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2章 不審な動き
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貨物室全体が閃光で覆われ、玲音は一瞬視界を奪われた。耳鳴りが続く中、物音だけが反響している。
「浅川、大丈夫ですか?」
玲音は床に伏せたまま、声を張り上げた。
「平気です! 副官は?」
「私は無事です!」
玲音は身体を起こし、咄嗟に懐中電灯を取り出して周囲を照らした。
だが、石原の姿はすでに消えていた。
「松岡!」
玲音は無線で呼びかける。
「貨物室から逃げた者を確認できましたか?」
松岡の緊張した声が返ってくる。
「はい! 石原ともう一人が走って逃げていきます! 後を追います!」
「無理はしないでください。位置を把握するだけで十分です!」
「了解!」
玲音は浅川を振り返る。
「すぐにここを押さえます。爆発物や他の危険な機材が残されている可能性があります。」
「わかりました。すぐに確認します。」
二人は慎重に貨物室を調べ始めた。爆発物や通信機材が隠されていないかを一つ一つ確認していく。
「副官!」
浅川が奥のコンテナを指差した。
「ここに何かあります!」
玲音が近づいて確認すると、そこには大きな金属ケースが隠されていた。ケースを開けると、その中には軍の通信端末と、敵軍の機材と思われる部品が複数収められていた。
「これで確定ですね。」
浅川が息を吐きながら言う。
「石原は間違いなく敵の内通者です。そして、これを輸送する計画だった……。」
玲音は端末を取り出し、即座に綾へ報告を入れる。
「隊長、貨物室で通信端末と敵軍の機材を発見しました。石原は仲間と共に逃走中です。」
無線越しに綾の冷静な声が返ってくる。
「よくやった。貨物室の安全を確保しつつ、逃走経路を追跡しろ。基地全体に非常事態宣言を出す。石原たちを基地内で確保する。」
「了解しました!」
玲音は通信を切り、浅川に指示を出す。
「ここを押さえておいてください。私は松岡と合流して石原を追います。」
「気をつけてください、副官!」
玲音は短く頷き、貨物室を後にした。
玲音が松岡と合流したのは整備区域を出たすぐの廊下だった。松岡は息を切らしながらも石原たちの逃走ルートを示した。
「副官、彼らは格納庫方面へ向かっています!」
「わかりました。すぐに追います。山村にも連絡を取って!」
「了解!」
玲音たちは格納庫への廊下を全速力で駆け抜けた。途中、緊急アラームが鳴り響き、兵士たちが配置に就こうとしているのが見えた。
格納庫の入口に到着すると、そこには石原ともう一人の整備士が小型の補給用ビークルを起動しようとしていた。
「動くな!」
玲音が叫ぶ。
石原は振り向きざまに何かを取り出し、それを玲音たちに向けた。
拳銃だ。
「近づくな! 撃つぞ!」
緊張がピークに達する中、玲音は冷静に呼びかける。
「石原さん、無駄な抵抗はやめてください! 今ならまだ、命を落とさずに済みます!」
「黙れ!」
石原は目を血走らせて叫ぶ。
「お前らには何もわからない! 俺はただ生き延びるためにやっただけだ!」
「生き延びるために基地を裏切るんですか?」
玲音の言葉に石原は一瞬、表情を曇らせた。
その隙を逃さず、松岡が横から飛び出し、石原の腕を押さえた。銃声が響くが、弾は壁を掠めただけだった。
玲音と松岡は素早く石原を取り押さえ、拳銃を奪い取る。
「もう終わりです!」
玲音が言い放つ。
石原は力なく床に崩れ落ちた。
その後、石原と彼の仲間は拘束され、綾のもとへ連行された。玲音は物資の調査報告をまとめつつ、石原の供述に期待を寄せていた。
「これで基地内の危険は排除された……はずです。」
玲音の言葉に、浅川は慎重に答える。
「ですが、石原たちが単独で動いていた可能性は低いです。敵の計画全体がまだ明らかになっていません。」
「その通りですね。隊長と連携して、この事件を徹底的に解明する必要があります。」
玲音は決意を新たに、次の捜査に向けた準備を始めた。
「浅川、大丈夫ですか?」
玲音は床に伏せたまま、声を張り上げた。
「平気です! 副官は?」
「私は無事です!」
玲音は身体を起こし、咄嗟に懐中電灯を取り出して周囲を照らした。
だが、石原の姿はすでに消えていた。
「松岡!」
玲音は無線で呼びかける。
「貨物室から逃げた者を確認できましたか?」
松岡の緊張した声が返ってくる。
「はい! 石原ともう一人が走って逃げていきます! 後を追います!」
「無理はしないでください。位置を把握するだけで十分です!」
「了解!」
玲音は浅川を振り返る。
「すぐにここを押さえます。爆発物や他の危険な機材が残されている可能性があります。」
「わかりました。すぐに確認します。」
二人は慎重に貨物室を調べ始めた。爆発物や通信機材が隠されていないかを一つ一つ確認していく。
「副官!」
浅川が奥のコンテナを指差した。
「ここに何かあります!」
玲音が近づいて確認すると、そこには大きな金属ケースが隠されていた。ケースを開けると、その中には軍の通信端末と、敵軍の機材と思われる部品が複数収められていた。
「これで確定ですね。」
浅川が息を吐きながら言う。
「石原は間違いなく敵の内通者です。そして、これを輸送する計画だった……。」
玲音は端末を取り出し、即座に綾へ報告を入れる。
「隊長、貨物室で通信端末と敵軍の機材を発見しました。石原は仲間と共に逃走中です。」
無線越しに綾の冷静な声が返ってくる。
「よくやった。貨物室の安全を確保しつつ、逃走経路を追跡しろ。基地全体に非常事態宣言を出す。石原たちを基地内で確保する。」
「了解しました!」
玲音は通信を切り、浅川に指示を出す。
「ここを押さえておいてください。私は松岡と合流して石原を追います。」
「気をつけてください、副官!」
玲音は短く頷き、貨物室を後にした。
玲音が松岡と合流したのは整備区域を出たすぐの廊下だった。松岡は息を切らしながらも石原たちの逃走ルートを示した。
「副官、彼らは格納庫方面へ向かっています!」
「わかりました。すぐに追います。山村にも連絡を取って!」
「了解!」
玲音たちは格納庫への廊下を全速力で駆け抜けた。途中、緊急アラームが鳴り響き、兵士たちが配置に就こうとしているのが見えた。
格納庫の入口に到着すると、そこには石原ともう一人の整備士が小型の補給用ビークルを起動しようとしていた。
「動くな!」
玲音が叫ぶ。
石原は振り向きざまに何かを取り出し、それを玲音たちに向けた。
拳銃だ。
「近づくな! 撃つぞ!」
緊張がピークに達する中、玲音は冷静に呼びかける。
「石原さん、無駄な抵抗はやめてください! 今ならまだ、命を落とさずに済みます!」
「黙れ!」
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「生き延びるために基地を裏切るんですか?」
玲音の言葉に石原は一瞬、表情を曇らせた。
その隙を逃さず、松岡が横から飛び出し、石原の腕を押さえた。銃声が響くが、弾は壁を掠めただけだった。
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