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――己が不幸だと嘆くことが出来るのは、幸福とは何かを知るからである――
目を凝らして読む本は、数年前に図書館に受入されたソートナーヤ著「幸福論」だ。私営のこの図書館はさるお貴族様の私財を投じて運営されているらしく、平民が就職する上で役立つような勉学書と子供向けの娯楽書に偏り、あまり高度な学術書や論説論文の類は置いていなかった。そういった本を望むものは有料の公立図書館に行くのだろう。そんな図書館で著者本人の寄贈本である、この本の貸出履歴1番は彼女になったようだ。
「幸福って何かしら……」
自身は幸福とはなにか、知っているのだろうか?
木陰に座り込み本を凝視しながら彼女は己に問う。
マリアンナ・フォレスター・シンリーンはぼやけた視界で空を見上げた。
土を払い、本を籠に入れ、マリアンナは用事を済ませるために急ぐ。
籠の中に今日の晩と明日の朝食のための材料を詰め込むため、彼女は商店街を歩いた。肉屋魚屋八百屋に乾物屋と籠には沢山の食べ物がぎっしりと詰まっていった。お店でなにひとつ買っていないのに余り物だからとくれた食材もある。
最近は妹のために国から補助金が出され、彼女の身の回りのものや父母が必要と判断して購入した諸々からほんの少し余ったお金を食費として回してくれているので昔に比べて豪勢な食事を作れるようになった。
それでも商店街の人達は前と変わらずマリアンナが買い物に寄るといっぱいのオマケをくれる。
マリアンナはいつもいつもそんな優しい人達に感謝していた。
(今日は、そうね。鴨の燻製肉のクランベリーソースがけに、野菜をたっぷり入れたポトフと、きっとデザートを出さないとお母様とあの子が怒るわね。焼き菓子ばかりは飽きたって言われたけれど、クリームは高いしどうしようかしら……)
考えに没頭したからか、目の前が急に暗くなったのにも気づかず、彼女は何かに顔からぶつかった。
「ぼうっと歩いていたら危ないよ、マリー?」
「あら、その声はジル?」
優しく抱きとめられたマリアンナは、ぐっと眉間にシワを寄せて相手を捉えようとする。大きな手がその眉間のシワを揉んだ。
「そう、君のジルベールですよ。だからそんなふうに可愛いお目目を鋭くしようと頑張らないで?シワがついて消えなくなってしまうよ」
マリアンナは目がとても悪い。本を読むために紙に鼻がつくくらい顔を近づけなければならないし、人の顔どころか全体の輪郭もぼやけているため何となく人だろうな、何色だろうな、といったことしか判別が出来ないでいた。
分厚い眼鏡を持ってはいるのだが、あまりにも不格好だと先日母に取り上げられていたのだ。まぁ、その眼鏡があった所で人の顔を見ても目と鼻と口があるっぽいな、くらいにしか見えないのだが。棒が立って動いている世界よりかは数段マシにはなる。
「ごめんなさい、今夜の献立で悩んでいて」
「今日も君が?」
(声色は優しいけれど、私の家族に対する非難が混じっているのがわかるわ)
「私、お料理好きよ」
元々、あまりお金のない家だったのでできる家事は自分でしていた。マリアンナの家は落ちぶれた男爵家だ。商人として成功した祖先が男爵位を賜り、武人を輩出して一度は子爵になったが、その後功績が無く男爵位へと戻った。本当ならマリアンナの父の代で途絶えるはずだったが、妹のおかげでシンリーン家は男爵家として続くことになった。
補助金がいくらかはマリアンナは知らなかった。知っているのは妹の衣類やお稽古事に莫大な費用が掛かるらしく、家政婦や料理人、庭師を雇う余裕は無いということだけだ。
「君の手料理が食べてみたいな」
料理の話をする度、ジルベールに請われるがマリアンナは眉尻を悲しげに下げることしか出来ない。
「ごめんごめん、過ぎた願いだったね」
あまりお金のないシンリーン家において、食費は頑張れば抑えることが出来る費用の一つである。前よりも多く貰えようにはなったが、それは「可愛い娘に粗末な食事をさせないため」で、多く貰える分豪華さが求められるようになっただけだ。渡されたお金から毎日の食事をやりくりするために、やはり節約はかかせなかった。これほどに所望されるのだから、食べさせてあげたい気持ちはあるのだが、マリアンナが渡された財布の中身がそれを許さない。
食材を提供すると言われても、もしも家で作った料理を他所に持っていったことがばれるとその叱責は酷いものとなるし、「じゃあうちのキッチンで作ればいいよ!」と言われもしたが、視力の低いマリアンナが初めての場所で上手に料理を作るのは困難に思えた。
「君と一緒に毎食過ごせるようになりたいよ……」
ジルベールの甘い囁きを受けて、マリアンナはその腕の中で微笑んだ。
「行儀見習いに出られたら、是非配膳担当として雇ってちょうだいね」
気づいていないわけではない。ジルベールの想いも、自分自身の想いにも、気づいていないわけではない。
しかし、ジルベールの着る上等な騎士服は伯爵家以上でなければ入隊を許されない由緒正しい近衛のものだ。
男爵家の、しかも長女が縁を望んでいい相手ではない。マリアンナが結ばなければならない縁は、爵位を欲する金満家との縁である。
「マリアンナ、僕は」
「さぁ、早く帰って夕食の準備にとりかからなくっちゃ。支えてくれてありがとうジルベール。またね」
そっと優しい腕から逃れる。ふわりと香ったのは、いつもの沈丁花。栄光・勝利を花言葉に持つ、限られた階級のみが纏うことを許された香。
高みに立つその人の傍に居続けるからこそ匂い移ったと言う、頂点でなくともその高みに近いことを示す香り。
(ジルベールはたぶん王太子付き近衛兵……もしかすると王太子殿下本人の可能性もある……これ以上距離を縮めていい方ではないわ……)
「マリアンナ……」
切なげなジルベールの声に、マリアンナが重ねる言葉はいつも同じだ。
「さようなら、ジルベール」
いつだって、これが最後の言葉と思いながら紡いでいた。
「マリー!どこなのマリー!マリアンナ!!」
母親が上げる金切り声に、針仕事に熱中していたマリアンナは顔を上げた。
急いで屋根裏にある自室から、梯子を使って階下に降りる。
「お母様、ここに」
声がした方向は妹の部屋だと思ったので、そこに向かい開いているらしい扉の外から声をかけた。
すると、カツカツと響くヒールの音が近づき、ついでヒュッと空を切る音がして、マリアンナは咄嗟に右耳を塞いだ。
痛んだのは左頬で、右を打たれなかったことに安堵した。
「食器をさげたと思ったら何もしないですぐに引っ込んで!!明日は舞踏会があるって言ってあったでしょ!!」
聞いた記憶がなかった。けれどそれを言えば今度は背中を差し出すことになるだろう。マリアンナは小さな声で「申し訳ありませんでした」と謝った。
「明日の準備をいたします」
妹がこの家に来るにあたって改築された妹の部屋にある浴室から音がするので、多分湯船に浸かっているのだろうとマリアンナは推測した。
ならば彼女がやるべきは、ヘアケアと全身のマッサージ。ボディーオイルを使うので寝る前にシーツも交換しなくてはならないからまずはリネン室から換えを持ってくること。マリアンナの妹は翌日に着るドレスを部屋に飾って寝たがるので、マネキンを持ってきてドレスを着せなければならない。
(多分、クローゼットに見たことの無いドレスが入っているはず。それが今回用に作られたものだと思うから……触ってわかるといいけど)
マリアンナは眼鏡を取り上げられているし、安物のドレスはレーヨン製で燃えやすく火を近づけるわけには行かない。手触りと凸凹でデザインを判別しなくてはならなかった。
急いで準備を整えていく。幸い、ドレスは今までにない肌触りの良いものだったのですぐに分かった。もしかすると本物のシルクを使った高いドレスかもしれないと思い、いつも以上に神経を使ってマネキンにドレスを着せた。間違った着せ方はしていないだろうかとよく見えない目を凝らしてドレスに顔を近付けていると、浴室が開く音がした。
「いやだわ、部屋が寒い」
妹の声に、マリアンナはしまったと顔を歪めた。準備をするために何度もドアを開け閉めしたので暖気が廊下に逃げていたのだ。今は冬の終わりで日中はそこまで寒くはないが、夜はまだ冷える。
「マリアンナ!!」
母の叱責が飛ぶ。身をすくめると、妹の母をたしなめる声が優しく母にかかった。
「大丈夫よお母様、ほら」
マリアンナにはよく見えなかったが、妹が手を振り上げると、彼女の周りにキラキラと赤い光が舞った。
途端、部屋に温もりが満ちる。
「まぁ!流石はリアね!」
妹に補助金が出ている理由はここにある。彼女は、精霊に愛され、精霊の力を行使することが出来る。後には癒しの力も手にすると予言されていた。
「でも私が出来るのはここまで。ごめんなさいねお姉様、ここからはお姉様の御力が必要なの」
きっとマリアンナに似て、しかしマリアンナとはまるで似ていない輝いた笑顔で話しかけられたのだろう。マリアンナは薄く微笑み、こう返した。
「いいえ、世界一美しいお姫様をより輝かせるお手伝いが出来るなんてとても嬉しいわ」
と。
「ありがとう、お姉様」
マリアンナには見えないが、リアンは姉を馬鹿にして、白々しく言ってのけた。
目を凝らして読む本は、数年前に図書館に受入されたソートナーヤ著「幸福論」だ。私営のこの図書館はさるお貴族様の私財を投じて運営されているらしく、平民が就職する上で役立つような勉学書と子供向けの娯楽書に偏り、あまり高度な学術書や論説論文の類は置いていなかった。そういった本を望むものは有料の公立図書館に行くのだろう。そんな図書館で著者本人の寄贈本である、この本の貸出履歴1番は彼女になったようだ。
「幸福って何かしら……」
自身は幸福とはなにか、知っているのだろうか?
木陰に座り込み本を凝視しながら彼女は己に問う。
マリアンナ・フォレスター・シンリーンはぼやけた視界で空を見上げた。
土を払い、本を籠に入れ、マリアンナは用事を済ませるために急ぐ。
籠の中に今日の晩と明日の朝食のための材料を詰め込むため、彼女は商店街を歩いた。肉屋魚屋八百屋に乾物屋と籠には沢山の食べ物がぎっしりと詰まっていった。お店でなにひとつ買っていないのに余り物だからとくれた食材もある。
最近は妹のために国から補助金が出され、彼女の身の回りのものや父母が必要と判断して購入した諸々からほんの少し余ったお金を食費として回してくれているので昔に比べて豪勢な食事を作れるようになった。
それでも商店街の人達は前と変わらずマリアンナが買い物に寄るといっぱいのオマケをくれる。
マリアンナはいつもいつもそんな優しい人達に感謝していた。
(今日は、そうね。鴨の燻製肉のクランベリーソースがけに、野菜をたっぷり入れたポトフと、きっとデザートを出さないとお母様とあの子が怒るわね。焼き菓子ばかりは飽きたって言われたけれど、クリームは高いしどうしようかしら……)
考えに没頭したからか、目の前が急に暗くなったのにも気づかず、彼女は何かに顔からぶつかった。
「ぼうっと歩いていたら危ないよ、マリー?」
「あら、その声はジル?」
優しく抱きとめられたマリアンナは、ぐっと眉間にシワを寄せて相手を捉えようとする。大きな手がその眉間のシワを揉んだ。
「そう、君のジルベールですよ。だからそんなふうに可愛いお目目を鋭くしようと頑張らないで?シワがついて消えなくなってしまうよ」
マリアンナは目がとても悪い。本を読むために紙に鼻がつくくらい顔を近づけなければならないし、人の顔どころか全体の輪郭もぼやけているため何となく人だろうな、何色だろうな、といったことしか判別が出来ないでいた。
分厚い眼鏡を持ってはいるのだが、あまりにも不格好だと先日母に取り上げられていたのだ。まぁ、その眼鏡があった所で人の顔を見ても目と鼻と口があるっぽいな、くらいにしか見えないのだが。棒が立って動いている世界よりかは数段マシにはなる。
「ごめんなさい、今夜の献立で悩んでいて」
「今日も君が?」
(声色は優しいけれど、私の家族に対する非難が混じっているのがわかるわ)
「私、お料理好きよ」
元々、あまりお金のない家だったのでできる家事は自分でしていた。マリアンナの家は落ちぶれた男爵家だ。商人として成功した祖先が男爵位を賜り、武人を輩出して一度は子爵になったが、その後功績が無く男爵位へと戻った。本当ならマリアンナの父の代で途絶えるはずだったが、妹のおかげでシンリーン家は男爵家として続くことになった。
補助金がいくらかはマリアンナは知らなかった。知っているのは妹の衣類やお稽古事に莫大な費用が掛かるらしく、家政婦や料理人、庭師を雇う余裕は無いということだけだ。
「君の手料理が食べてみたいな」
料理の話をする度、ジルベールに請われるがマリアンナは眉尻を悲しげに下げることしか出来ない。
「ごめんごめん、過ぎた願いだったね」
あまりお金のないシンリーン家において、食費は頑張れば抑えることが出来る費用の一つである。前よりも多く貰えようにはなったが、それは「可愛い娘に粗末な食事をさせないため」で、多く貰える分豪華さが求められるようになっただけだ。渡されたお金から毎日の食事をやりくりするために、やはり節約はかかせなかった。これほどに所望されるのだから、食べさせてあげたい気持ちはあるのだが、マリアンナが渡された財布の中身がそれを許さない。
食材を提供すると言われても、もしも家で作った料理を他所に持っていったことがばれるとその叱責は酷いものとなるし、「じゃあうちのキッチンで作ればいいよ!」と言われもしたが、視力の低いマリアンナが初めての場所で上手に料理を作るのは困難に思えた。
「君と一緒に毎食過ごせるようになりたいよ……」
ジルベールの甘い囁きを受けて、マリアンナはその腕の中で微笑んだ。
「行儀見習いに出られたら、是非配膳担当として雇ってちょうだいね」
気づいていないわけではない。ジルベールの想いも、自分自身の想いにも、気づいていないわけではない。
しかし、ジルベールの着る上等な騎士服は伯爵家以上でなければ入隊を許されない由緒正しい近衛のものだ。
男爵家の、しかも長女が縁を望んでいい相手ではない。マリアンナが結ばなければならない縁は、爵位を欲する金満家との縁である。
「マリアンナ、僕は」
「さぁ、早く帰って夕食の準備にとりかからなくっちゃ。支えてくれてありがとうジルベール。またね」
そっと優しい腕から逃れる。ふわりと香ったのは、いつもの沈丁花。栄光・勝利を花言葉に持つ、限られた階級のみが纏うことを許された香。
高みに立つその人の傍に居続けるからこそ匂い移ったと言う、頂点でなくともその高みに近いことを示す香り。
(ジルベールはたぶん王太子付き近衛兵……もしかすると王太子殿下本人の可能性もある……これ以上距離を縮めていい方ではないわ……)
「マリアンナ……」
切なげなジルベールの声に、マリアンナが重ねる言葉はいつも同じだ。
「さようなら、ジルベール」
いつだって、これが最後の言葉と思いながら紡いでいた。
「マリー!どこなのマリー!マリアンナ!!」
母親が上げる金切り声に、針仕事に熱中していたマリアンナは顔を上げた。
急いで屋根裏にある自室から、梯子を使って階下に降りる。
「お母様、ここに」
声がした方向は妹の部屋だと思ったので、そこに向かい開いているらしい扉の外から声をかけた。
すると、カツカツと響くヒールの音が近づき、ついでヒュッと空を切る音がして、マリアンナは咄嗟に右耳を塞いだ。
痛んだのは左頬で、右を打たれなかったことに安堵した。
「食器をさげたと思ったら何もしないですぐに引っ込んで!!明日は舞踏会があるって言ってあったでしょ!!」
聞いた記憶がなかった。けれどそれを言えば今度は背中を差し出すことになるだろう。マリアンナは小さな声で「申し訳ありませんでした」と謝った。
「明日の準備をいたします」
妹がこの家に来るにあたって改築された妹の部屋にある浴室から音がするので、多分湯船に浸かっているのだろうとマリアンナは推測した。
ならば彼女がやるべきは、ヘアケアと全身のマッサージ。ボディーオイルを使うので寝る前にシーツも交換しなくてはならないからまずはリネン室から換えを持ってくること。マリアンナの妹は翌日に着るドレスを部屋に飾って寝たがるので、マネキンを持ってきてドレスを着せなければならない。
(多分、クローゼットに見たことの無いドレスが入っているはず。それが今回用に作られたものだと思うから……触ってわかるといいけど)
マリアンナは眼鏡を取り上げられているし、安物のドレスはレーヨン製で燃えやすく火を近づけるわけには行かない。手触りと凸凹でデザインを判別しなくてはならなかった。
急いで準備を整えていく。幸い、ドレスは今までにない肌触りの良いものだったのですぐに分かった。もしかすると本物のシルクを使った高いドレスかもしれないと思い、いつも以上に神経を使ってマネキンにドレスを着せた。間違った着せ方はしていないだろうかとよく見えない目を凝らしてドレスに顔を近付けていると、浴室が開く音がした。
「いやだわ、部屋が寒い」
妹の声に、マリアンナはしまったと顔を歪めた。準備をするために何度もドアを開け閉めしたので暖気が廊下に逃げていたのだ。今は冬の終わりで日中はそこまで寒くはないが、夜はまだ冷える。
「マリアンナ!!」
母の叱責が飛ぶ。身をすくめると、妹の母をたしなめる声が優しく母にかかった。
「大丈夫よお母様、ほら」
マリアンナにはよく見えなかったが、妹が手を振り上げると、彼女の周りにキラキラと赤い光が舞った。
途端、部屋に温もりが満ちる。
「まぁ!流石はリアね!」
妹に補助金が出ている理由はここにある。彼女は、精霊に愛され、精霊の力を行使することが出来る。後には癒しの力も手にすると予言されていた。
「でも私が出来るのはここまで。ごめんなさいねお姉様、ここからはお姉様の御力が必要なの」
きっとマリアンナに似て、しかしマリアンナとはまるで似ていない輝いた笑顔で話しかけられたのだろう。マリアンナは薄く微笑み、こう返した。
「いいえ、世界一美しいお姫様をより輝かせるお手伝いが出来るなんてとても嬉しいわ」
と。
「ありがとう、お姉様」
マリアンナには見えないが、リアンは姉を馬鹿にして、白々しく言ってのけた。
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