13 / 29
13 もう一度、同じ夜を
しおりを挟む
2日目の夜。
シンデレラは魔女に願いました。
「昨日と同じ格好にしてください!」
「おや。そんなにアレが気に入ったのかい?」
「ええと、そのー。実は昨日、舞踏会ですてきな人に会ったんです。
でも私たち長くは一緒にいられなかったから。その人は私のこと、もうわからないかもしれなくて。
ほら。3日間同じ格好なら……さすがに覚えてもらえるんじゃないのかなー、と。」
魔女は首をかしげました。
「んん?あの坊やはそこまで忘れっぽく見えなかったけどね。
……………あんたまさか、坊やの顔をきちんと覚えられなかったのかい。忘れてるのは自分じゃないの?ぼんやりしてるとは思ってたけど。」
昨夜、魔女はこっそりシンデレラの様子を覗いていたのです。彼女はこれで結構、律儀に世話を焼く人なのでした。
「………うっ……。」
「え、ちょっと、うそだろ!?
あれだけひっついておいてさ!」
(いやその。なんて言ったら良いんだろ。)
もちろん会えばわかるはずです。
はず、ですけれども。
わからなかったらどうしよう、と思うとどんどん怖くなって行くのです。そしてわからないような気がし始めてしまいます。
まるで悩みのための悩み。答えを出さないための悩み。考えれば考えるほど不安が大きくなるばかり。
シンデレラは臆病のスパイラルに陥りつつありました。
「はあ……しょーもない。
けどまあ、案外、ちょうど良いかもしれないね。」
魔女は半目です。
それでも。よくわからないことを言いながら、彼女はシンデレラの望みを叶えてくれたのでした。
シンデレラは魔女に願いました。
「昨日と同じ格好にしてください!」
「おや。そんなにアレが気に入ったのかい?」
「ええと、そのー。実は昨日、舞踏会ですてきな人に会ったんです。
でも私たち長くは一緒にいられなかったから。その人は私のこと、もうわからないかもしれなくて。
ほら。3日間同じ格好なら……さすがに覚えてもらえるんじゃないのかなー、と。」
魔女は首をかしげました。
「んん?あの坊やはそこまで忘れっぽく見えなかったけどね。
……………あんたまさか、坊やの顔をきちんと覚えられなかったのかい。忘れてるのは自分じゃないの?ぼんやりしてるとは思ってたけど。」
昨夜、魔女はこっそりシンデレラの様子を覗いていたのです。彼女はこれで結構、律儀に世話を焼く人なのでした。
「………うっ……。」
「え、ちょっと、うそだろ!?
あれだけひっついておいてさ!」
(いやその。なんて言ったら良いんだろ。)
もちろん会えばわかるはずです。
はず、ですけれども。
わからなかったらどうしよう、と思うとどんどん怖くなって行くのです。そしてわからないような気がし始めてしまいます。
まるで悩みのための悩み。答えを出さないための悩み。考えれば考えるほど不安が大きくなるばかり。
シンデレラは臆病のスパイラルに陥りつつありました。
「はあ……しょーもない。
けどまあ、案外、ちょうど良いかもしれないね。」
魔女は半目です。
それでも。よくわからないことを言いながら、彼女はシンデレラの望みを叶えてくれたのでした。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
スケートリンクでバイトしてたら大惨事を目撃した件
フルーツパフェ
大衆娯楽
比較的気温の高い今年もようやく冬らしい気候になりました。
寒くなって本格的になるのがスケートリンク場。
プロもアマチュアも関係なしに氷上を滑る女の子達ですが、なぜかスカートを履いた女の子が多い?
そんな格好していたら転んだ時に大変・・・・・・ほら、言わんこっちゃない!
スケートリンクでアルバイトをする男性の些細な日常コメディです。
就職面接の感ドコロ!?
フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。
学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。
その業務ストレスのせいだろうか。
ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
怪異・おもらししないと出られない部屋
紫藤百零
大衆娯楽
「怪異・おもらししないと出られない部屋」に閉じ込められた3人の少女。
ギャルのマリン、部活少女湊、知的眼鏡の凪沙。
こんな条件飲めるわけがない! だけど、これ以外に脱出方法は見つからなくて……。
強固なルールに支配された領域で、我慢比べが始まる。
13歳女子は男友達のためヌードモデルになる
矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる