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15章 嘆きの沼

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朝日が差し込むギルドホール。イアンの傷も癒え、静かな部屋の中で彼は目を覚ました。隣には、ほぼ徹夜で見守っていたアリアの姿があった。

アリアは椅子に座ったまま、剣を抱えるようにして眠っている。疲れ切った表情にも、どこか安心したような穏やかさが漂っていた。

「……ずいぶんと頑張ったようだな。」
イアンが小さく呟く。

彼はそっと身を起こし、目の前で小さく寝息を立てるアリアをじっと見つめた。彼女がどれだけ自分を心配していたのか、その疲れた姿が物語っていた。

「お前が無事でいてくれて、本当によかった……。」
イアンはそう心の中で呟くと、椅子に掛けられた彼女の外套をそっと肩にかけた。

その後、アリアも目を覚まし、二人はギルドホールに顔を出した。仲間たちが暖かい笑顔で迎えてくれる。

「おお、イアン!ようやく動けるようになったか!」
カルスが声をかけ、手を振る。

「ありがとう。君たちの助けがなければ、私はここに立てなかっただろう。」
イアンが静かに礼を述べると、カルスは軽く肩をすくめた。

「礼を言うのはこっちだ。無茶するアリアを支えてくれてるんだからな。」
カルスが笑いながら言うと、アリアは少しバツが悪そうに目をそらした。

「う……これからは無茶しないってば。」
彼女の言葉に、周囲から軽い笑い声が上がる。

ユーゴが二人に歩み寄り、真剣な顔で言った。

「イアン、そしてアリア。お前たちはこれから嘆きの沼に向かうんだな?」

「はい。そのための準備も整っています。」
イアンが答える。

「嘆きの沼は、双月の遺跡以上に危険だ。だが、二人でなら乗り越えられると信じている。」
ユーゴはそう言うと、アリアに視線を向ける。

「アリア、無茶はするなよ。イアンを信じて、お前も自分を信じろ。」

アリアは少し考えた後、しっかりと頷いた。

「分かってる。二人で必ず帰ってくるよ。」


街を出る前、二人は最後の買い物を済ませていた。市場の活気に包まれながら、アリアがふと思い出したように言う。

「ねえ、イアン。あの時、なんであんな無茶したの?」

「あの時?」
イアンが首を傾げる。

「ほら、私を庇って傷を負ったときだよ。あれ、絶対危なかったじゃん。」
アリアがじっと彼を見つめる。

イアンは少し考えた後、静かに答えた。

「君がいなければ、この旅の意味がない。それだけだ。」
その言葉に、アリアは一瞬だけ驚いた顔をしたが、すぐに微笑んだ。

「そっか……ありがと。でも、これからは私もイアンを守るからね!」

イアンは微かに笑い、杖を握り直した。

「期待している。」


嘆きの沼への道中、二人は森を抜け、緩やかな丘を越えて進んでいた。アリアはふと足を止め、周囲の景色を見渡した。

「ねえ、イアン。私、これまでずっと一人で戦ってきたんだよ。」

「知っている。だが、今は私がいる。」
イアンが静かに答える。

「うん、そうだよね。でも、なんだか変な感じ。イアンがいるのが当たり前になってきてさ。」
アリアが笑顔で振り返る。

「それは悪いことではない。」
イアンは穏やかに言い、足を止めて彼女を見つめた。

「君がそう思えるなら、私は君の隣にいる理由があるということだ。」

その言葉に、アリアは少し頬を赤らめながら、剣を握り直した。

「ふふっ、なんかそれっぽいこと言うね。じゃあ、これからもよろしくね!」


数日後、二人は嘆きの沼の入り口にたどり着いた。湿地特有の重い空気と不気味な静けさが辺りを包んでいる。

「ここが嘆きの沼か……嫌な感じだね。」
アリアが剣を握りしめながら呟く。

「ここには、魔族の痕跡が色濃く残っている。気を引き締めろ。」
イアンが杖を構える。

「うん、大丈夫。今度は無茶しないから安心して。」
アリアが笑顔で言うと、イアンは静かに頷いた。

「それならいい。行こう、アリア。」

二人は決意を新たにし、沼の中へと足を踏み入れていった。





現時点のステータス

アリア・マーウェラ
• レベル: 23
• 体力: 56
• 魔力: 0
• 力: 74
• 敏捷: 62
• スキル:
• 剣の扱い: 4
• 投擲: 3
• 体術: 2
• 戦闘直感: 2
• 持久力強化: 2

イアン
• レベル: 26
• 体力: 42
• 魔力: 130
• 力: 35
• 敏捷: 50
• スキル:
• 氷魔法: 5
• 結界術: 3
• 魔力制御: 4
• 古代魔法知識: 3
• 闇耐性: 2
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