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第一部 地球編
12 境界線
しおりを挟む「トリックスターがクイックと戦ってると聞いてな。相手がクイックだから心配で来てみたのだ。トリックスター緊急なんだろ行っていいぞ。君は強敵相手によく持ちこたえた」
残りの能力で行けるのか?いや、行くしかない
「ありがとうマスター。『チェンジ』」
トリックスターがニューヨークの国連本部に移動した。移動するのに能力を結構使ったので、トリックスターは息が荒い
「はぁはぁ・・・来れた」
回りを見渡すと、情報処理が追い付かないレベルだった。国連本部の建物は崩れて瓦礫が散らばり、異様な唸り声が響いている
「どうなってる?みんなは無事なのか?」
次の瞬間。大蛇が物陰から現れた
「えっ何で?あっ!ビーストソウルか」
目を疑った。頭が8つあったからだ。ビーストソウルは今、ヤマタノオロチになっている。ヤマタノオロチがトリックスターを睨み、くねくねと向かってきて喰おうとする
「うわ~来るんじゃなかった」
トリックスターは誰かに引っ張られた。急に氷の壁がヤマタノオロチの前にできるが、突き破られた
「トリックスター。来てくれたのね」
トリックスターを引っ張ったのは、レッドマジシャンだった。スノーメロディーが壁を作ってくれたらしい
「どうしてこうなった?」
八人が真剣な顔になった。空気が重い、気迫が凄い
「勝負!」
サンストーンは燃えながらガントンに斬りかかり、テュールはレッドマジシャンを殴ろうとするが避けられてる
「『幻獣への誘い』」
ビーストソウルはグリフォンに変身した。オールロードとスノーメロディーは動かず、見つめあっている
「あなたはどうして戦うの?」
「安泰な世を創りたいんだ」
「世の中悪くしてるだけじゃない!『アレグロショット』」
「『無重走破』」
スノーメロディーが指から撃った氷を、オールロードが空中を縦横無尽に走り避ける。オールロードがブラスターで射撃したのを、スノーメロディーが氷で防ぐ。やがてオールロードは空中で逆さになって止まり
「メロディー。お互いの技は知り尽くしてるだろ?」
スノーメロディーはボブヘアの髪をかきあげた
「4つ上だからって容赦しないわよ」
音叉を取り出して、膝で叩いて使った
ビーストソウルとバルドルの戦いは、相性的にビーストソウルが優勢だった。だが最初は違った。バルドルは光を操る能力者だ。そして有利な空間を作ってた
「グリフォンか。『シャインルーム』」
ビーストソウルの周りが眩しい光の空間で覆われた。光の空間の中で、ビーストソウルは眩しく目を開けられていなかった。バルドルが小刀でビーストソウルの体を刺そうとしたが、刃が少ししか通らない。仕方ないのでバルドルは蹴り技で攻撃した。だがすぐにビーストソウルに頭突きされた
「眩しい光では目を開けられないが、俺には空間を認識できる超音波などが使えるんだ。グリフォンに最初からその能力をいれときゃ良かった」
「チート能力じゃねえかよ」
光の空間では、バルドルが何人も現れた。ビーストソウルはそのうちの一体を裂いたがモヤのようだった
「どこから来るかわからないだろ。空間認識も実体になるはずだ!」
「だから同じだって。嗅覚あげればいいんだから」
テュールとレッドマジシャンの戦いは未だにお互い攻撃が一撃も当たっていなかった
「この前、東京で共に戦ったとき思ってたんだけど、あなたの能力って何なの?」
「可愛く。教えて!と言ってくれたら、話してやるよ」
キモッ!とレッドマジシャンは思ったが、何の躊躇もなく
「テュールさん。私、あなたの事についてもっと知りたいの!だからあなたの能力教えて欲しいな~」
両手を合わせてお願いというポーズをし、最後にはニコッと笑った。それを見て、ニコニコ楽しんでるテュール
「冗談で言ったのに、マジでやるとはな。コスチュームの下の表情を見たいくらいだ!約束は約束だから話してやるよ俺の能力は、能力のストック、放出、譲渡、肉体強化だ」
「覚醒前が?」
「ストックと放出、肉体強化」
欲しい。とレッドマジシャンは思った。ストックできるなら、能力消費が能力をコピーすることに上がってるレッドマジシャンにとって便利だからだ。今、自分入れて五人分の能力消費がかかってる。トリックスターの取り出しの能力を使うのにも、本家より五倍かかっていることになる。だから彼女は極力能力を使わず、コピーした動きを組み合わせて戦っている
「最高!ねぇ覚悟して。奪うから」
「盗れるもんなら、盗ってみろ」
逆手二刀流で戦っていたが、順手に持ち直した。それを見て
「『キロスキル』」
テュールの血管が浮き上がって、全身が少し火照ってる。そのままさっきよりも断然速いスピードで、レッドマジシャンを蹴り飛ばした。後方数十メートル吹っ飛ばされたレッドマジシャンは倒れて流血した
「強いな~。頑張って集中しないと」
レッドマジシャンは跳ね起きをし、テュールに向かってた
「たった一滴、あなたの血を採れば、この戦いはどうでもいいと考えてる」
「俺に身体能力で劣るお前は俺より弱い」
「アホね。確かに戦いに筋力が多く、速い人は多少は強いかもしれないけど、戦いに一番ものをいうのはここよ」
頭を指差した
「相手の動きを見て、最適な動きを考える情報処理能力。動きを予測する予測力。他にも空間把握能力、判断力、考察力等。勝敗は力にあらず、脳の使い方にあり!」
レッドマジシャンは突撃した。テュールは、腰を落として構えた。レッドマジシャンは剣をクロスにいれようとしたが、テュールに腕を捕まれ、そのまま地面に投げ飛ばされた。だが、パルクールのような動きで、受け身をとってすぐにまた突撃した。今度は二本の剣を同じ方向に斜めに剣をいれようとしたが
「『メガスキル』」
その前に、テュールはさらにでかくなり熱くなってる。さっきよりももっと強くなった
「もう戻れないんでしょテュール!あなたの技は自分への反動も大きいから!」
「だからお前をここで必ず倒さないといけない!」
また向かってきたレッドマジシャンを跳び蹴りで、胸を蹴飛ばした。レッドマジシャンのコスチュームの胴体にヒビが入った
「えっ!アルレット博士が作った物よ。簡単に壊れないはずなのに、今までも銃弾受けても跳ね返してきたのに!」
「お前は何を目標にしてるんだ!」
「私は・・・私は最強になりたい!世に生き様を示すため、先に進んであの人達が追いかけてこられるように!」
「ならば今ここで俺を越えろ!さぁもっと速く!もっと熱く!もっと強く!」
レッドマジシャンが雄叫びをあげた。それに応えるようにテュールも叫んだ。二人は共に向かっていき、激しい攻防が続いた。レッドマジシャンは攻撃を受けないように、テュールは剣で血を盗られないように
「終わりだ。『ギガスキル』」
さらに、強くなった。近くは熱風が漂い、誰にでもその圧迫感を与えるくらいだった
「こっちも、もう読めた。『村雨の革命』」
テュールの右拳とレッドマジシャンが突いた二本の剣がぶつかり合った。テュールの拳から血が吹き出しレッドマジシャンにかかったが、レッドマジシャンの剣は折れぶっ飛ばされた。仮面は割れ、受け身を今度は取れず、全身を強く打ち、骨が飛び出した。しかし
「これで、私のもの!」
レッドマジシャンは浴びた血をペロッと舐めた
「『混沌の魔法』」
舐めた瞬間から、レッドマジシャンは苦しみ出した。ハァハァと息が上がってる。そして、バダンとその場に倒れた
レッドマジシャンとテュールの戦いを見てたバルドルは
「テュール!代われ!」
ビーストソウルとの能力の相性が悪いバルドルは、違う奴と代わって欲しく、戦いが終わったテュールに交代を頼んだ。バルドルはビーストソウルにボコボコにやられていた
サンストーンとガントンの戦いは、一進一退の攻防だった
「お前の戦い方じゃ、俺には不利だろ!剣術しか秀でてないもんな!」
「てめえこそ、能力をエネルギー弾にして撃てる割には、全然当たらないじゃねえかよ!」
ガントンは手から弾を連射したが、サンストーンに刀で弾かれ、避けられてる。サンストーンは間合いに入ったが、近距離ででかめな弾を撃たれそうになり退いた。その時、呻き声が聞こえた。それまで、相手に集中していて、周りの状況を把握できてなかったが、それを期に見渡した。レッドマジシャンは倒れており、バルドルは建物に背中を預け座り込んで傷を癒してた。スノーメロディーとオールロードは互いに
「『f』」
同じ技で殴りあっていた。テュールとビーストソウルは互いに意識はあるが倒れており、ビーストソウルが、悲痛な声を出していた
「ヴ~グァ~ヴゥ~ア~ウァ~」
ガントンも動きを止めてそっちを見てる。サンストーンは何が起こってるのか分からなかった。テュールとバルドルは異様な空気を察し無理矢理体を動かし撤退した。ビーストソウルの呻き声が消えると
「助けて!」
その一言が聞こえたと同時に、姿がキメラになった。頭はライオン、胴体は山羊、蛇の尻尾になったビーストソウルは、一番近くにいたレッドマジシャンの方を向き、威嚇動作と共に駆け出した。サンストーンはそれを見て燃えるのをやめて、そっちに向かった
「危ない!」
サンストーンはレッドマジシャンを担ぎ距離を取った。抱えられてレッドマジシャンは意識を取り戻した
「えっ!サンストーン?」
「起きたか。ひどい状況だ!」
ビーストソウルを指差した。サンストーンがガントンとの戦いを放棄したので、戦う相手が居なくなったガントンは
「それがお前の弱さだ!だからこういうことになる!『勝利への砲弾』」
ガントンが特大のエネルギー弾を国連本部に撃った。本部は崩れ始めた。最悪な状況だった。A.C.T は本部を守れず、CAは撤退し、暴走したビーストソウルは仲間を襲い始めた
「彼に連絡する!」
レッドマジシャンが傷を癒しながらトリックスターに状況を話した
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