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第二章 動き出す

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「まぁ、ライハの異常はこの際置いといて。そのリベルターから借りたっていうネコの首輪はどのくらいで外れそうなんだ?全て戻すまでは外れないんだろう?」

「あのときはもう借りれるだけ借りようってかんじだったから、おぼえてない」

ネコいわくドバドバ使ってたらしい。
文句は言えない、オレのために借りたのだから。

「そうか。で、一つ確認したいんだが、いいか?」

「?」

「なんですか?」

「ネコは自分で魔力は作れないんだよな」

なんで今さらそんな確認をするのか。

「え、うん」

「能力解放分の魔力はどうしてる?消費魔力増えてるんだろ?」

「もちろんライハの魔力つかってる」

「………、あ」

唐突にカリアが声をあげた。
そして「あちゃー、そういうことか」と天を仰ぎ始めた。どうしたんだ。

「ライハ、これから俺が言う事をよく考えてみろ」

ザラキが色々メモをした紙をどかして、新しい紙に箇条書きをする。

「まず、

・お前は通常よりも消滅しやすい。

・悪魔との融合による負荷。ネコとの融合が強まって形を維持する為の消費魔力増加。
(ネコは魔力を作れないのでライハの魔力)

・生命の危機で主導権がネコに移動。

・リベルターの魔具に魔力を借りた為に死なない程度で元に戻るまでの間常に魔力吸われる。
(ネコが借りたが、ネコは魔力を作れないので負担はライハの魔力)

・ネコの能力解放の為消費魔力増加。
(ライハの魔力)


さぁ、現在のお前さんの魔力負担はどんなもんなんだろうな~。俺から言わしてもらうととんでもない量の魔力が毎日、それこそ湯水の勢いでネコに吸われてるように見えるが、お前さん、よく元気に生きてられるなって関心してるんだけど」

「わぁー、ほんとだオレが全部負担してるー!いっけね!無自覚の内に過労死寸前だぜ!!ガッデム!!!」

スパァンと自分の太ももを叩いた。
怒りに任せて投げるものが無かったからである。

ネコはオレの突然の行動に吃驚してビクッと体を弾ませたがちょっと今謝れない。

お前のせいかよ!!ネコが原因とか「はははそんなただの猫になんの原因あんだよ」とか思ってたけど納得いったわ!!!
でも半分オレの為だから怒るに怒れない!!

この怒りをどこにぶつけたらよいかワナワナしてたら、カリアが無言で馬鹿みたいに固いことで有名なマテラ牛の干し肉を手渡してきた。






「落ち着いたか?」

「ええ、まぁ。だいぶ…」

怒りに任せて干し肉を噛み続けたら怒りが治まってきた。
足元でもネコが美味そうにオレのと同じ干し肉を齧ってるのを眺めてたら、なんだか怒るに気力も失せてきた。

「お前、子供の怒りを鎮めるの上手いな」

「なに、キリコも干し肉あげたら大人しくなったから同じようにしただけよ。アウソには効かんったけどね」

「………」

なるほど、キリコはオレと同じ八つ当たりタイプか。今度から苛ついたら干し肉噛もう。怒りも治まるし美味いし顎鍛えられるし、一石三鳥だ。

「さて、落ち着いたところで続きを、あれ?これさっきも言ったな…。まぁいいや。続きといこう。ライハの魔力負担のせいで死にかけてる件だがな、何とかする方法はある」

「あふぅんへふか!?」

「飲み込んでから喋るよ、分からん」

無心で肉を噛み、飲み込む。

「あるんですか!?」

「一応な。やるか?」

「やります!!」

希望が見えた。
死なないで済むのなら何でもしますとも!

「よし分かった。カリア、王都往復はどのくらいだ?」

「そうね、飛ばせばだいたい二週間ちょっとってところよ」

「充分だ」

ザラキが立ち上がる。



「さーて、では今日の夜から特訓開始だ。心しておくように!!」






浮かべている笑顔が、カリアさんそっくりでした。
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