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20章 街の地下遺跡

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ギルドホールでの議論を経て、アリアとイアンは再び剣の覚醒が引き起こす影響について考えていた。街の中で徐々に広がる魔力の波紋は、次なる脅威の前触れに思えた。

翌朝、ギルド長室に再び集まったアリア、イアン、そしてユーゴは、剣の力を街と結界から切り離す方法を話し合っていた。ユーゴが魔法陣の設計図を広げながら説明を始める。

「結界を強化するための魔力の流れを安定させるには、剣そのものを中継する魔力の石――『魔力中継石』を使う必要がある。」

「中継石って、どこにあるんですか?」

アリアが問いかけると、ユーゴは重々しく頷きながら答えた。

「幸い、この街の地下に古代の遺跡が眠っている。その中に、かつて街を守るために作られた中継石が保管されているはずだ。」

「遺跡……地下って、それ大丈夫なの?」

アリアが少し不安そうに呟くと、イアンが冷静な声で補足した。

「遺跡が無事であれば問題はない。しかし、長い間放置されていれば、内部に魔物が棲みついている可能性もある。」

「また戦うことになりそうだね……でも、行くしかない。」

アリアは剣を握り直し、力強く頷いた。その様子を見たユーゴは、小さく笑みを浮かべた。

「頼もしいな。お前たちなら何とかなると信じている。準備が整い次第、遺跡に向かえ。」

準備を終えた二人は、ユーゴの指示で街の外れにある古い井戸の下へと向かった。その井戸の奥に、遺跡へ繋がる隠された入り口があるという。

「こんなところに……遺跡が?」

アリアが古びた井戸を見上げる。イアンは杖を構えながら、入り口の封印を解く魔法を唱えた。

「古代の結界だ……予想通り、この場所はかなりの年月が経っているようだな。」

結界が解けると、冷たい風が二人を包み込んだ。薄暗い階段が地下へと続いており、奥からは微かな魔力の気配が漂っている。

「行こう。慎重に進むぞ。」

イアンが先頭に立ち、二人は地下への階段をゆっくりと降りていった。

地下遺跡は広大で、壁には古代文字が刻まれていた。アリアは剣を片手に、周囲を警戒しながら進む。

「本当にここに中継石があるのかな……。」

「間違いない。この遺跡は、昔の街の結界を支えるために作られた施設だ。中継石はこの中心部にあるはずだ。」

イアンが古代文字を読み取りながら答えたその時、遺跡の奥から低い唸り声が聞こえてきた。

「……来るぞ。」

イアンが杖を構えると同時に、遺跡の奥から複数の魔物が姿を現した。それは岩のように硬い皮膚を持つゴーレムのような存在だった。

「大きい……!」

アリアが剣を構え直すと、ゴーレムの一体が地響きを立てながら突進してきた。

「アリア、右に回り込め!」

イアンが冷気の魔法を放ち、ゴーレムの動きを封じる。その隙にアリアが剣を振り下ろし、硬い外殻を削り取った。

「この剣なら通る……!」

「だが油断するな。奴らは数が多い!」

ゴーレムたちは次々に襲いかかり、二人は息を合わせながら応戦した。アリアが剣を振るい、イアンが魔法でサポートするその連携は、これまでの冒険で培われたものだった。

「イアン、次!」

「任せろ!」

イアンが放った氷の槍がゴーレムの一体を貫き、その隙にアリアがとどめを刺した。

激しい戦闘を終えた二人は、遺跡の中心部にたどり着いた。そこには大きな石台があり、その上に淡く輝く中継石が鎮座していた。

「これが……魔力中継石?」

アリアが剣を下ろしながら呟く。イアンは慎重に近づき、石を調べ始めた。

「間違いない。これが街の結界を支えるための中継石だ。ただ、長い間放置されていたせいで魔力が不安定になっている。」

「どうすればいいの?」

「俺が魔力を注ぎ、石を起動させ、範囲を書き換える。ただし、剣を通じて石と街の結界を繋ぐ必要がある。それには君の力が必要だ。」

イアンが真剣な表情で答える。その言葉に、アリアは力強く頷いた。

「分かった。私たちで、この街を守るよ!」
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