空を継ぐ者

3章 強襲作戦

1

補給機と戦闘機が編隊を組み、暗黒の空へと飛び立った。
玲音は補給機03の機内でモニターを見つめ、目の前の作戦に集中していた。

無線越しに綾の指示が飛ぶ。

「TSUBAME 01より全機。これより敵基地への接近を開始する。予定通り、敵の迎撃が予想される。全員、警戒を強めろ。」

「補給機03、了解。」
玲音が短く応答する。

浅川が隣で端末を操作しながら報告する。
「敵基地の周辺に強力な妨害電波があります。通信が途切れる可能性がありますね。」

玲音は静かに頷く。
「その場合は手動での連携に切り替えます。とにかく、この作戦を成功させることが最優先です。」

パイロットが冷静な声で言葉を挟む。
「敵の迎撃機、接近中。距離2000！」

モニターには、敵無人機の編隊が迫る様子が映し出されていた。

「来たか……。」
玲音はシートベルトを再度締め直し、無線を切り替える。

「こちら補給機03。護衛機との連携を維持してください。貨物室の安全も確認します。」

上空では、綾が率いる護衛機が敵無人機を迎え撃つためにフォーメーションを組んでいた。

「TSUBAME 01より全機。隊形を崩すな。敵を引き離しつつ、補給機を守れ。」

「了解！」
護衛機のパイロットたちが一斉に応答する。

綾の機体は敵無人機の群れに突進し、その正確な射撃で次々に敵を撃墜していく。

「敵のAIが向上している……動きが洗練されているな。」
綾は敵機の挙動を分析しながら冷静に操縦を続けた。

補給機03の中では、玲音が貨物室の機材を確認していた。
突入後に使用する通信装置や、作戦の中核となるデータ解析機がしっかり固定されていることを再確認する。

「副官！」
浅川が声を上げる。
「敵基地から強力な信号が発信されています！ このままだと補給機が攻撃対象になります！」

玲音は端末を覗き込み、即座に指示を出した。
「護衛機に伝えてください！ 敵基地からの信号源を破壊する必要があります！」

無線越しに綾の声が響く。
「了解。俺が行く。」

玲音は驚いた表情を浮かべる。
「隊長、自ら出撃を？」

「指揮官が動かずして誰が動く。」
綾の声は冷静だが力強かった。

「お前たちは計画通り補給機で突入し、通信設備を確保しろ。俺が信号源を潰すまで耐えろ。」

「了解しました！」
玲音は敬礼するように背筋を伸ばし、再びモニターに向き直った。

綾の戦闘機が敵基地の信号源に接近する中、玲音たちの補給機は指定されたルートで敵基地への突入を試みていた。

「補給機03、進路を確保しました。」
パイロットが報告する。

玲音は貨物室で最後の準備を進めながら、仲間たちに指示を出す。

「浅川、突入後はすぐに通信設備の確保に動いてください。松岡と山村は安全確保を優先し、敵の動きを警戒してください。」

「了解！」

補給機が基地内の着陸ポイントに接近する。外部の衝撃が増しているのを感じながら、玲音は深く息を吐いた。

「全員、突入準備を！」

補給機が基地内に着陸すると、玲音たちは即座に行動を開始した。
貨物室から通信機材を運び出し、敵の通信設備へ向かう。

だが、その途中で警報が鳴り響いた。

「敵兵が接近しています！」
山村が声を上げる。

「防衛態勢を取れ！」
玲音が叫び、全員が遮蔽物を探して身を潜める。

敵兵との交戦が始まる。浅川が精確な射撃で応戦し、松岡と山村が周囲を警戒する。

玲音は通信機材を守りながら、綾の無線を確認する。

「TSUBAME 01、信号源の破壊は……？」

無線越しに綾の声が返ってきた。

「あと少しだ。持ちこたえろ。」

玲音は短く頷き、再び敵兵に目を向けた。

「全員、もう少し耐えてください。隊長が必ず突破してくれます！」