異世界でぼっち生活をしてたら幼女×2を拾ったので養うことにした

せんせい

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幼女と邪神とユキ

ぼっちと邪神と食料調達

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 とりあえずクレバスに言われるがまま食料を入れる袋に肉を詰め込んだ。

「次は野菜だな」
「野菜はいらんのじゃ。肉だけで十分じゃぞ?」

 野菜を嫌うクレバス。
 バーベキューで焼く野菜は普通で食べる野菜より美味しいんだぞ。
 同じ焼き方をしても味が違うように感じるのは景色や、その空間で食べることによるプラス要素なのだろうか。

 逃げだしそうなクレバスを小脇に抱えて農業空間へと向かう。

「さて、バーベキューと言ったら何の野菜がいいと思う?」
「妾は食わんぞ。断じて食わんのじゃ」
「そうかそうか、クレバスはピーマンが好きなんだな」
「やめい!!! 妾がピーマンを苦手と知っているだろう!? せめてタマネギにするのじゃ」

 抱えられながら手足を動かしてクレバスが駄々を捏ねる。
 タマネギなら食べると言っているので袋に入れる。

 他にもカボチャやピーマン、ナス、肉に巻くためのキャベツとレタス。
 毒のない食用のキノコ類も袋に詰め込んだ。


「こんなものだろう」
「シュウよ、さっきリュウノダケがあったように見えたのじゃが……?」
「リュウノダケ? 鱗みたいなのが付いてるキノコか?」
「そうじゃ。龍種の亡骸に生えると言われている幻のキノコじゃ。生える元となった亡骸が所有していた魔力の量によってキノコの保有する魔力の量が変わってくる、のじゃが……」

 そんな珍しいキノコだったのか。
 確かに、龍は死んでも素材が沢山使えることから死骸が残らなそうだな。
 死骸が残らないということはキノコが生えるほど放置されないってことだろう。

「尋常じゃない魔力の量が保有されておったぞ? 一体、何に生えておったのじゃ?」
「あー……確かサイガの尻尾だな」
「……龍王のか? お主、阿呆じゃろ?」
「生え変わるからって言われて、昔に貰ったんだけど置き場所無くて外に放置してたらキノコ生えてきたからそのままココに置いていたんだった」

 相当昔だぞ。貰ったの。
 初めて会って少ししてからぐらいの次元だ。

 あの時はまだ素材集めとかしていなかった頃だからテキトーに放置してたんだっけ。
 気が付いたらキノコが生えてた。
 
「キノコの味はどうなんだ?」
「魔力の量が多ければ多いほど美味い」
「よし、全部持って行くか」
「妾とお主は大丈夫かと思うが他三人が魔力中毒になったりせんか?」
「そんなに魔力多いか? 見た感じ、シロとミドリの半分。ユキの3分の1ぐらいだと思うんだが」
「なんじゃと!? あやつらそこまで魔力持っとるのか!?」
「まあ、そりゃ俺が常に全員の魔力許容量が上限になったら循環させて上限突破させてるからなぁ……」

 体内の魔力許容量が上限を超すと体の穴という穴から魔力が滲み出る。
 そこからさらに魔力を取り込んでしまうと量によっては体の内側から膨れ上がる魔力に耐え切れず、肉体が爆散する。

 なのでギリギリのところで魔力を循環させると魔力の通る道が太く強靭になり、許容量が増加する。
 身をもって実験したことだ。

 体内に魔力を溜める場所も節々にあり、魔力を循環させるときに溜める場所に負荷をかけるとより増加が顕著に出る……が尋常じゃない苦痛が伴うのでシロとミドリとユキにはやらない方針だ。

「なるほどのう……そういえばお主はどの程度の魔力を持ってるのじゃ?」
「サイガが米粒、俺が星」
「……どういうことじゃ?」
「対比だ。サイガの保有する魔力量が米粒だとして俺がこの星と同じぐらいの量だ」
「スケールが大きすぎて……理解に苦しむのじゃが? 龍王サイガでも妾の100倍以上の魔力を持っているのじゃぞ??」
「そうだな。普段はサイガの半分の魔力量しか使わないように封印しているだけだ」
「のう……?? それでも人体に収まる魔力の量じゃない気がするのじゃが……?」
「説明するのが面倒だ……後ででいいか?」
「うむ、また気が向いたときに頼むのじゃ」
「助かる」

 リュウノダケを袋に突っ込み、農業空間から出る。
 魔力の量に関しては俺の体に保有されている魔力はサイガの半分だ。

 だが、魔力が流れる至る所に空間魔法で別空間を作り出してそこを肉体の一部として認識させて魔力を溜めている場所が無数にある。
 そこが上限いっぱいまで溜まったら封印して新しい空間を作り出して……というのを5000年前ぐらいからやっている。

 肉体だけで溜めておけるのがサイガの半分で限度だったからなぁ……。
 どうにかして溜めれないか模索したものだ。

 いろいろ試して今の形に落ち着いたって感じだな。


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