上 下
3 / 90
国内編

第3話 成長

しおりを挟む
赤ちゃん生活はあっという間に過ぎて行き、俺はついに5歳となった。

5歳というのは、思っていたよりもずっとできる事が多い。身体は随分と大きくなり、自由に動かせるようになってきた。

知能面においても、『アイ』のおかげもあり学習能力が飛躍的に上昇している今の俺は、おそらく前世の俺を超えていた。




「97・・・98・・・99・・・100!終わった~」



【お疲れ様です。筋肉量や肺活量の増加を確認しました。明日からは150回を目標に頑張りましょう。】



「はぁ、はぁ・・・無理、しんどい、やめてくれ・・・・・・」



【では、すぐに呼吸を整えて下さい。】



「へいへい。」



疲れを取る作業は結構簡単で、魔力を体内で流せばすぐに元気になる。実際には、疲れが取れるのではなく、元気が有り余った結果楽に動けるようになるという表現が正しいが、今はどちらでもよい。とにかく身体に負荷をかけて強くする事が大事だ。



午前中は、まるで日本の昭和のような腕立て100回やランニング、剣術の練習を毎日やらされ、午後は家庭教師や母親と勉強という日々が続いた。



現在の俺の一日は、

6:30起床

7:00朝食

7:30~11:30鍛錬

12:30昼食

13:30~15:30昼寝

16:00~18:00勉強

19:00夕食

21:00睡眠

といった具合だ。まだ5歳なのにも関わらずアスリート並みのスケジュールだ。これは、『アイ』から提案された、現在の俺のレベルに対する最適解らしく、それに従っている。

ちなみにユリウスがいる時は、ユリウスの事優先だ。

そこは許してほしい。

この前は一緒に紙飛行機を作ったのだが、めっちゃ可愛かった。



次に両親の事だが、父親の方は色々と忙しいらしくたまにしか会えない。父親の職場は王都なのでそもそもたまにしか会えないのだ。



最初のうちは、父親が勉強を教えてくれたりもしたが、最近では俺の勉強についていけなくなったのか、王都に戻る事が増えた気がする。



だがこれは、別におかしい事じゃない。この世界の教育レベルは小学校の低学年が平均レベルだ。そもそも、学校が国内で一つしかなく、それも通学できるのは貴族と平民の一部だけらしい。



そして、計算などが全くできない父上は、領地経営を全て母親に丸投げらしい。母親は、俺の将来をとても気にしているらしく、小さい頃から足し算やら掛け算を教わった。たしかに俺も、よく字を間違えている父親を見ると頑張らなきゃだなと思う。



また、父親は貴族兼、国の軍人らしい。大陸の西の果てにある俺のいる国サーマルディア王国は、この世界で10番目ぐらいの国力を持つ中規模国だ。当然、国境を接して敵対国や友好国があるわけで、その防衛及び侵略を目的とした軍隊である国防軍の幹部クラスらしい。

しかもこれは、単に爵位の高い貴族だから、と言うわけではなく、武力によって認められたかららしい。



俺はそれを知った時、勉強が全くできない父親が幹部を務める軍隊とか終わってるな、と思わず思ってしまった。ついこの間も、簡単な掛け算を間違えて母上に怒られている姿を目撃した。まったく、これでよく軍人が務まるなと感心してしまう。

おそらく、俺の父親は脳筋担当で、作戦とか裏方とかはちゃんとまともな人が運営しているんだろうな、とこの時は期待していた。

この時は・・・・・・



そして最後に、俺はとりあえず順風満帆に長生きするという目標を立てた。転生してしまったのならまぁ仕方ない、生き残る手段を考えるまでである。

これからはこの目標に向かって頑張る事にした。




✳︎




翌日



「お父様、レオルドです。」



「入れ!」



「失礼します。」



呼び出された俺が部屋に入ると、真剣な顔つきの父親が俺を待っていた。執事長と母親がそれぞれ隣に控えており、何やら真剣そうな顔だ。



「お前に伝えなければならない事がある。」



「はい。」



「知っての通り、我が伯爵家の長男であるお前は将来この家を継ぎ、王国のために尽くす事になっている。もちろんこれは決定事項でお前に拒否権はない、だがどのような貴族になるかはお前の自由だ。」



「はい。」



父親の言おうとしている事がわからない。確かにこれは大切な事だとは思うが、今改めて言う必要はないと思う。

何があったんだ?

俺が疑問に思うと、すぐに答えが返ってきた。



「というわけで、お前の貴族として最初の任務だ。『領民のためになる事を何でもいいから一つせよ。』方法は問わない、自分で考えて自由に動いてくれ。」



「へ?」



おもわず、目が点である。

政策を何か1つしろという事か?

おいおい俺はまだ5歳だぞ?



「困ったらリヒトを頼れ、あいつは優秀な執事だ。お前の疑問にきっと答えてくれるはずだ。」



「身体に気をつけて下さいね、レオルド」



「と、いうわけだ。期間は半年以内だ。頑張れよ。」



「は、はい。」



そして俺は、訳も分からないまま、部屋を後にした。出されたこのお題は、俺の人生を変える事になる。




✳︎




レオルドが退室した直後。



「・・・・・・本当にこれでよろしかったのですか?」



「あぁ、通常では10歳の誕生日の際に貴族というものがどういうものなのかを教えるために代々我が家で出されてきた訓練だが、レオルドならなんとかなるだろう。」



「レオルドはまだ5歳なのですよ?」



「それは知っている、だがあいつの才能がどれほどのものなのか見てみたいというのが、本音だ。まだ5歳なのに四則演算を完璧にこなすレオルドならきっと、俺たちが想像もしない事をやってくれるさ。」



「そうでしょうか・・・・・・ところで1つ気になったのですが、あなたは昔何をやったのですか?」



「俺は周囲の森で狩りをして、獲った肉を領民に配るってのをやったな。何しろただで美味い肉が食えるという事で大好評だったぞ。」



「あなたらしいですね。」




__________________________________________________



どうでもいい話



ストックが尽きるまでは、毎日投稿しようと思います!

応援よろしくお願いします!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

モブ高校生と愉快なカード達〜主人公は無自覚脱モブ&チート持ちだった!カードから美少女を召喚します!強いカード程1癖2癖もあり一筋縄ではない〜

KeyBow
ファンタジー
 1999年世界各地に隕石が落ち、その数年後に隕石が落ちた場所がラビリンス(迷宮)となり魔物が町に湧き出した。  各国の軍隊、日本も自衛隊によりラビリンスより外に出た魔物を駆逐した。  ラビリンスの中で魔物を倒すと稀にその個体の姿が写ったカードが落ちた。  その後、そのカードに血を掛けるとその魔物が召喚され使役できる事が判明した。  彼らは通称カーヴァント。  カーヴァントを使役する者は探索者と呼ばれた。  カーヴァントには1から10までのランクがあり、1は最弱、6で強者、7や8は最大戦力で鬼神とも呼ばれる強さだ。  しかし9と10は報告された事がない伝説級だ。  また、カードのランクはそのカードにいるカーヴァントを召喚するのに必要なコストに比例する。  探索者は各自そのラビリンスが持っているカーヴァントの召喚コスト内分しか召喚出来ない。  つまり沢山のカーヴァントを召喚したくてもコスト制限があり、強力なカーヴァントはコストが高い為に少数精鋭となる。  数を選ぶか質を選ぶかになるのだ。  月日が流れ、最初にラビリンスに入った者達の子供達が高校生〜大学生に。  彼らは二世と呼ばれ、例外なく特別な力を持っていた。  そんな中、ラビリンスに入った自衛隊員の息子である斗枡も高校生になり探索者となる。  勿論二世だ。  斗枡が持っている最大の能力はカード合成。  それは例えばゴブリンを10体合成すると10体分の力になるもカードのランクとコストは共に変わらない。  彼はその程度の認識だった。  実際は合成結果は最大でランク10の強さになるのだ。  単純な話ではないが、経験を積むとそのカーヴァントはより強力になるが、特筆すべきは合成元の生き残るカーヴァントのコストがそのままになる事だ。  つまりランク1(コスト1)の最弱扱いにも関わらず、実は伝説級であるランク10の強力な実力を持つカーヴァントを作れるチートだった。  また、探索者ギルドよりアドバイザーとして姉のような女性があてがわれる。  斗枡は平凡な容姿の為に己をモブだと思うも、周りはそうは見ず、クラスの底辺だと思っていたらトップとして周りを巻き込む事になる?  女子が自然と彼の取り巻きに!  彼はモブとしてモブではない高校生として生活を始める所から物語はスタートする。

異世界へ追放された魔王、勇者召喚に巻き込まれて元の世界で無双する

朔日
ファンタジー
「性格に難あり」として神から別世界から地球へ追放された魔王ノワールは、黒羽在華覇という偽名を与えられ人間として生きる羽目になる。 在華覇は仕方なく暇つぶしに、幼馴染ポジションとして与えられた神野勇という人間を観察しながら過ごしていた。神野勇は弱いくせに無駄に正義感が強く厄介事に首を突っ込みたがる、厄介で不愉快だが見ていて暇にはならない人間だ。 勇からの親友扱いには困りつつもそこそこ騒がしい日々を満喫していたが、事態は一変する。勇が勇者として異世界へ召喚され、傍にいた在華覇も巻き込まれてしまったのだ。奇しくも召喚先は在華覇の元いた世界。 学園へ通い、ギルドに登録し、魔王を倒す勇者の旅に協力しと、巻き込まれなのに尽力する好青年の在華覇。 そんな表の顔とは裏腹に、神を欺けるほどノワールの性格は悪化していた。協力しているフリをしながら勇者たちの苦労を嘲笑うノワールの行く末は――

異世界転移の特典はとんでも無いチートの能力だった。俺はこの能力を極力抑えて使わないと、魔王認定されかねん!

アノマロカリス
ファンタジー
天空 光(てんくう ひかる)は16歳の時に事故に遭いそうな小学生の女の子を救って生涯に幕を閉じた。 死んでから神様の元に行くと、弟が管理する世界に転生しないかと持ち掛けられた。 漫画やゲーム好きで、現実世界でも魔法が使えないかと勉強をして行ったら…偏った知識が天才的になっていたという少年だった。 そして光は異世界を管理する神の弟にあって特典であるギフトを授けられた。 「彼に見合った能力なら、この能力が相応しいだろう。」 そう思って与えられた能力を確認する為にステータスを表示すると、その表示された数値を見て光は吹き出した。 この世界ではこのステータスが普通なのか…んな訳ねぇよな? そう思って転移先に降り立った場所は…災害級や天災級が徘徊する危険な大森林だった。 光の目の前に突然ベヒーモスが現れ、光はファイアボールを放ったが… そのファイアボールが桁違いの威力で、ベヒーモスを消滅させてから大森林を塵に変えた。 「異世界の神様は俺に魔王討伐を依頼していたが、このままだと俺が魔王扱いされかねない!」 それから光は力を抑えて行動する事になる。 光のジョブは勇者という訳では無い。 だからどんなジョブを入手するかまだ予定はないのだが…このままだと魔王とか破壊神に成りかねない。 果たして光は転移先の異世界で生活をしていけるのだろうか? 3月17日〜20日の4日連続でHOTランキング1位になりました。 皆さん、応援ありがとうございました.°(ಗдಗ。)°.

現代ダンジョンで成り上がり!

カメ
ファンタジー
現代ダンジョンで成り上がる! 現代の世界に大きな地震が全世界同時に起こると共に、全世界にダンジョンが現れた。 舞台はその後の世界。ダンジョンの出現とともに、ステータスが見れる様になり、多くの能力、スキルを持つ人たちが現れる。その人達は冒険者と呼ばれる様になり、ダンジョンから得られる貴重な資源のおかげで稼ぎが多い冒険者は、多くの人から憧れる職業となった。 四ノ宮翔には、いいスキルもステータスもない。ましてや呪いをその身に受ける、呪われた子の称号を持つ存在だ。そんな彼がこの世界でどう生き、成り上がるのか、その冒険が今始まる。

料理の上手さを見込まれてモフモフ聖獣に育てられた俺は、剣も魔法も使えず、一人ではドラゴンくらいしか倒せないのに、聖女や剣聖たちから溺愛される

向原 行人
ファンタジー
母を早くに亡くし、男だらけの五人兄弟で家事の全てを任されていた長男の俺は、気付いたら異世界に転生していた。 アルフレッドという名の子供になっていたのだが、山奥に一人ぼっち。 普通に考えて、親に捨てられ死を待つだけという、とんでもないハードモード転生だったのだが、偶然通りかかった人の言葉を話す聖獣――白虎が現れ、俺を育ててくれた。 白虎は食べ物の獲り方を教えてくれたので、俺は前世で培った家事の腕を振るい、調理という形で恩を返す。 そんな毎日が十数年続き、俺がもうすぐ十六歳になるという所で、白虎からそろそろ人間の社会で生きる様にと言われてしまった。 剣も魔法も使えない俺は、少しだけ使える聖獣の力と家事能力しか取り柄が無いので、とりあえず異世界の定番である冒険者を目指す事に。 だが、この世界では職業学校を卒業しないと冒険者になれないのだとか。 おまけに聖獣の力を人前で使うと、恐れられて嫌われる……と。 俺は聖獣の力を使わずに、冒険者となる事が出来るのだろうか。 ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

その最弱冒険者、実は査定不能の規格外~カースト最底辺のG級冒険者ですが、実力を知った周りの人たちが俺を放っておいてくれません~

詩葉 豊庸(旧名:堅茹でパスタ)
ファンタジー
※おかげさまでコミカライズが決定致しました!  時は魔法適正を査定することによって冒険者ランクが決まっていた時代。  冒険者である少年ランスはたった一人の魔法適正Gの最弱冒険者としてギルドでは逆の意味で有名人だった。なのでランスはパーティーにも誘われず、常に一人でクエストをこなし、ひっそりと冒険者をやっていた。    実はあまりの魔力数値に測定不可能だったということを知らずに。  しかしある日のこと。ランスはある少女を偶然助けたことで、魔法を教えてほしいと頼まれる。自分の力に無自覚だったランスは困惑するが、この出来事こそ彼の伝説の始まりだった。 「是非とも我がパーティーに!」 「我が貴族家の護衛魔術師にならぬか!?」  彼の真の実力を知り、次第にランスの周りには色々な人たちが。  そしてどんどんと広がっている波紋。  もちろん、ランスにはそれを止められるわけもなく……。  彼はG級冒険者でありながらいつしかとんでもない地位になっていく。

よくある転生だった!だが俺は勇者じゃなかった

ベルピー
ファンタジー
よくある異世界転生。俺こと、美波勇気もテンプレのように毎日毎日の残業残業で倒れてしまった。 ここでテンプレならチートを授かるモノだが、気づいたらゲームの世界にいた。 そう、昔少しだけ流行ったドラゴンファンタジーのゲームの世界だ。有名ロールプレイングゲームを真似て作られた為、そこまで人気はなかったが俺はこのゲームが好きでけっこうやりこんでいた。 勇者だったらハッピーエンドを迎えたのに、俺が転生したのは勇者とともに魔王を討伐する友人のキャラだった。 一緒に魔王を倒したならそこそこ良いキャラじゃね?と思うかもしれないが、このキャラ。魔王と戦う直前に好きな人を勇者に取られてそのままヤケクソになって魔王に向かって死んでしまうのだ。。。 俺は死にたくない。ゲームの知識を活かして生き残るしかない!!

処理中です...