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 真夜まやの様子が日に日におかしいのは何となく気付いていた。

 一緒に居ても、身体を繋げていても、どこか不安気な瞳で縋るような眼差しを俺に向けてくることが多くなっていた……ような気がする。

 とはいえ、その眼差しだけで態度は変わらないし、俺のために甲斐甲斐しく世話を焼いてくれる様は、本当にさしずめ妻と言ったところだろう。

 けれど、どうしても何故そんな不安気な瞳を時折見せるのだろうということは俺も気になってはいた。

 いたけれど、直接それを問い掛けると、よくわからないけれど真夜が遠ざかってしまうような気がして追求は出来なかった。

(真夜は何か俺に対して不安を抱いていることがあるのだろうか……?)

 あるのかもしれないが、俺はこのまま波風を立てずに真夜と幸せな日々を送っていきたくて、真夜の気持ちを慮ることから逃げていたのかもしれない。

 真夜が俺を見つめる瞳は、何かを取り繕っているようで。

 いつか問い掛けられた『俺は幸せになれる?』という言葉の本心も量りかねているが、俺は言葉にせずとも態度で真夜に不安を抱かせないよう努めていたつもりだ。

 一人に縛られない生活を送って来た真夜が、今は俺だけを見てくれていることに優越感を覚えてもいたし、ずっとこの幸せが続いて欲しかった。

 だからこそ、俺は何も言わずとも無言で真夜を満たしてやりたかったし、そう行動していたつもりだったのだが。

 俺のこんな考えで真夜が苦しんでいることに、全く気付けてはいなかった。

 手放しで幸せだと思っていたのは俺だけだったのだと気付かされるのだが、それでも俺は真夜も幸せなのだと信じて疑っていなかったのだ。

 そんな些細な不安が具現化したのは翌日のことだった――。
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