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1章 着隊
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翌朝、玲音はブリーフィングルームで説明を受けていた。
今回の補給作戦は通常よりも規模が大きく、補給機3機に加え、それを護衛する戦闘機4機――2機1組の2編隊――が随伴する編成だった。
スクリーンに映し出されたルートマップには、補給機編隊の進行経路と警戒区域が明確に示されている。
補給機3機の配置は左右と中央に分けられ、護衛の戦闘機4機がその周囲を固めるように展開している。
「補給機はなぜ3機編成を組むかわかるか?」
スクリーンの前に立った綾が、玲音に目を向けて問いかけた。
玲音は即座に立ち上がり、答えた。
「物資を分散してリスクを軽減するためです。また、編隊を組むことで、防衛ラインを強化し、攻撃を受けた際の生存率を高める狙いがあります。」
綾は頷いた。
「その通りだ。そして護衛の戦闘機は2機1組で連携行動を取る。理由は?」
玲音は少し間を置いて答える。
「奇数機では指揮系統が乱れるため、2機1組で相互に死角を補う必要があるからです。」
「正解だ。」
綾がスクリーンを指差し、補給機の進路をなぞった。
「今回の任務は、補給機の安全な輸送だ。敵の襲撃があった場合、護衛機が敵を迎撃する。補給機の役割は、物資を無事に届けること。それ以上は求められないが、それでもこの作戦は危険が伴う。」
綾は玲音に視線を戻した。
「早瀬副官、君が今回の作戦に派遣された理由はわかるな?」
玲音は真っ直ぐに立ち、答えた。
「補給部隊の人員不足を補うためです。そして、規律を維持するのが私の役目です。」
綾は短く頷了解しました!では、引き続き物語を進めます。
綾は短く頷くと、再びスクリーンを指差した。
「その通りだ。だが、もう一つ理由がある。」
玲音は意外そうに綾の顔を見た。
「もう一つ……ですか?」
「実戦に慣れることだ。」
綾は静かに言った。
「憲兵の任務が基地内の規律維持だけで済む時代じゃない。非常時にはお前も、俺たちと同じ空を守る側に回る必要がある。その時に、初めて実戦に触れるようでは話にならない。」
玲音はその言葉の重みを噛み締めながら頷いた。
「了解しました。」
「では、準備に入れ。」
綾がそう告げると、ブリーフィングは終了した。
格納庫に向かうと、補給部隊が忙しく動き回っていた。
補給機03の搭乗員リストに名前が加えられた玲音は、物資の最終確認と規律のチェックを始めた。
「副官殿、戦闘区域に行くのは初めてか?」
整備士が笑いながら声をかけてきた。
「はい。しかし、憲兵としての任務を果たすことに変わりはありません。」
玲音はそう答えたが、緊張で手がわずかに震えているのを感じた。
「まぁ、肩の力を抜けよ。今回の護衛にはTSUBAMEがいるからな。」
整備士はそう言って親指を立てた。
その名前に、玲音の胸が少しだけ高鳴った。
父が手紙で語っていたTSUBAME――その人と同じ作戦に加わることが、どこか非現実的に思えた。
補給機03に乗り込むと、隊内通信の確認が始まった。
護衛の戦闘機4機は既に編隊を組み、補給機の周囲を固めている。
「TSUBAME 01より全機。護衛隊形を維持しろ。」
無線越しに綾の低く落ち着いた声が響く。
「TSUBAME 02、了解。」
「補給機01、了解。」
次々と応答が続く中、玲音も無線のスイッチを押した。
「補給機03、了解。」
機体がゆっくりと格納庫を抜ける。
エンジンの唸りが響き、隊形を保ったまま編隊は上昇を始めた。
しばらくは順調な進行が続いていた。
だが、警戒区域に差し掛かった瞬間、補給機のレーダーが異常を検知した。
「接近中の物体を確認。方位150、距離4000!」
補給機内部に緊張が走る。無線越しに報告が続く中、綾の冷静な声が響いた。
「TSUBAME 01より全機。敵機群を確認。護衛態勢を維持し、迎撃を開始する。」
敵の無人機群が視界に入ると、護衛機がすぐに動き出した。
2機1組の編隊が互いにフォーメーションを組み、戦闘態勢に入る。
「TSUBAME 01、左翼からの突破を阻止する。補給機03、隊形を崩すな。」
綾の戦闘機が視界に映る。まるで一筆書きのような滑らかな動きで、無人機群を翻弄し始めた。
その僚機が後方支援を行いながら、敵を確実に仕留めていく。
「補給機03、護衛態勢を維持します。」
玲音が緊張しながら報告すると、綾の返答が即座に返ってきた。
「そのまま行け。」
戦闘は10分以上続き、無人機群が撤退を始めた。
補給機は無傷で次の中継基地に到着し、任務は成功に終わった。
格納庫に戻ると、整備兵たちが補給機の点検を進める中、玲音は深く息を吐いた。
「初任務の感想は?」
背後から綾の声がした。
玲音は振り返り、少し間を置いて答えた。
「守られる側の重みを感じました。自分はまだ、空を守るには未熟だと……。」
綾は短く笑った。
「そう感じたなら、次の任務ではそれを覆すつもりで準備しろ。」
「了解しました。」
その言葉を胸に刻み、玲音は静かに自分の装備を片付けた。
今回の補給作戦は通常よりも規模が大きく、補給機3機に加え、それを護衛する戦闘機4機――2機1組の2編隊――が随伴する編成だった。
スクリーンに映し出されたルートマップには、補給機編隊の進行経路と警戒区域が明確に示されている。
補給機3機の配置は左右と中央に分けられ、護衛の戦闘機4機がその周囲を固めるように展開している。
「補給機はなぜ3機編成を組むかわかるか?」
スクリーンの前に立った綾が、玲音に目を向けて問いかけた。
玲音は即座に立ち上がり、答えた。
「物資を分散してリスクを軽減するためです。また、編隊を組むことで、防衛ラインを強化し、攻撃を受けた際の生存率を高める狙いがあります。」
綾は頷いた。
「その通りだ。そして護衛の戦闘機は2機1組で連携行動を取る。理由は?」
玲音は少し間を置いて答える。
「奇数機では指揮系統が乱れるため、2機1組で相互に死角を補う必要があるからです。」
「正解だ。」
綾がスクリーンを指差し、補給機の進路をなぞった。
「今回の任務は、補給機の安全な輸送だ。敵の襲撃があった場合、護衛機が敵を迎撃する。補給機の役割は、物資を無事に届けること。それ以上は求められないが、それでもこの作戦は危険が伴う。」
綾は玲音に視線を戻した。
「早瀬副官、君が今回の作戦に派遣された理由はわかるな?」
玲音は真っ直ぐに立ち、答えた。
「補給部隊の人員不足を補うためです。そして、規律を維持するのが私の役目です。」
綾は短く頷了解しました!では、引き続き物語を進めます。
綾は短く頷くと、再びスクリーンを指差した。
「その通りだ。だが、もう一つ理由がある。」
玲音は意外そうに綾の顔を見た。
「もう一つ……ですか?」
「実戦に慣れることだ。」
綾は静かに言った。
「憲兵の任務が基地内の規律維持だけで済む時代じゃない。非常時にはお前も、俺たちと同じ空を守る側に回る必要がある。その時に、初めて実戦に触れるようでは話にならない。」
玲音はその言葉の重みを噛み締めながら頷いた。
「了解しました。」
「では、準備に入れ。」
綾がそう告げると、ブリーフィングは終了した。
格納庫に向かうと、補給部隊が忙しく動き回っていた。
補給機03の搭乗員リストに名前が加えられた玲音は、物資の最終確認と規律のチェックを始めた。
「副官殿、戦闘区域に行くのは初めてか?」
整備士が笑いながら声をかけてきた。
「はい。しかし、憲兵としての任務を果たすことに変わりはありません。」
玲音はそう答えたが、緊張で手がわずかに震えているのを感じた。
「まぁ、肩の力を抜けよ。今回の護衛にはTSUBAMEがいるからな。」
整備士はそう言って親指を立てた。
その名前に、玲音の胸が少しだけ高鳴った。
父が手紙で語っていたTSUBAME――その人と同じ作戦に加わることが、どこか非現実的に思えた。
補給機03に乗り込むと、隊内通信の確認が始まった。
護衛の戦闘機4機は既に編隊を組み、補給機の周囲を固めている。
「TSUBAME 01より全機。護衛隊形を維持しろ。」
無線越しに綾の低く落ち着いた声が響く。
「TSUBAME 02、了解。」
「補給機01、了解。」
次々と応答が続く中、玲音も無線のスイッチを押した。
「補給機03、了解。」
機体がゆっくりと格納庫を抜ける。
エンジンの唸りが響き、隊形を保ったまま編隊は上昇を始めた。
しばらくは順調な進行が続いていた。
だが、警戒区域に差し掛かった瞬間、補給機のレーダーが異常を検知した。
「接近中の物体を確認。方位150、距離4000!」
補給機内部に緊張が走る。無線越しに報告が続く中、綾の冷静な声が響いた。
「TSUBAME 01より全機。敵機群を確認。護衛態勢を維持し、迎撃を開始する。」
敵の無人機群が視界に入ると、護衛機がすぐに動き出した。
2機1組の編隊が互いにフォーメーションを組み、戦闘態勢に入る。
「TSUBAME 01、左翼からの突破を阻止する。補給機03、隊形を崩すな。」
綾の戦闘機が視界に映る。まるで一筆書きのような滑らかな動きで、無人機群を翻弄し始めた。
その僚機が後方支援を行いながら、敵を確実に仕留めていく。
「補給機03、護衛態勢を維持します。」
玲音が緊張しながら報告すると、綾の返答が即座に返ってきた。
「そのまま行け。」
戦闘は10分以上続き、無人機群が撤退を始めた。
補給機は無傷で次の中継基地に到着し、任務は成功に終わった。
格納庫に戻ると、整備兵たちが補給機の点検を進める中、玲音は深く息を吐いた。
「初任務の感想は?」
背後から綾の声がした。
玲音は振り返り、少し間を置いて答えた。
「守られる側の重みを感じました。自分はまだ、空を守るには未熟だと……。」
綾は短く笑った。
「そう感じたなら、次の任務ではそれを覆すつもりで準備しろ。」
「了解しました。」
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