暖炉が好きなシンデレラ

ねね

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22 因果応報。

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 お屋敷の居間には明るい日ざしが入ります。

 ソファも絨毯もふっかふか。
 テーブルのお茶はほっかほか。

 目に入るもの全てバッチリなのですが……。

 今、シンデレラは壁ぎわで真っ白な灰になっておりました。

 彼女は継母たちのお話の、直撃を受けてしまったのです。

☆ ☆ ☆

「あら。相手の女の子が家も教えず名乗り出ても来ないって………それ、王子さま既にフラれているわよねえ。」

(!?違う違うフッてないーっっ!)

「ええ。おまけにその子、どうやら魔法に掛けられていて本当の姿もわからないんですって。

 手掛かりは落としていったガラスのブーツだけ……つまり本人確認できないってことよ。」

(っっっ!!)

「誰かもわからない相手を探すだなんて何してるのかしら。私には理解できないわ。」

(わ、私はすごく嬉しい……。)

「そうね。でも、これはチャンスじゃない?
 だって、ブーツさえ足に入れば王子さまと結婚できるのよ!」

(えっ、ええええええ!?)

「結婚、するかしら。王子さまはずっと逃げていたのに。」

「そこはきっちり年貢を納めさせれば良いのよ。ほっほっほっ。」

(いやいやいや、ちょっと待ってーー!!)

 継母本人は既婚者なので心配ないですが。

 継母クラスの女性がお出ましになった場合、シンデレラでは勝負になりません…。

 いったい、どれくらいの人が彼女たちと同じように考えているのでしょうね?

 思い返せば、舞踏会でのシンデレラの行動は、恋をするにはお粗末な穴が色々ありすぎました。

 おかげで………事態は思わぬ方向に突き進んでいたのです。

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