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第二章 動き出す
ネコいわく
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リラックス効果のあるというシャンピェン茶を飲んで一息つくと気持ち悪いのが和らいだ。
「大丈夫か?」
「だいぶ落ち着きました」
「仕方ない、大量の悪魔が体に侵入するだけでなく融合しているとか言われたらコッチでも気持ち悪くなる」
『そういうもんか?』
「人はそういうもんだよ」
ネコは分からんなと呟くと『ふーん』と言った。ネコにはどうもピンと来ない事なのだろう。
「さて、落ち着いたところで続きを初めて良いかな」
「はい」
『あ、じゃあしっぽ』
「ありがとう」
尻尾を二人に渡して再び話し合いに戻る。
「えーと、どこまでだったか」
「オレが洞窟に放置されていた件についてです」
「ああ、そうだ。ネコ、説明できるか?」
『かんたんでいい?』
「大丈夫だ」
「じゃあ、まずさいしょなんだけどーー」
ネコは初めての宿主消滅の危機に必死になっていた。
数多の悪魔達が突然混ざり込み、宿主を侵食していく。ついで自分が宿主と融合しようとしているともなればネコは焦りに焦った。このままでは宿主もろとも自分まで消滅してしまうと。
ーーせっかく生まれたのに消滅してたまるか!!
ネコは必死に考え抜いて、そしてとある手段に出た。
ーー融合してしまうのならば、それを逆手に取り反撃に移ろう。
まずネコは宿主の意識そのままに取り込み、宿主を形作る魔力と融合した。もともと脆かった分すんなりと上手くいった。そして魔力を操り自分としての形を作り出す。形なんて元々存在していなかったが、作り出すのならばより強く、より動きやすいものへと宿主の記憶を漁って作り上げた。
選んだのはネコだった。普通のネコよりも更に強く強靭なネコ。
出来たばかりで不完全な存在な為に光を反射できないなどの欠点はあるものの、獲物を仕留めるには充分なものだった。
ネコは宿主の形を呑み込み自分の中に保管し、敵を仕留めるために全力で追った。
『まぁ、けっきょく完全にしとめる前にオウム共にジャマされて飛ばされたがな』
「オウムって、まさかウコヨとサコネが!?」
『そー、あいつら問答無用で飛ばすからさ。ただでさえ体もろかったのに崩かいするかと思ったぜ』
そして辿り着いたのはマテラの森で、ネコは強くなるために、そして宿主の回復を早めるべくそこらの獲物を根こそぎ狩っては食べまくってたらしい。
『んで、気づいたらその森の主とたたかうハメになってた』
「そりゃーな、そうなるわ」
『いちおー半分はライハの意思もあったんだからな!!』
「そんな事覚えてないわ」
シャーッ!とネコが牙を剥き出した。
うわー、こえー。
「で、それでどうしたの?」
『なんとか勝ったんだけどケガがひどいから休もうとしたら、ライハの体からはじき出されてもどれなくなって、困ってた』
ネコは戻ろうと頑張ったらしい。だけど、何故か戻れなくて悩んでいたという。
「恐らくネコの体が長期間 猫の形をしていたから魔力が形を覚えてしまって、魔力が回復してきたライハを取り込み続ける事が出来なくなったから弾き出されたんだろう」
『でも形の主体ってか、宿主がライハだったからケガがライハに残っちゃって、どうにかしようとガンバって傷ついているのをこっちに流して治してた。ネコの方が治るの早いし。それでもうごけないから どうしよっかなってしてたらカリアが来てくれてたすかった』
「あんたコッチの事最初咬んだじゃない」
『テキだとおもったの!!』
初めはそれで何とかなっていたらしい。
魔力欠乏で冷えた腕を舐めて症状を軽くしたり、剣で切れた掌を治したり。
ネコとの融合が強く、魔力操作が出来たから成せる裏技だった。だけど、とネコは急に不機嫌になる。
『さらわれたときのやつ。あれな、本気でヤバイって思って、もういちど しゅどうけん をうつしたんだよ。でもさ、げんどってあるじゃん。毎日毎日毎日、ケガばーっかこさえてきて、なんなの?って。こちとらひっしこいて魔力借りて送ってケガ肩代わりして、もうどっちが主人?みたいな。あやまってくれたから ゆるすけど』
「…………」
怒ってらっしゃる。
ほんとにあの時は申し訳なかった。
調子乗ってました。もうしません。
『でも、あのあとかな。なんか魔力がおかしくなった気がしたんだよ』
主導権が戻せなくなった。
どうなに戻そうとしてもうまく戻らない。
でもライハもネコも異常は無かったからまぁ良いやと思ってた。ネコは観測者に能力解放してもらって形がしっかりしてきたし、形を自由に出来るし、喋れるようになるし。とても嬉しかった。だから、ライハの体から魔力が放出され始めているのも何らかの能力なのかと思っていた。
『だってまさか!って、ふつーネコが変化してるんたからライハ変化してるんだって思うじゃん!!』
「まぁ、でも、基本魔力ってのは力の強いものに移動しやすくなるもんなんだ。しかも主導権はネコが持ってるなら尚更だ」
『ぶーーーっ!』
「それでもライハは異常無かったじゃない。魔力が減ったり放出されれば熱が出たりするはずよ」
『そこなんだよ、多分来たときから異常だったから反応出来たなかったんだろう』
「言い方ひどいですザラキさん」
「大丈夫か?」
「だいぶ落ち着きました」
「仕方ない、大量の悪魔が体に侵入するだけでなく融合しているとか言われたらコッチでも気持ち悪くなる」
『そういうもんか?』
「人はそういうもんだよ」
ネコは分からんなと呟くと『ふーん』と言った。ネコにはどうもピンと来ない事なのだろう。
「さて、落ち着いたところで続きを初めて良いかな」
「はい」
『あ、じゃあしっぽ』
「ありがとう」
尻尾を二人に渡して再び話し合いに戻る。
「えーと、どこまでだったか」
「オレが洞窟に放置されていた件についてです」
「ああ、そうだ。ネコ、説明できるか?」
『かんたんでいい?』
「大丈夫だ」
「じゃあ、まずさいしょなんだけどーー」
ネコは初めての宿主消滅の危機に必死になっていた。
数多の悪魔達が突然混ざり込み、宿主を侵食していく。ついで自分が宿主と融合しようとしているともなればネコは焦りに焦った。このままでは宿主もろとも自分まで消滅してしまうと。
ーーせっかく生まれたのに消滅してたまるか!!
ネコは必死に考え抜いて、そしてとある手段に出た。
ーー融合してしまうのならば、それを逆手に取り反撃に移ろう。
まずネコは宿主の意識そのままに取り込み、宿主を形作る魔力と融合した。もともと脆かった分すんなりと上手くいった。そして魔力を操り自分としての形を作り出す。形なんて元々存在していなかったが、作り出すのならばより強く、より動きやすいものへと宿主の記憶を漁って作り上げた。
選んだのはネコだった。普通のネコよりも更に強く強靭なネコ。
出来たばかりで不完全な存在な為に光を反射できないなどの欠点はあるものの、獲物を仕留めるには充分なものだった。
ネコは宿主の形を呑み込み自分の中に保管し、敵を仕留めるために全力で追った。
『まぁ、けっきょく完全にしとめる前にオウム共にジャマされて飛ばされたがな』
「オウムって、まさかウコヨとサコネが!?」
『そー、あいつら問答無用で飛ばすからさ。ただでさえ体もろかったのに崩かいするかと思ったぜ』
そして辿り着いたのはマテラの森で、ネコは強くなるために、そして宿主の回復を早めるべくそこらの獲物を根こそぎ狩っては食べまくってたらしい。
『んで、気づいたらその森の主とたたかうハメになってた』
「そりゃーな、そうなるわ」
『いちおー半分はライハの意思もあったんだからな!!』
「そんな事覚えてないわ」
シャーッ!とネコが牙を剥き出した。
うわー、こえー。
「で、それでどうしたの?」
『なんとか勝ったんだけどケガがひどいから休もうとしたら、ライハの体からはじき出されてもどれなくなって、困ってた』
ネコは戻ろうと頑張ったらしい。だけど、何故か戻れなくて悩んでいたという。
「恐らくネコの体が長期間 猫の形をしていたから魔力が形を覚えてしまって、魔力が回復してきたライハを取り込み続ける事が出来なくなったから弾き出されたんだろう」
『でも形の主体ってか、宿主がライハだったからケガがライハに残っちゃって、どうにかしようとガンバって傷ついているのをこっちに流して治してた。ネコの方が治るの早いし。それでもうごけないから どうしよっかなってしてたらカリアが来てくれてたすかった』
「あんたコッチの事最初咬んだじゃない」
『テキだとおもったの!!』
初めはそれで何とかなっていたらしい。
魔力欠乏で冷えた腕を舐めて症状を軽くしたり、剣で切れた掌を治したり。
ネコとの融合が強く、魔力操作が出来たから成せる裏技だった。だけど、とネコは急に不機嫌になる。
『さらわれたときのやつ。あれな、本気でヤバイって思って、もういちど しゅどうけん をうつしたんだよ。でもさ、げんどってあるじゃん。毎日毎日毎日、ケガばーっかこさえてきて、なんなの?って。こちとらひっしこいて魔力借りて送ってケガ肩代わりして、もうどっちが主人?みたいな。あやまってくれたから ゆるすけど』
「…………」
怒ってらっしゃる。
ほんとにあの時は申し訳なかった。
調子乗ってました。もうしません。
『でも、あのあとかな。なんか魔力がおかしくなった気がしたんだよ』
主導権が戻せなくなった。
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「まぁ、でも、基本魔力ってのは力の強いものに移動しやすくなるもんなんだ。しかも主導権はネコが持ってるなら尚更だ」
『ぶーーーっ!』
「それでもライハは異常無かったじゃない。魔力が減ったり放出されれば熱が出たりするはずよ」
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