空を継ぐ者

藤原遊

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2章 不審な動き

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補給作戦が無事に完了し、基地に戻った玲音はすぐに綾の執務室へ向かった。
作戦の結果を報告し、爆発物や通信機について得られた情報を共有するためだ。

綾はデスクに座り、端末のデータを確認しながら静かに言った。

「よくやった。補給機の安全を確保できたのは大きな成果だ。」

玲音は敬礼しながら答える。

「ありがとうございます。ですが、敵の目的がまだ全て解明されていません。補給機の通信機を使った攻撃は、単なる前哨戦だった可能性があります。」

綾は短く頷いた。

「その可能性は高いな。通信ログの解析によれば、敵の基地と思われる信号源が特定された。」

玲音は驚きながらも、すぐに端末を取り出してデータを確認した。

「信号源が……。それなら、敵の本拠地を直接叩くチャンスがあるかもしれません。」

綾の表情が険しくなる。

「その通りだ。ただし、敵の基地が完全に無防備だとは思えない。我々が動けば、必ず反撃を受ける。」

玲音は深呼吸し、静かに決意を込めた声で答えた。

「ですが、動かなければ敵の次の計画を許すことになります。行動すべきです。」

綾は玲音を見つめ、微かに笑みを浮かべた。

「お前はそう言うと思った。だから、すでに上層部に打診済みだ。」

玲音は目を見開く。

「許可が下りたのですか?」

「まだだが、確実に動ける準備を進めている。俺たちは憲兵隊として、敵基地への突入部隊に加わることになる。」

その日の夜、玲音は部隊のメンバーを集め、緊急会議を開いた。
浅川、山村、松岡、そして涼子が揃い、全員が緊張した面持ちで玲音を見つめている。

玲音は端末を操作し、スクリーンに敵基地の概略図を表示した。

「補給作戦中に通信機から得られたデータを基に、敵の基地の位置が特定されました。これは、敵の次の攻撃計画を未然に防ぐための重要な情報です。」

浅川が手を挙げて尋ねる。

「私たちの役割は何になるのでしょうか?」

「私たちは憲兵隊として、敵基地への突入作戦に参加します。」
玲音はきっぱりと答えた。
「直接戦闘が目的ではなく、敵の通信設備を確保し、さらなる情報を収集するのが任務です。」

松岡が緊張した声で言った。

「突入作戦……。敵の本拠地に直接入るんですね。」

「その通りです。」
玲音は彼を真っ直ぐに見つめる。
「だからこそ、全員の連携が重要です。命令に従い、動きに無駄がないようにしましょう。」

涼子が穏やかな口調で言葉を添えた。

「この作戦では、心理的な負担も大きくなります。どんな時でも冷静さを忘れないように。」

全員が深く頷いた。

翌朝、作戦の具体的な準備が始まった。
玲音たちは突入に使用する装備や通信機材を整え、最後の調整を行う。

綾が現れ、部隊全員に向けて言った。

「この作戦が成功すれば、敵の計画を完全に阻止できる。そして、それがこの基地、ひいては宇宙に避難している全ての人々を守ることに繋がる。」

綾は玲音を見つめた。

「早瀬、お前は副官として俺の補佐をしつつ、現場の状況を冷静に判断しろ。」

「了解しました!」

玲音は力強く敬礼し、決意を新たにした。

作戦の出撃が近づく中、基地全体が緊張感に包まれていた。
敵基地への突入が成功するかどうかに、人類の未来がかかっている――その重みを、玲音も部隊全員も感じ取っていた。

「必ず成功させる。」
玲音はそう心に誓い、補給機に乗り込む。

無線越しに綾の指示が飛ぶ。

「全機、準備完了次第出撃せよ。作戦開始だ。」

エンジン音が唸りを上げ、補給機と戦闘機の編隊が基地を飛び立った。次の戦場は、敵の本拠地だ。
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