7 / 10
第7話
しおりを挟む 急転する事態に、冬樹はぽかんとただ口を開けていた。
目の前で繰り広げられている光景を信じることが出来ない。
「怪獣…大闘争……?」
最初は人型で殴り合っていたのだが、クトーのパンチが不岩の顔に炸裂した瞬間、不岩が土竜に変化した。まるでごつごつした岩そのもの。見た目は絶滅したと言われる草食性の恐竜、ヨロイ竜下目が一番近い。
不岩の変化に呼応するかのように変化したクトーのそのフォルムだけを見れば猫科の動物に見える。いや、長く牙が突き出しているので、こちらも絶滅したと言われているサーベルタイガーそのものだった。しかし、肌は猫と違い毛ではなく赤黒い鱗で覆われている。
そんな二頭の巨大な竜が、眼前で大暴れしているのだ。
冬樹が呆然としてしまうのも致し方が無い。
「どうしよう……」
クトーが応戦している理由はなんとなくわかる。しかし、冬樹には温厚な不岩がクトーに殴りかかった理由がわからない。その為どうすればこんなことを止めてくれるのか思い浮かばなかった。
「……どうしようもない?」
そんな結論に至り、冬樹は玄関の前で座り込んだ。
怪獣二頭が暴れていては、近隣住民が恐怖に慄きすぐに討伐隊でも呼ばれてしまいそうなものだが、街へはクトーが竜体になって四半日は駆けないと着けないらしく、この家がかなり山の奥深くにあることはわかっていたので心配しないことにした。
「クトーがんばれー、不岩さま負けるなー」
なんとなく声援を送りながら堪えられず欠伸する。
怪獣二頭がどったんばったんと暴れているせいで雪は溶け木々は倒れ……山に棲む動物達からすると相当の奇禍だろう。
冬樹はしばらくぼけっと見ていたが、服がポカポカと暖かいのもあり堪らず眠りに落ちてしまった。
「……い!フユキ!」
ここ最近聞きなれた、と言うより唯一聞いていた人の声に冬樹は眠りの淵から浮上する。
目を開けると泥に塗れた男が二人。一人は目元に青痣をこさえていた。クトーだ。人型で殴り合っている時は不岩のほうが劣勢だった筈だし、竜体ではクトーの鋭い爪攻撃を受けていたはずだが不岩に怪我は見当たらない。
「ぁ……おわった?」
寝ぼけ眼でそう聞くと、片方からはため息、もう片方からは苦笑が聞こえてきた。
「お前な、普通止めるとかしねぇ?まさか寝こけてるとは思わなかったぞ……?」
「冬樹らしいと言えばらしいですけどねぇ」
「えっと…ごめんなさい?」
特に考えもせずに謝れば先ほどと同じように二人がため息と苦笑を零す。
「それで……満足した?」
殺気立った雰囲気が無くなっているので冬樹はそう聞いてみた。多分二人が殴りあったのは友情物語に良くある、拳で語り合うを実演したのだろう。
「あー……よくわかんねぇけど」
「私は…諦めました」
二人の返答に冬樹は首を傾げる。
「どうも、クトーと一緒にいると青臭い感情が思い出されると言うか……もういい大人なのだと言うことを忘れていました」
「それこそよくわかんねぇんだけど?」
「自分の中で決着はついたので、もういいんですよ」
「はぁ?お前って相変わらず自己完結型だよな。それにこっちを巻き込むなっつの」
「否定はしませんが、今回はクトーのせいですから」
「あぁ!?」
クトーがあの濁点がふんだんに盛り込まれた声で不岩を睨む。それでも空気が柔らかいので、きっと解決でいいのだろう。
「……冬樹は、ここに残るつもり…なんですか?」
急に真面目な顔で聞いてくる不岩に、冬樹は考える。
寂しい人生を歩んできた訳ではない。仕事では頼られることもあるし、友人もそれなりにいる。きっと皆心配しているはずだ。
けれど、クトーの傍を離れ難くも思う。この雪山に一人、ずっと一人で生きているクトーの傍に居たいと思ってしまう。ぶっきらぼうだけど純情で優しくて、人のぬくもりを初めて知った人に、自分がそのぬくもりを分け与えることが出来る。それが、今までの人生の中で知らなかった感情を冬樹に齎していた。
「私…クトーの傍に居たいです」
「フユキ……」
クトーが、熱い吐息を漏らす。熱を孕んだ瞳が柔らかく蕩ける。
「そう、ですか」
「だから……、私シャラントに帰ります」
「「は?」」
面白いくらいぴったりと二人の声が重なった。
「おまっ、今俺の傍に居たいって言ったその口で何言ってんだ!?」
「え?だから、シャラントに帰るって」
「俺の傍にいるんだろ!?」
クトーが詰め寄り、強く冬樹の肩を掴んだ。その瞳は怒っているようにも見えるが、奥に怯えが潜んでいる。
「うん」
「っぁ……なら、いいけど」
「だから、シャラントに帰るね」
「……っ!わっけわかんねぇ!!」
二人は意思疎通が図れていない。クトーは冬樹が己の傍に在ることを望んでくれたことが嬉しかった。しかし、帰ると言い出したことが理解出来ない。まるで正反対のことを言っているとしか思えないからだ。冬樹は、クトーの傍に居ることを決めた。だからこそ、きちんと今までの生活を清算してからクトーのところに戻ってくるつもりなのだ。しかし、クトーは短絡的で冬樹は言葉が足りない。
「帰さねぇぞ!」「それは困る」の問答を繰り返す二人に、不岩は苦笑を漏らす。
「クトー、もう少し冬樹の考えを読み取る努力をして下さい。冬樹は、相変わらず言葉が足りないですがそこがあなたの可愛い所だから直さなくていいですからね」
昔からそうだったが不岩は冬樹の考えがわかる。周りが良くわからないと言う顔をする度に、自分だけが冬樹の考えがわかっていることに、小さな優越感を抱いていた。
自分の下に、この可愛い助手が帰ってこないというのなら、私から彼女を捕って行くと言うのなら、精々振り回されるがいい。それぐらいの意趣返しは、許してもらえるだろう。
そう考えて、不岩は冬樹の肩を掴むクトーの手を払う。
「それでは、帰りましょう。ここから少し降りたところにヘリを用意してありますから、先に行っていてください」
「あ、はい」
素直に返事をして、山を降ろうとする冬樹にクトーが手を伸ばす。しかし、その手は不岩にガシリと掴まれたせいで冬樹には届かなかった。
「それじゃ、またねクトー」
またねとは何だ?帰るくせに、もう来ないくせに!沸々と怒りが湧き上がる。
「クトー、熱いですよ。落ち着きなさい」
「あぁ!?これが落ち着いてられるかっ!」
凄い熱がクトーから立ち上っている。岩峰の竜である不岩でさえ、掴んだ手首から伝わる熱で火傷しそうな程だった。
「山を融かすつもりですか?そんな風に憤る暇があるのなら、家を増築するなり建て替えするなりしたらどうですか?」
「あぁ!?」
「輿入れの前に、お世話になった方々に挨拶をするのは当たり前でしょう。仕事も辞表を出さなければいけませんし、引継ぎの問題もあるのですから」
「あぁ……?」
これだけ言ってもわからないのだろうか?不岩が珍しく眉を顰めてクトーを見ると、良くわからないと言った表情が、ゆっくりと変わっていく。目をまん丸に見開き頬に熱が上がっていく。
「……わかったみたいですね」
やれやれと、不岩がクトーの手を離すと、
「……わっかりづれぇ!!!!!」
雪山に、クトーの獣染みた咆哮が木霊した。
目の前で繰り広げられている光景を信じることが出来ない。
「怪獣…大闘争……?」
最初は人型で殴り合っていたのだが、クトーのパンチが不岩の顔に炸裂した瞬間、不岩が土竜に変化した。まるでごつごつした岩そのもの。見た目は絶滅したと言われる草食性の恐竜、ヨロイ竜下目が一番近い。
不岩の変化に呼応するかのように変化したクトーのそのフォルムだけを見れば猫科の動物に見える。いや、長く牙が突き出しているので、こちらも絶滅したと言われているサーベルタイガーそのものだった。しかし、肌は猫と違い毛ではなく赤黒い鱗で覆われている。
そんな二頭の巨大な竜が、眼前で大暴れしているのだ。
冬樹が呆然としてしまうのも致し方が無い。
「どうしよう……」
クトーが応戦している理由はなんとなくわかる。しかし、冬樹には温厚な不岩がクトーに殴りかかった理由がわからない。その為どうすればこんなことを止めてくれるのか思い浮かばなかった。
「……どうしようもない?」
そんな結論に至り、冬樹は玄関の前で座り込んだ。
怪獣二頭が暴れていては、近隣住民が恐怖に慄きすぐに討伐隊でも呼ばれてしまいそうなものだが、街へはクトーが竜体になって四半日は駆けないと着けないらしく、この家がかなり山の奥深くにあることはわかっていたので心配しないことにした。
「クトーがんばれー、不岩さま負けるなー」
なんとなく声援を送りながら堪えられず欠伸する。
怪獣二頭がどったんばったんと暴れているせいで雪は溶け木々は倒れ……山に棲む動物達からすると相当の奇禍だろう。
冬樹はしばらくぼけっと見ていたが、服がポカポカと暖かいのもあり堪らず眠りに落ちてしまった。
「……い!フユキ!」
ここ最近聞きなれた、と言うより唯一聞いていた人の声に冬樹は眠りの淵から浮上する。
目を開けると泥に塗れた男が二人。一人は目元に青痣をこさえていた。クトーだ。人型で殴り合っている時は不岩のほうが劣勢だった筈だし、竜体ではクトーの鋭い爪攻撃を受けていたはずだが不岩に怪我は見当たらない。
「ぁ……おわった?」
寝ぼけ眼でそう聞くと、片方からはため息、もう片方からは苦笑が聞こえてきた。
「お前な、普通止めるとかしねぇ?まさか寝こけてるとは思わなかったぞ……?」
「冬樹らしいと言えばらしいですけどねぇ」
「えっと…ごめんなさい?」
特に考えもせずに謝れば先ほどと同じように二人がため息と苦笑を零す。
「それで……満足した?」
殺気立った雰囲気が無くなっているので冬樹はそう聞いてみた。多分二人が殴りあったのは友情物語に良くある、拳で語り合うを実演したのだろう。
「あー……よくわかんねぇけど」
「私は…諦めました」
二人の返答に冬樹は首を傾げる。
「どうも、クトーと一緒にいると青臭い感情が思い出されると言うか……もういい大人なのだと言うことを忘れていました」
「それこそよくわかんねぇんだけど?」
「自分の中で決着はついたので、もういいんですよ」
「はぁ?お前って相変わらず自己完結型だよな。それにこっちを巻き込むなっつの」
「否定はしませんが、今回はクトーのせいですから」
「あぁ!?」
クトーがあの濁点がふんだんに盛り込まれた声で不岩を睨む。それでも空気が柔らかいので、きっと解決でいいのだろう。
「……冬樹は、ここに残るつもり…なんですか?」
急に真面目な顔で聞いてくる不岩に、冬樹は考える。
寂しい人生を歩んできた訳ではない。仕事では頼られることもあるし、友人もそれなりにいる。きっと皆心配しているはずだ。
けれど、クトーの傍を離れ難くも思う。この雪山に一人、ずっと一人で生きているクトーの傍に居たいと思ってしまう。ぶっきらぼうだけど純情で優しくて、人のぬくもりを初めて知った人に、自分がそのぬくもりを分け与えることが出来る。それが、今までの人生の中で知らなかった感情を冬樹に齎していた。
「私…クトーの傍に居たいです」
「フユキ……」
クトーが、熱い吐息を漏らす。熱を孕んだ瞳が柔らかく蕩ける。
「そう、ですか」
「だから……、私シャラントに帰ります」
「「は?」」
面白いくらいぴったりと二人の声が重なった。
「おまっ、今俺の傍に居たいって言ったその口で何言ってんだ!?」
「え?だから、シャラントに帰るって」
「俺の傍にいるんだろ!?」
クトーが詰め寄り、強く冬樹の肩を掴んだ。その瞳は怒っているようにも見えるが、奥に怯えが潜んでいる。
「うん」
「っぁ……なら、いいけど」
「だから、シャラントに帰るね」
「……っ!わっけわかんねぇ!!」
二人は意思疎通が図れていない。クトーは冬樹が己の傍に在ることを望んでくれたことが嬉しかった。しかし、帰ると言い出したことが理解出来ない。まるで正反対のことを言っているとしか思えないからだ。冬樹は、クトーの傍に居ることを決めた。だからこそ、きちんと今までの生活を清算してからクトーのところに戻ってくるつもりなのだ。しかし、クトーは短絡的で冬樹は言葉が足りない。
「帰さねぇぞ!」「それは困る」の問答を繰り返す二人に、不岩は苦笑を漏らす。
「クトー、もう少し冬樹の考えを読み取る努力をして下さい。冬樹は、相変わらず言葉が足りないですがそこがあなたの可愛い所だから直さなくていいですからね」
昔からそうだったが不岩は冬樹の考えがわかる。周りが良くわからないと言う顔をする度に、自分だけが冬樹の考えがわかっていることに、小さな優越感を抱いていた。
自分の下に、この可愛い助手が帰ってこないというのなら、私から彼女を捕って行くと言うのなら、精々振り回されるがいい。それぐらいの意趣返しは、許してもらえるだろう。
そう考えて、不岩は冬樹の肩を掴むクトーの手を払う。
「それでは、帰りましょう。ここから少し降りたところにヘリを用意してありますから、先に行っていてください」
「あ、はい」
素直に返事をして、山を降ろうとする冬樹にクトーが手を伸ばす。しかし、その手は不岩にガシリと掴まれたせいで冬樹には届かなかった。
「それじゃ、またねクトー」
またねとは何だ?帰るくせに、もう来ないくせに!沸々と怒りが湧き上がる。
「クトー、熱いですよ。落ち着きなさい」
「あぁ!?これが落ち着いてられるかっ!」
凄い熱がクトーから立ち上っている。岩峰の竜である不岩でさえ、掴んだ手首から伝わる熱で火傷しそうな程だった。
「山を融かすつもりですか?そんな風に憤る暇があるのなら、家を増築するなり建て替えするなりしたらどうですか?」
「あぁ!?」
「輿入れの前に、お世話になった方々に挨拶をするのは当たり前でしょう。仕事も辞表を出さなければいけませんし、引継ぎの問題もあるのですから」
「あぁ……?」
これだけ言ってもわからないのだろうか?不岩が珍しく眉を顰めてクトーを見ると、良くわからないと言った表情が、ゆっくりと変わっていく。目をまん丸に見開き頬に熱が上がっていく。
「……わかったみたいですね」
やれやれと、不岩がクトーの手を離すと、
「……わっかりづれぇ!!!!!」
雪山に、クトーの獣染みた咆哮が木霊した。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
子ども扱いしないでください! 幼女化しちゃった完璧淑女は、騎士団長に甘やかされる
佐崎咲
恋愛
旧題:完璧すぎる君は一人でも生きていけると婚約破棄されたけど、騎士団長が即日プロポーズに来た上に甘やかしてきます
「君は完璧だ。一人でも生きていける。でも、彼女には私が必要なんだ」
なんだか聞いたことのある台詞だけれど、まさか現実で、しかも貴族社会に生きる人間からそれを聞くことになるとは思ってもいなかった。
彼の言う通り、私ロゼ=リンゼンハイムは『完璧な淑女』などと称されているけれど、それは努力のたまものであって、本質ではない。
私は幼い時に我儘な姉に追い出され、開き直って自然溢れる領地でそれはもうのびのびと、野を駆け山を駆け回っていたのだから。
それが、今度は跡継ぎ教育に嫌気がさした姉が自称病弱設定を作り出し、代わりに私がこの家を継ぐことになったから、王都に移って血反吐を吐くような努力を重ねたのだ。
そして今度は腐れ縁ともいうべき幼馴染みの友人に婚約者を横取りされたわけだけれど、それはまあ別にどうぞ差し上げますよというところなのだが。
ただ。
婚約破棄を告げられたばかりの私をその日訪ねた人が、もう一人いた。
切れ長の紺色の瞳に、長い金髪を一つに束ね、男女問わず目をひく美しい彼は、『微笑みの貴公子』と呼ばれる第二騎士団長のユアン=クラディス様。
彼はいつもとは違う、改まった口調で言った。
「どうか、私と結婚してください」
「お返事は急ぎません。先程リンゼンハイム伯爵には手紙を出させていただきました。許可が得られましたらまた改めさせていただきますが、まずはロゼ嬢に私の気持ちを知っておいていただきたかったのです」
私の戸惑いたるや、婚約破棄を告げられた時の比ではなかった。
彼のことはよく知っている。
彼もまた、私のことをよく知っている。
でも彼は『それ』が私だとは知らない。
まったくの別人に見えているはずなのだから。
なのに、何故私にプロポーズを?
しかもやたらと甘やかそうとしてくるんですけど。
どういうこと?
============
「番外編 相変わらずな日常」
いつも攻め込まれてばかりのロゼが居眠り中のユアンを見つけ、この機会に……という話です。
※転載・複写はお断りいたします。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
【完結】勤労令嬢、街へ行く〜令嬢なのに下働きさせられていた私を養女にしてくれた侯爵様が溺愛してくれるので、国いちばんのレディを目指します〜
鈴木 桜
恋愛
貧乏男爵の妾の子である8歳のジリアンは、使用人ゼロの家で勤労の日々を送っていた。
誰よりも早く起きて畑を耕し、家族の食事を準備し、屋敷を隅々まで掃除し……。
幸いジリアンは【魔法】が使えたので、一人でも仕事をこなすことができていた。
ある夏の日、彼女の運命を大きく変える出来事が起こる。
一人の客人をもてなしたのだ。
その客人は戦争の英雄クリフォード・マクリーン侯爵の使いであり、ジリアンが【魔法の天才】であることに気づくのだった。
【魔法】が『武器』ではなく『生活』のために使われるようになる時代の転換期に、ジリアンは戦争の英雄の養女として迎えられることになる。
彼女は「働かせてください」と訴え続けた。そうしなければ、追い出されると思ったから。
そんな彼女に、周囲の大人たちは目一杯の愛情を注ぎ続けた。
そして、ジリアンは少しずつ子供らしさを取り戻していく。
やがてジリアンは17歳に成長し、新しく設立された王立魔法学院に入学することに。
ところが、マクリーン侯爵は渋い顔で、
「男子生徒と目を合わせるな。微笑みかけるな」と言うのだった。
学院には幼馴染の謎の少年アレンや、かつてジリアンをこき使っていた腹違いの姉もいて──。
☆第2部完結しました☆
【1/21取り下げ予定】悲しみは続いても、また明日会えるから
gacchi
恋愛
愛人が身ごもったからと伯爵家を追い出されたお母様と私マリエル。お母様が幼馴染の辺境伯と再婚することになり、同じ年の弟ギルバードができた。それなりに仲良く暮らしていたけれど、倒れたお母様のために薬草を取りに行き、魔狼に襲われて死んでしまった。目を開けたら、なぜか五歳の侯爵令嬢リディアーヌになっていた。あの時、ギルバードは無事だったのだろうか。心配しながら連絡することもできず、時は流れ十五歳になったリディアーヌは学園に入学することに。そこには変わってしまったギルバードがいた。電子書籍化のため1/21取り下げ予定です。
【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!
楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。
(リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……)
遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──!
(かわいい、好きです、愛してます)
(誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?)
二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない!
ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。
(まさか。もしかして、心の声が聞こえている?)
リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる?
二人の恋の結末はどうなっちゃうの?!
心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。
✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。
✳︎小説家になろうにも投稿しています♪
溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~
夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」
弟のその言葉は、晴天の霹靂。
アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。
しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。
醤油が欲しい、うにが食べたい。
レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。
既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・?
小説家になろうにも掲載しています。
偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~
甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」
「全力でお断りします」
主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。
だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。
…それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で…
一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。
令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる