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第1章 学院入学編

15話

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昨日は生徒会の集まりに行ったリリスは帰ってきてから当主サイラスと部屋で話していたようだ。
あの2人は仲がよくなく2人で話している姿を見る事自体珍しい。

そして今日の講義が終わり放課後、リリス達に委員会の事を伝え、頼まれた通り俺は風紀委員会に所属するために1人で風紀委員会室に向かっていた。

ノックし部屋に入るとかなりの人数が集まっていた。委員会は各クラス1人ずつ入る事になっており1クラス30人の1学年10クラスあるので委員会員は全員で30人となる。

周りを見渡すと見覚えある男と目が合う。

「あっ」  「お前は──」
「デールも風紀委員会になったのか」
「お前はリリスの分家のやつか」
「分家のやつじゃなくてレイだよ。おもらしデール君 ・・・・・・・・
「な!?き、きさま──!!」

あの決闘以来デールは裏でおもらしデールと呼ばれていた。デールも薄々気づいていたのだろうが侯爵家の嫡男に面と向かっておもらしデールなんて言う奴はいない。
デールは顔を真っ赤にし今にも飛びかかりそうになりながらも拳を握り青筋を立てながら睨みつけてきた。

「まぁまぁ悪かったよ。まさかデールが風紀委員会に入るとはな」
「ニグブル先輩に誘われてたからな」

オルタ・ニグブルというと風紀委員長で貴族派の侯爵家だったな。この前のデールをみれば分かるがこいつも明らかに貴族派、そりゃ自分の勢力を増やしたいんだろうなと容易に分かる。

「ニグブル先輩はデールと同じ侯爵家だし、そりゃ高位の貴族は自陣に囲っときたいだろな」
「高位の貴族か…」
「どうしたんだデール?」
「いや…だが上には上がいる」
「リリスの事を言ってるのか?」
「手も足も出なかったやはり六魔公は血筋からしても格が違う」
「リリスの実力がたかが血のお陰だけだと思ってるのか?」

貴族派は貴族至上主義ひいては血統主義である。自分より高位の貴族=血統には適わないと改めて解らされたと思っていたのだろう。
俺の問いを聞いて影を落としていた表情は俺を見て俺の考えは当たり前だと言いたそうであった。

「確かに血筋によって才能の優劣は存在するよそれは否定できない。だが努力次第で魔力量、魔力出力量、魔法演算速度、魔法干渉領域この全ては
鍛え伸ばす事はできる。それにお前も身をもって味わったはずだぞ?魔法式から属性を見抜くなんて他の六魔公家でもできる奴はいるかどうか分からない。膨大な魔法の知識を身につけ実際に多種多様な魔法を数え切れない程使ってきた者にしかできない芸当さ」
「なぁ何故リリスはそこまでするんだ!?俺には分からない…」
「それを俺に聞くのかよそんなに知りたきゃ本人にでも聞け。アイツの気持ちも考えも全てアイツのものだ俺が勝手に語るものでもない」

「お前が何で悩んでるのか大体想像がつく。貴族至上主義で育ってきたお前は自分より上のエドラス家が平民と同じ席でご飯食べ仲良くしていた事も貴族至上主義を善としない事も貴族なのに何故努力するのかもお前の常識をアイツはぶち壊したからな」

全て俺に言い当てられた事にびっくりしたのだろう目を見開き俺を見て次の言葉を発したくても出てこず口をパクパクさせては言葉を発しなかった。


「全員揃ったようだから委員会を始めたいと思う」

だいぶ話し込んでいたみたいだ。気づけばメンバーは揃っていたようでニグブル先輩の開始の合図でデールとの会話を終わらせ委員会に集中する。

ニグブル先輩がは風紀委員会の仕事内容を説明していく。内容を簡単にすると学院則違反者の取り締まりが主に仕事で毎日の定期的な学院内の巡回も行っているとの事で巡回も全学年混合のチームの交代制になっている。
5人でチームを組むのだが1年は俺とデールであった。

巡回の手順確認も含め今から巡回をする。
普段は6チームあるので1日3チーム2日に1回担当が回ってくる計算だ。

先輩の先導に従い巡回道を回っていく。

『ふざけないで!先に吹っかけてきたのはそっちでしょ!』
『うるさい平民が!』

視界に揉めていた男女4人が入る。貴族派がまた身分差を理由に問題を起こしているのか?
男の方に魔法発動兆候が見られ魔法式を構築する為の魔法陣が浮かび上がる。

俺は身体強化を施し駆ける。男を間合いに捕らえ男の腕を掴み説き伏せる。

「──っ!?く、離せ!!」
「学院則違反により拘束する」

一瞬にして現れた俺に対しその場にいた者達は驚き行動が停止している。デールや先輩達もこの場に到着した。

「はなせー!俺を誰だか分かっているのか!?平民が!」
「誰だか知らないが違反があれば拘束するのは当然だろ」

男は暴れるが全く抜け出せない。

「グラスティス離してやれ。魔法は放たれていないだろ」
「先輩、学院則では無許可の魔法の行使を禁じています。魔法が放たれておらずとも魔法式を構築したということは既に魔法は行使されています。明らかな学院則違反です」

俺の正論に言い返せない先輩は苦虫をかみ潰したような顔で舌打ちする。

風紀委員の中には貴族に対して取り締まりに偏りがあるが俺はそれを気にせず取り締まっていく──



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