局、朝まで帰って来なかった現実に俺は打ちのめされていた。

「ただいま、宇大うたくん。起きてたの?」

「ああ……おかえり。起きて待っていると言っただろう?」

 すぐに真夜を抱きしめると十二月の寒空の下歩いてきたんだろう、ハイブランドのダウンジャケットを着込んだ真夜の身体は冷たかった。

 訊いてもいいのだろうか――。

 真夜が上着を脱いでソファに腰掛けるから隣に座って何も言わずゆっくり口接くちづけたのだけれど。

 真夜はブラウンの瞳を朧気に彷徨わせていた。

 何も喋ろうとしないので、毎晩そうしているようにそっと腕を引いて寝室に連れ込んだのだけれど、されるがままベッドに縫いとめられた真夜がポツンと呟いた。

「宇大くんさぁ……。騙されてるってそろそろ気付かない?」

「騙されている? 誰に?」

「宇大くんが俺に、だよ」
 
 帰って来て早々何を言い出すんだと、真夜の瞳を覗き込むと、その瞳はやけに冷たかった。

「俺が真夜に何を騙されているんだ?」

「……本気で宇大くんのことを好きになるとでも思った? 宇大くんみたいなさ、いかにも俺はノンケの真っ当な人間ですってプライドの高い人間見てるとイライラするんだよね。しかもそういう奴に限って俺を前にしてちょっとくわえてやれば簡単に堕ちる。言ったよね? 火遊びだって。宇大くんもこんなにちょろいとは思わなかったよ。もう少し楽しませてくれるかと思ってたのに残念。もうゲームにも飽きちゃった」

 真夜のどこまでもくらく冷たい造り物のブラウンの瞳が射抜くように俺を見つめていた。

 ――嘘の瞳で紡がれた言葉は嘘だよな……?
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