上 下
94 / 160
第二部 エリミア編

34 裏切り者

しおりを挟む

「アイリン・クルトナ隊長。再生します」

 フェルムス隊員が、そう言うと全員の上に空間移動妨害装置室のホログラム映像が流れた

「誰か来る!」

 シュリオンが、映像の音から判断しそう言った。次の瞬間、生徒と教師は衝撃を受けた

「リッゾル!?リッゾルだよな!?」

 リッゾルが、空間移動妨害装置の機能を停止させている

「彼は、生徒ですね。先ほどから、医務室で監視をさせています」

「どうして?どうしてリッゾルさんが?!」
 
 フェーナは驚きが隠せていない

「こっちが聞きたいくらいだ。ただの生徒が厳重なシステムを突破できるか?データを見ると、勉強はできないそうだし。得意なのはライクルスだけだ」

「我が校の生徒が、そんなこと・・・」

「我々も、校長と同じ考えです」

「操られた。または、化けられている」

「操る?クルトナ一族の憑依みたいに?」

 ネオルノ先生は、いつもより口調が早い

「憑依能力はクルトナ一族以外で聞いたことないですよ!」

「我々のデータベースでも、憑依能力はクルトナ家だけです。結論から言うと、クルトナ家に裏切り者がいるか。化けられたかです」

「けど、リッゾル本人がやった可能性もある」

 フェルムス隊員の一人がそう言う

「確かに、部下の言う通り。リッゾルがやった可能性だって、もちろんある。だが、厳重なシステムを解除し。周りの級友をも巻き込むか?もしやったなら、相当なサイコパスだぞ。そいつは!あの、システムを解除できるのは頭が相当切れないと」

「今は、昏睡状態なんで。目が覚めたら・・・」

「目が覚めたら、記憶を見てみよう。それと、リッゾルにおかしな所は無かったか?」

 アイリン・クルトナが、ガルクやシュリオン、フェーナを見た。フェルムス隊員や校長、ネオルノ先生も見ている

「あった!フィオルと外にいる生徒を避難させていると。リッゾルがやって来た!」

「彼は何かいってたか?」

「フェーナを捜していた」

 みんなが、フェーナを見た

「私の所に確かに来たわ。ガルクのことを言ったから、後をついていったわ」

「他には?」

「よく覚えていないの。両親の事故の爆発音と似てて、体が動かなくて・・・」

「そうですか・・・。ガルクはリッゾルと会ったのか?」

「リッゾルと?会ってませんよ!最後に会ったけど・・・。その時は、意識が無かった」

「ガルクは、私が保証します」

 ネオルノ先生がガルクの肩に手を乗せて言った

「リッゾル・・・。前から、変わった奴だからな」

「シュリオン。思ってても言わないの!」

 アイリン・クルトナは顎を手で触りだした

「なぜ、フェーナを?それに、空間移動妨害装置ならまだしも、島に張ってある結界も破られていた」

「結界?!学校に結界張ってあるの?!」

 ガルクとシュリオンは驚いている

「そうだよな。生徒は知らないよな。知ってるのは、ごく一部」

「だから、湖畔近くにテロリスト達が居たのか」

 ガルクは納得した

「結界って、どうやって破るの?」

「ここの結界は、学校関係者には効力がない。警備システムと同じだ。だが、フェルムスや唯一王は普通に入れる。だが、一般市民達は入ることが出来ない」

「けど、能力を使えば?通り抜け能力や解除能力とかさ」

 シュリオンが聞いたが、校長は首を横に振った

「どんな能力も結界には負けます。解除できるのは、学校内のシステムだけ」

「空間移動妨害装置みたいに、厳重なシステムに守られてるが。空間移動妨害装置のように、どこにでもあるわけじゃない。無効にする操作方法が分からないはず。フェルムスですら、知ってるのは、私だけだ」

 アイリン・クルトナは自分を指差した

「は?じゃあ、リッゾルは?!」
しおりを挟む
感想 55

あなたにおすすめの小説

余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました

結城芙由奈@12/27電子書籍配信
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】 私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。 2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます *「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています ※2023年8月 書籍化

旦那様には愛人がいますが気にしません。

りつ
恋愛
 イレーナの夫には愛人がいた。名はマリアンヌ。子どものように可愛らしい彼女のお腹にはすでに子どもまでいた。けれどイレーナは別に気にしなかった。彼女は子どもが嫌いだったから。 ※表紙は「かんたん表紙メーカー」様で作成しました。

城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?

甘寧
ファンタジー
「武闘家貴族」「脳筋貴族」と呼ばれていた元子爵令嬢のマリアンネ。 友人に騙され多額の借金を作った脳筋父のせいで、屋敷、領土を差し押さえられ事実上の没落となり、その借金を返済する為、城で侍女の仕事をしつつ得意な武力を活かし副業で「便利屋」を掛け持ちしながら借金返済の為、奮闘する毎日。 マリアンネに執着するオネエ王子やマリアンネを取り巻く人達と様々な試練を越えていく。借金返済の為に…… そんなある日、便利屋の上司ゴリさんからの指令で幽霊屋敷を調査する事になり…… 武闘家令嬢と呼ばれいたマリアンネの、借金返済までを綴った物語

彼女にも愛する人がいた

まるまる⭐️
恋愛
既に冷たくなった王妃を見つけたのは、彼女に食事を運んで来た侍女だった。 「宮廷医の見立てでは、王妃様の死因は餓死。然も彼が言うには、王妃様は亡くなってから既に2、3日は経過しているだろうとの事でした」 そう宰相から報告を受けた俺は、自分の耳を疑った。 餓死だと? この王宮で?  彼女は俺の従兄妹で隣国ジルハイムの王女だ。 俺の背中を嫌な汗が流れた。 では、亡くなってから今日まで、彼女がいない事に誰も気付きもしなかったと言うのか…? そんな馬鹿な…。信じられなかった。 だがそんな俺を他所に宰相は更に告げる。 「亡くなった王妃様は陛下の子を懐妊されておりました」と…。 彼女がこの国へ嫁いで来て2年。漸く子が出来た事をこんな形で知るなんて…。 俺はその報告に愕然とした。

伝える前に振られてしまった私の恋

メカ喜楽直人
恋愛
母に連れられて行った王妃様とのお茶会の席を、ひとり抜け出したアーリーンは、幼馴染みと友人たちが歓談する場に出くわす。 そこで、ひとりの令息が婚約をしたのだと話し出した。

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

愚か者の話をしよう

鈴宮(すずみや)
恋愛
 シェイマスは、婚約者であるエーファを心から愛している。けれど、控えめな性格のエーファは、聖女ミランダがシェイマスにちょっかいを掛けても、穏やかに微笑むばかり。  そんな彼女の反応に物足りなさを感じつつも、シェイマスはエーファとの幸せな未来を夢見ていた。  けれどある日、シェイマスは父親である国王から「エーファとの婚約は破棄する」と告げられて――――?

処理中です...