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「将を射んと欲すれば馬を」
香は食堂できょろきょろと見回す。
「馬発見。う…ん将も発見」
いつも森川といる男子学生を見つけたが、いつものように森川もいて…
「どうするか」
香は森川の事を色々聞きたくて、いつも森川といる彼に話しかけたかった。が、森川が邪魔。
うーむ。
仕方ないので、食事をすることにした。
オムライスを買ってきて、二人が見える席に座る。
森川は相変わらずな感じ。まぁ、イケメンだろう。男っぽい感じ。その隣の学生は少し線が細い。可愛い系と言えなくもない。
「でも違うな」
違うというのは、二人が恋人であると言うこと。二人は純粋に友達という関係だ。腐女子のカン。
いつも一緒にいるから恋愛関係にあるとは限らない。私とミキちゃんと同じだ。普通は同じではないとは彼女には気づけない。
「今日は早いな」
隣に幹が座った。幹は今日はラーメンだった。相変わらず、デザートがある。バータイプのチーズケーキ。
「あ、やっぱり」
「何が?」
何でもない。と言いながら
森川が幹に反応しているのを確認した。
「すいません」
顔を上げると、女子学生が3人幹の後に立っていた。
「なんでしょう?」
仕事モードの幹。
「前にレポート書くのに借りた本の名前忘れてしまったんですけど、調べることって出来ますか?」
「いつ借りた本ですか?」
真ん中の女の子が顔を赤くして答えた。
「確か8月末だったかと」
「渡辺さんが借りた本なら…」
少し考えて、幹は本のタイトルを言った。
「それですそれです」
「私もその頃借りた本は」
右の子が言うと、
「桜田さんは、絵本じゃなかった?」
「すごい。覚えてくれてたんですね」
本のことか、自分の名前のことか、どっちのことか。隣で見ていて香は思う。
この男はいつもそうだな。相手の気持ちは全く気付かず…
女の子達が行ってしまうと、森川たちの方を目線でやって、
「あそこにいる、二人の名前知ってる?」
二人に気づかれないよう幹に聞くと、あっさり、
「森川晃と木皿保美」
「知ってるの?」
丼の中のメンマを箸で摘まんで、
「前に図書館に来たから」
記憶力相変わらずいいね。一度目にすると名前と顔を覚えるんだ。
そのお陰で、森川の友人を一人で呼び出す方法を考え付いた。
「香。お前悪い顔してんぞ」
幹が言ったが、香には届かなかった。
香は直ぐに行動に移った。木皿が受けている授業の講師に、事務所で呼んでると伝言をさせた。人の良い講師は疑問も持たず、伝えてくれた。
事務所に顔を出した木皿を見つけると、他の人が声をかける前に捕まえ、自販機がある休憩室に引っ張った。
「なんか書類上の不備でもありましたか?」
木皿はびっくりしたように香を見た。
「ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
「はい?」
「森川くんって仲良いよね」
内緒話するように小さい声で言うと、木皿はがっかりしたように、
「森川のことですか…」
「そうそう」
木皿の様子に気付かず、
「いつも一緒にいるけど、付き合ってるの?」
「なんでそうなるんですか?僕は女性が好きです」
「そうだと思った。僕はっていうと、彼は違うってことよね」
「えぇっと」
救いを求めるように周りを見回すが、誰もいない。
「森川のプライベートのことなので僕は何とも言えません」
「案外ちゃんとしてるのね」
直ぐに吐くかと思ったのに、と少し見直した。
「でも私分かってるから、森川くんの好きな人」
「…」
「私の近くにいる人でしょ」
「うっ」
「付き合うには少し障害がある人よね」
「優しく見守って下さい」
お願いしますと頭を下げた。
「見守るだけじゃねぇ」
はっと顔を上げると、香はニッコリ笑って、
「協力するから手を貸して」
「じゃあ、僕もお願いがあります」
木皿は勢い込んで、香の手を握った。香がそれを見ると、木皿は真っ赤になって、
「すみません」
慌てて手を離した。
香は食堂できょろきょろと見回す。
「馬発見。う…ん将も発見」
いつも森川といる男子学生を見つけたが、いつものように森川もいて…
「どうするか」
香は森川の事を色々聞きたくて、いつも森川といる彼に話しかけたかった。が、森川が邪魔。
うーむ。
仕方ないので、食事をすることにした。
オムライスを買ってきて、二人が見える席に座る。
森川は相変わらずな感じ。まぁ、イケメンだろう。男っぽい感じ。その隣の学生は少し線が細い。可愛い系と言えなくもない。
「でも違うな」
違うというのは、二人が恋人であると言うこと。二人は純粋に友達という関係だ。腐女子のカン。
いつも一緒にいるから恋愛関係にあるとは限らない。私とミキちゃんと同じだ。普通は同じではないとは彼女には気づけない。
「今日は早いな」
隣に幹が座った。幹は今日はラーメンだった。相変わらず、デザートがある。バータイプのチーズケーキ。
「あ、やっぱり」
「何が?」
何でもない。と言いながら
森川が幹に反応しているのを確認した。
「すいません」
顔を上げると、女子学生が3人幹の後に立っていた。
「なんでしょう?」
仕事モードの幹。
「前にレポート書くのに借りた本の名前忘れてしまったんですけど、調べることって出来ますか?」
「いつ借りた本ですか?」
真ん中の女の子が顔を赤くして答えた。
「確か8月末だったかと」
「渡辺さんが借りた本なら…」
少し考えて、幹は本のタイトルを言った。
「それですそれです」
「私もその頃借りた本は」
右の子が言うと、
「桜田さんは、絵本じゃなかった?」
「すごい。覚えてくれてたんですね」
本のことか、自分の名前のことか、どっちのことか。隣で見ていて香は思う。
この男はいつもそうだな。相手の気持ちは全く気付かず…
女の子達が行ってしまうと、森川たちの方を目線でやって、
「あそこにいる、二人の名前知ってる?」
二人に気づかれないよう幹に聞くと、あっさり、
「森川晃と木皿保美」
「知ってるの?」
丼の中のメンマを箸で摘まんで、
「前に図書館に来たから」
記憶力相変わらずいいね。一度目にすると名前と顔を覚えるんだ。
そのお陰で、森川の友人を一人で呼び出す方法を考え付いた。
「香。お前悪い顔してんぞ」
幹が言ったが、香には届かなかった。
香は直ぐに行動に移った。木皿が受けている授業の講師に、事務所で呼んでると伝言をさせた。人の良い講師は疑問も持たず、伝えてくれた。
事務所に顔を出した木皿を見つけると、他の人が声をかける前に捕まえ、自販機がある休憩室に引っ張った。
「なんか書類上の不備でもありましたか?」
木皿はびっくりしたように香を見た。
「ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
「はい?」
「森川くんって仲良いよね」
内緒話するように小さい声で言うと、木皿はがっかりしたように、
「森川のことですか…」
「そうそう」
木皿の様子に気付かず、
「いつも一緒にいるけど、付き合ってるの?」
「なんでそうなるんですか?僕は女性が好きです」
「そうだと思った。僕はっていうと、彼は違うってことよね」
「えぇっと」
救いを求めるように周りを見回すが、誰もいない。
「森川のプライベートのことなので僕は何とも言えません」
「案外ちゃんとしてるのね」
直ぐに吐くかと思ったのに、と少し見直した。
「でも私分かってるから、森川くんの好きな人」
「…」
「私の近くにいる人でしょ」
「うっ」
「付き合うには少し障害がある人よね」
「優しく見守って下さい」
お願いしますと頭を下げた。
「見守るだけじゃねぇ」
はっと顔を上げると、香はニッコリ笑って、
「協力するから手を貸して」
「じゃあ、僕もお願いがあります」
木皿は勢い込んで、香の手を握った。香がそれを見ると、木皿は真っ赤になって、
「すみません」
慌てて手を離した。
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