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第一章 ホールデンにて
プロローグ
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クリスマス。
それは恋人達の日、きらびやかなイルミネーションに囲まれて皆が楽しそうに笑っている。
空から振ってきた白い雪も、恋人達を祝福している。
「お願い!私と別れてほしいの!」
その日、天津雷覇は四年間付き合っていた彼女にフラれた。
理由は訊いても答えてくれず、ただ別れて欲しいと、その言葉だけを繰り返す彼女は最後に「ごめん」と小さく言葉を紡いで去っていった。
前日買った彼女へのプレゼントを公園のゴミ箱へ叩き込んでため息をつく。
なんでこうなった。
昨日までは、彼女も今日を楽しみにしていた。クリスマス一緒に過ごそうねって、デートしてケーキ食べて。
別れて欲しそうな素振りはまったくなかったのに、なんでいきなり。あ、やばいまた涙が。
空を見上げて涙をこらえるが、ショックが大きすぎて堪えきれない。
「あーーー……くそっ」
乱暴に涙を拭って息を吐き出した。
「こうなったら自棄だ。どうせ家には今日帰らないって伝えてあるんだし、漫画喫茶でもいって気分転換しよう」
方向転換して駅前の漫画喫茶を目指す。
その途中のコンビニで週刊少年スキップとコーヒー、そして自分へのプレゼントとして小さなケーキも買ってしまった。別に良いだろ、こんな日くらい。
暖かいコーヒーを飲むと、傷付き冷えきった心も何となく温まった気がした。
人生こんなこともある、大丈夫大丈夫。
そう言い聞かせながらきらびやかな道を歩く。
「クリスマスプレゼントでーす!よろしかったらどうぞー!」
駅前の道でサンタコスしたお姉さんがチラシを手渡してきた。
(こんな寒い中ミニスカートとか…頑張るな)
特に断る理由もないので受け取る。
「…なんだこれ」
てっきりただの広告とか載ってるチラシかと思ったら、真っ白な紙に円形の複雑な紋様が掛かれただけのものだった。
「?」
裏返してみるがそこには何も書かれていない。
もう一度紋様を見てみると、紋様の中に小さく何かの文字が見えた。なんだろ、見たことある文字な気がするけど、よく見えない。
紙を睨み付けるようにして、その文字を少しずつ読み始めた。
「なんじ、わ、が…といかけにこ…たえよ、…われは…、わ、たすもの………け…いやく……す、る……、…《サモン》?」
次の瞬間、紙の中の紋様が強烈な光を放ち始めた。
「!!?」
フォン。
そんな音と共に足元にも全く同じ紋様が展開。耳元で聞いたことのない言葉が何かを言っている。何が起こっているのか全くわからない。なんだこれは!
周りの人達が異常事態に気付いて一斉に逃げ出し、聖なる夜の駅前があっという間に悲鳴の嵐と化す。
「なんか知らんけどヤバイ!!」
慌ててこの意味のわからない事態から逃げようと一歩足を踏み出したその時、紋様から放たれた強烈な光に視界はあっという間に呑み込まれた。
それは恋人達の日、きらびやかなイルミネーションに囲まれて皆が楽しそうに笑っている。
空から振ってきた白い雪も、恋人達を祝福している。
「お願い!私と別れてほしいの!」
その日、天津雷覇は四年間付き合っていた彼女にフラれた。
理由は訊いても答えてくれず、ただ別れて欲しいと、その言葉だけを繰り返す彼女は最後に「ごめん」と小さく言葉を紡いで去っていった。
前日買った彼女へのプレゼントを公園のゴミ箱へ叩き込んでため息をつく。
なんでこうなった。
昨日までは、彼女も今日を楽しみにしていた。クリスマス一緒に過ごそうねって、デートしてケーキ食べて。
別れて欲しそうな素振りはまったくなかったのに、なんでいきなり。あ、やばいまた涙が。
空を見上げて涙をこらえるが、ショックが大きすぎて堪えきれない。
「あーーー……くそっ」
乱暴に涙を拭って息を吐き出した。
「こうなったら自棄だ。どうせ家には今日帰らないって伝えてあるんだし、漫画喫茶でもいって気分転換しよう」
方向転換して駅前の漫画喫茶を目指す。
その途中のコンビニで週刊少年スキップとコーヒー、そして自分へのプレゼントとして小さなケーキも買ってしまった。別に良いだろ、こんな日くらい。
暖かいコーヒーを飲むと、傷付き冷えきった心も何となく温まった気がした。
人生こんなこともある、大丈夫大丈夫。
そう言い聞かせながらきらびやかな道を歩く。
「クリスマスプレゼントでーす!よろしかったらどうぞー!」
駅前の道でサンタコスしたお姉さんがチラシを手渡してきた。
(こんな寒い中ミニスカートとか…頑張るな)
特に断る理由もないので受け取る。
「…なんだこれ」
てっきりただの広告とか載ってるチラシかと思ったら、真っ白な紙に円形の複雑な紋様が掛かれただけのものだった。
「?」
裏返してみるがそこには何も書かれていない。
もう一度紋様を見てみると、紋様の中に小さく何かの文字が見えた。なんだろ、見たことある文字な気がするけど、よく見えない。
紙を睨み付けるようにして、その文字を少しずつ読み始めた。
「なんじ、わ、が…といかけにこ…たえよ、…われは…、わ、たすもの………け…いやく……す、る……、…《サモン》?」
次の瞬間、紙の中の紋様が強烈な光を放ち始めた。
「!!?」
フォン。
そんな音と共に足元にも全く同じ紋様が展開。耳元で聞いたことのない言葉が何かを言っている。何が起こっているのか全くわからない。なんだこれは!
周りの人達が異常事態に気付いて一斉に逃げ出し、聖なる夜の駅前があっという間に悲鳴の嵐と化す。
「なんか知らんけどヤバイ!!」
慌ててこの意味のわからない事態から逃げようと一歩足を踏み出したその時、紋様から放たれた強烈な光に視界はあっという間に呑み込まれた。
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