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幸せ
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平日は毎日学校が終わるとじーちゃに会いに行った。
土日はお父さんお母さんが居るので我慢した。
でも今まで生きてきた朔の短い人生の中で、今が一番幸せだった。
学校では友達ができた。学校終ってから誘われても遊べなかったが、それでも友達のままでいてくれた。
家にはお父さんお母さんがいる。
お母さんは温かいご飯を作ってくれて、お父さんは一緒にお風呂に入って学校での話を聞いてくれる。一番大好きなじーちゃとも週に5回は会える。
ずっとこの暮らしが続いてくれたら嬉しい。
そう朔は思った。
倫は時々豆太と遊ぼうと誘ってくれたが、じーちゃが嫌がると思って断っていた。
それでもじーちゃと別れて帰る途中に倫と豆太と会ったときは豆太を撫でさせて貰った。
お風呂に入れば明日じーちゃに会う時は匂いが消えてるから。
土日には近所の猫達を撫でさせて貰って、じーちゃに会えない寂しさをまぎらわせていた。
そんな幸せな日々が続いていた。
夏休みになった。
お父さんには小学生みたいに長い休みはない。
お母さんは働くパパママの代わりに子供を預かる仕事なので、やっぱり休みはない。
両親が居ないときはいそいそとじーちゃに会いに行った。
夏休みの半ば頃、2人に遊園地へ連れていって貰った。
初めての遊園地だった。
「本当は泊まりで何処か行きたかったんだけど今年はここでごめんね」
お母さんが言ったけど、とてもうれしかった。初めての遊園地で朔は興奮して気持ちが悪くなってしまったけど。それでも2人は優しくしてくれた。
友達にとお土産も買ってくれた。
夏休みも終わってしまう。
明日から学校が始まるという日。
朔はじーちゃの銀色の体をぎゅっと抱き締めた。
「学校始まって直ぐにね、宿泊訓練っていうのあるんだよ。少し遠いとこのキャンプ場で、皆でいろいろやるんだって」
テントを張ったり、カレーライスのご飯を飯ごうて作ったり、たくさん楽しいことをするらしい。
「でもじーちゃに会えない」
朔は抱き締めている腕を緩めて、じーちゃの顔をじっと見つめた。しばらく見れないから覚えておこうと思って。
「じーちゃの目、綺麗だね」
黒い瞳の中にルビーのような赤い色。炎のように揺れて見える。
「じーちゃ」
ぎゅっとまた抱き締めた。
「いたっ」
なにが起こったか分からない。首の後ろが焼けるように痛かった。
手を当てて見ると、血が付いていた。
「えっ…」
じーちゃが首の付け根、今血が出ている場所を舐めている。
じーちゃに噛まれた。
その事実に、朔はショックを受けた。
でもじーちゃがすまなそうに傷を舐めてくれるから、痛みは感じなくなった。
「大丈夫だよ、じーちゃ」
嫌われたんでなくてよかった。
間違って噛んじゃったのかな。
平気だよと知らせるため、もう一度じーちゃをぎゅっと抱き締めた。
朔が学校の行事から帰ってきて、嬉しくてじーちゃに会いに行ったのにじーちゃはいなかった。
それから毎日のようにじーちゃに会いに行ったが、じーちゃの姿は見つけることができなかった。
土日はお父さんお母さんが居るので我慢した。
でも今まで生きてきた朔の短い人生の中で、今が一番幸せだった。
学校では友達ができた。学校終ってから誘われても遊べなかったが、それでも友達のままでいてくれた。
家にはお父さんお母さんがいる。
お母さんは温かいご飯を作ってくれて、お父さんは一緒にお風呂に入って学校での話を聞いてくれる。一番大好きなじーちゃとも週に5回は会える。
ずっとこの暮らしが続いてくれたら嬉しい。
そう朔は思った。
倫は時々豆太と遊ぼうと誘ってくれたが、じーちゃが嫌がると思って断っていた。
それでもじーちゃと別れて帰る途中に倫と豆太と会ったときは豆太を撫でさせて貰った。
お風呂に入れば明日じーちゃに会う時は匂いが消えてるから。
土日には近所の猫達を撫でさせて貰って、じーちゃに会えない寂しさをまぎらわせていた。
そんな幸せな日々が続いていた。
夏休みになった。
お父さんには小学生みたいに長い休みはない。
お母さんは働くパパママの代わりに子供を預かる仕事なので、やっぱり休みはない。
両親が居ないときはいそいそとじーちゃに会いに行った。
夏休みの半ば頃、2人に遊園地へ連れていって貰った。
初めての遊園地だった。
「本当は泊まりで何処か行きたかったんだけど今年はここでごめんね」
お母さんが言ったけど、とてもうれしかった。初めての遊園地で朔は興奮して気持ちが悪くなってしまったけど。それでも2人は優しくしてくれた。
友達にとお土産も買ってくれた。
夏休みも終わってしまう。
明日から学校が始まるという日。
朔はじーちゃの銀色の体をぎゅっと抱き締めた。
「学校始まって直ぐにね、宿泊訓練っていうのあるんだよ。少し遠いとこのキャンプ場で、皆でいろいろやるんだって」
テントを張ったり、カレーライスのご飯を飯ごうて作ったり、たくさん楽しいことをするらしい。
「でもじーちゃに会えない」
朔は抱き締めている腕を緩めて、じーちゃの顔をじっと見つめた。しばらく見れないから覚えておこうと思って。
「じーちゃの目、綺麗だね」
黒い瞳の中にルビーのような赤い色。炎のように揺れて見える。
「じーちゃ」
ぎゅっとまた抱き締めた。
「いたっ」
なにが起こったか分からない。首の後ろが焼けるように痛かった。
手を当てて見ると、血が付いていた。
「えっ…」
じーちゃが首の付け根、今血が出ている場所を舐めている。
じーちゃに噛まれた。
その事実に、朔はショックを受けた。
でもじーちゃがすまなそうに傷を舐めてくれるから、痛みは感じなくなった。
「大丈夫だよ、じーちゃ」
嫌われたんでなくてよかった。
間違って噛んじゃったのかな。
平気だよと知らせるため、もう一度じーちゃをぎゅっと抱き締めた。
朔が学校の行事から帰ってきて、嬉しくてじーちゃに会いに行ったのにじーちゃはいなかった。
それから毎日のようにじーちゃに会いに行ったが、じーちゃの姿は見つけることができなかった。
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