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「このままベッドにバチコーン雪崩れ込んで愛を確かめ合いたいとこなんだけど……悪い。ただそばで眠ってくれないか? つっても俺、起きるの昼だから聖ちゃんの時間が許すまででいい……。実は今日さ――美聖さんと揉めちまったんだ……。そんで、ちょいと疲れてる」
「美聖と?」
「聖ちゃんに会わないで欲しい、遊ぶのはやめて欲しいって言われたから、遊びじゃねぇって言ったら、すげぇショック受けて帰らせちまったんだよ……。いつもならやんわりかわせたはずなんだけど、俺としたことが公私混同しちまって……聖ちゃんに会えなくて不安だったのは俺も一緒だったみてぇで。大事な客なのにすげぇ失態だ……」
時也さんは酷く落ち込んでしまっているようだけど、俺は心の底から多幸感に包まってしまったと言ったら最低だろう。
「……俺は、嬉しいです。時也さんにそんな風に言ってもらえて。でも、俺のせいで時也さんの仕事や周りまで不幸にさせてるのはやっぱり事実なんですよね……」
「だから聖ちゃんのせいじゃねぇって。頼むから、思い込みで俺から離れないで欲しいんだ。それだけ伝えたくて、今日は呼んだ。なぁ、聖ちゃん、添い寝してくれっか? 俺が眠るまで。癒されてぇー」
明日も昼から撮影が入っているけれど、出来る限りの時間を時也さんと過ごしたい。
「俺も癒されたいです」
それだけポツンと呟いたら、掠めるように唇を塞がれて寝室まで手を引かれ、寝そべった時也さんにぴたりとくっついたら、何か壊れ物でも扱うようにそっと抱きしめられた。
「おやすみ、聖ちゃん。目が覚めたらもういねぇんだって思うとかなり切ねぇー。今だけ夢を見させてくれ」
応えるように背中に腕を回したら、時也さんが額に口付けながら「聖ちゃんさえそばにいてくれたら、なんもいらない。覇王も恋して弱くなっちまったみてぇだ」なんて呟くから。
「弱いのは俺も一緒です。俺だって、時也さんを支えたい。頼りないかもしれないけど、俺の前では強がらないでください」
言いながら、時也さんを抱く腕に力をこめたら「泣かせんな、聖ちゃん」とギュッと出会ったグレーの瞳がぼやけていたのは気のせいだろうか。
(――俺のせいで時也さんが追い詰められてる……)
「美聖と?」
「聖ちゃんに会わないで欲しい、遊ぶのはやめて欲しいって言われたから、遊びじゃねぇって言ったら、すげぇショック受けて帰らせちまったんだよ……。いつもならやんわりかわせたはずなんだけど、俺としたことが公私混同しちまって……聖ちゃんに会えなくて不安だったのは俺も一緒だったみてぇで。大事な客なのにすげぇ失態だ……」
時也さんは酷く落ち込んでしまっているようだけど、俺は心の底から多幸感に包まってしまったと言ったら最低だろう。
「……俺は、嬉しいです。時也さんにそんな風に言ってもらえて。でも、俺のせいで時也さんの仕事や周りまで不幸にさせてるのはやっぱり事実なんですよね……」
「だから聖ちゃんのせいじゃねぇって。頼むから、思い込みで俺から離れないで欲しいんだ。それだけ伝えたくて、今日は呼んだ。なぁ、聖ちゃん、添い寝してくれっか? 俺が眠るまで。癒されてぇー」
明日も昼から撮影が入っているけれど、出来る限りの時間を時也さんと過ごしたい。
「俺も癒されたいです」
それだけポツンと呟いたら、掠めるように唇を塞がれて寝室まで手を引かれ、寝そべった時也さんにぴたりとくっついたら、何か壊れ物でも扱うようにそっと抱きしめられた。
「おやすみ、聖ちゃん。目が覚めたらもういねぇんだって思うとかなり切ねぇー。今だけ夢を見させてくれ」
応えるように背中に腕を回したら、時也さんが額に口付けながら「聖ちゃんさえそばにいてくれたら、なんもいらない。覇王も恋して弱くなっちまったみてぇだ」なんて呟くから。
「弱いのは俺も一緒です。俺だって、時也さんを支えたい。頼りないかもしれないけど、俺の前では強がらないでください」
言いながら、時也さんを抱く腕に力をこめたら「泣かせんな、聖ちゃん」とギュッと出会ったグレーの瞳がぼやけていたのは気のせいだろうか。
(――俺のせいで時也さんが追い詰められてる……)
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