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五章・五ツ星を目指しまして
『イクラート』
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リーンとスーグを見送って約一月をここで過ごし、ドラゴンを三体ほど狩るとこの辺りにはドラゴンの依頼が無くなってしまった。
狩り尽くしたのか、危険を察知して移動してしまったのかは分からないが、それならもうここにいる理由もないので俺達も旅立つ事にした。
ターリャの意見を交えて馬具の装飾が増えた。
何でも、これから向かうイクラートで流行っているものらしい。
「この、鳥の羽が?」
「うん。鳥の羽が」
見た目、インディアンなんだが。頭の飾りに羽がなくて良かったと思うべきか。
まぁ、あんだけ熱心に勉強していたターリャだ。間違いは無いだろう。
馬を走らせ二日ほどで国境へと辿り着いた。
アイリスでは考えられないほどに国境の壁が低い。もはや塀だろうと突っ込みたくなるが、ウンドラとイイクラートは元々仲が良い。本来国境の壁すらも要らない程であるが、あくまでも形式的に設置しているに過ぎないのだと言う。
羨ましいこって。
国境を守る門番に冒険者カードを提示すればすぐに通される。
僅かにだけど、空気が変わったような感じがした。
「最初の街は何処にいく?」
「そうだな。できるだけ最短距離をと考えているから、そのまま西の方に行こう」
「じゃあこのローカークニ?」
「そうだな」
ターリャが広げるパンフレットをゼウイをルシーに寄せて覗き込むと、こちらもびっしり書き込みが。
目が痛い。
「スーグのおすすめはこのあっさりヨーグルトだって」
「? 喧嘩する前の話しか?」
「この書き込み、リーンさんとスーグの二人でやってるの。こっちの可愛い文字がリーンさん。で、このちょっと汚い走り書きみたいなのがスーグ」
「……性格が出てるな」
「私これ見て文字綺麗にする練習してるの。人に見せるなら綺麗な文字のが良い」
「なるほど」
道理で最近ターリャが床にペンほどの小枝で書き取り練習してたのか。てっきり魔法陣描く練習しているのかと思った。
そういえば俺の文字は普通だと思ってたんだけど、いざ見返してみたら癖があるかもな。
直してみるか。
馬を歩かせ半日、森が見えてきた。
ウンドラでは乾燥地帯が多いために砂漠や岩場、草原などが殆どだったが、ここ、イクラートは雨が多いからか森が多い。ジャングルまではいかないけれど、それなりに鬱蒼と繁っていた。
思えばアイリスは乾燥しているけど霧が多いからウンドラよりは緑が多かったな。
なんだろうなこの差。
「他には何があるんだ?」
「うーん、ミカンとかレモンとか、イチゴもある」
「果実系だな」
「凄い楽しみ。プリンあるかな?」
「ヨーグルトあるんだから、プリンくらいあるんじゃないか?」
「あったら良いな」
プリンか。最近食べてないな。
もし入ったお店にあったら俺も注文しよう。
森の中にある整備された道を歩いていると、分かれ道。そこに看板が立っていた。
「この先真っ直ぐ『ローカークニ』。右は海、か。親切だな」
「親切だね」
看板の案内通りに進んでいくと、木々の中に人工物が覗き見えてきた。
木の枝には細長く裂かれた布が結び付けられていて、それが風で揺れている。なんだこれ。
「トキ、見えてきたよ」
小川に掛けられた橋を渡り、すぐに街が見えてきた。
石垣に囲まれた街だ。
これがローカークニ街か。
入口らしき所には鳥居に似た建造物が立っていて、七色に光る貝殻がたくさん下げられていた。
「門番の姿がないね」
「だな」
ターリャが辺りを探しても門番らしき人の姿がない。
しかも俺達と同じ旅人みたいな人が、何の手続きもしないまま中に入っていくのを見て、思わずターリャと顔を合わせた。
「もしかして門番いないのかな」
「見た感じそうみたいだけど、警備は大丈夫なのか?」
他人事なのに心配になってくる。
「面白いね!もし違ったら素直に怒られよう」
「すごい前向きだな」
ターリャに引っ張られるようにして門に向かい、そのままくぐる。
何の問題もなく、すんなりと街の中に入れてしまった。
「おお…っ」
街の様子を見て俺は思わず感動してしまった。
見渡す限りほぼ獣人。しかも犬猫狐にたまにタヌキも混じっている毛者族と呼ばれる獣人達だった。
そんな獣人達が寄ってらっしゃい見てらっしゃいと景気良く商いに励んでいた。
「毛色違うスーグに似たのもいる」
「虎毛の猫の獣人かな。さすがに爬虫類系はいないか」
「よし!先に宿見つけて、プリン探しにいこ!お腹すいた!」
「そうだな。まずは腹ごしらえだ」
プリンは無かったが、プリンに似た蒸し卵を見つけた。
蒸し卵とヨーグルトをペロリと平らげて満足したらしいターリャがお腹を撫でながら「はー、満足満足」と幸せそうな顔で言っていた。
改めてもう一度観察してみるが、やはり獣人が多い。八割獣人だ。
なるほど、ウンドラとイクラートが仲が良いわけだ。
アイリスとは絶対に反りが合わないだろうな。確実にまた戦争が起きる。
「次に何処にいく?」
「まずはギルドを確認したい。そっから滞在するかを考える」
小さいなら補充で止めて、大きいもう少し大きい街に行く。
これは経験談だけど、規模の大きいギルドはやはり大きな街にあるし、そのギルドの方がドラゴンの依頼が多く受けられる。
「そうだね!そうしよう!」
果実水を飲み干し、店を出た。
通りは人の通りが多い。はぐれないようにしないとな。
近くの露店の人にギルドの場所を教えてもらい、ギルドへ向かう。目印は大きな鐘のある塔らしい。
上を指差されながら説明され、言われた通りに上を見上げるとすぐに塔らしきものが見付かった。
見た感じ大きそうで期待が高まる。
狩り尽くしたのか、危険を察知して移動してしまったのかは分からないが、それならもうここにいる理由もないので俺達も旅立つ事にした。
ターリャの意見を交えて馬具の装飾が増えた。
何でも、これから向かうイクラートで流行っているものらしい。
「この、鳥の羽が?」
「うん。鳥の羽が」
見た目、インディアンなんだが。頭の飾りに羽がなくて良かったと思うべきか。
まぁ、あんだけ熱心に勉強していたターリャだ。間違いは無いだろう。
馬を走らせ二日ほどで国境へと辿り着いた。
アイリスでは考えられないほどに国境の壁が低い。もはや塀だろうと突っ込みたくなるが、ウンドラとイイクラートは元々仲が良い。本来国境の壁すらも要らない程であるが、あくまでも形式的に設置しているに過ぎないのだと言う。
羨ましいこって。
国境を守る門番に冒険者カードを提示すればすぐに通される。
僅かにだけど、空気が変わったような感じがした。
「最初の街は何処にいく?」
「そうだな。できるだけ最短距離をと考えているから、そのまま西の方に行こう」
「じゃあこのローカークニ?」
「そうだな」
ターリャが広げるパンフレットをゼウイをルシーに寄せて覗き込むと、こちらもびっしり書き込みが。
目が痛い。
「スーグのおすすめはこのあっさりヨーグルトだって」
「? 喧嘩する前の話しか?」
「この書き込み、リーンさんとスーグの二人でやってるの。こっちの可愛い文字がリーンさん。で、このちょっと汚い走り書きみたいなのがスーグ」
「……性格が出てるな」
「私これ見て文字綺麗にする練習してるの。人に見せるなら綺麗な文字のが良い」
「なるほど」
道理で最近ターリャが床にペンほどの小枝で書き取り練習してたのか。てっきり魔法陣描く練習しているのかと思った。
そういえば俺の文字は普通だと思ってたんだけど、いざ見返してみたら癖があるかもな。
直してみるか。
馬を歩かせ半日、森が見えてきた。
ウンドラでは乾燥地帯が多いために砂漠や岩場、草原などが殆どだったが、ここ、イクラートは雨が多いからか森が多い。ジャングルまではいかないけれど、それなりに鬱蒼と繁っていた。
思えばアイリスは乾燥しているけど霧が多いからウンドラよりは緑が多かったな。
なんだろうなこの差。
「他には何があるんだ?」
「うーん、ミカンとかレモンとか、イチゴもある」
「果実系だな」
「凄い楽しみ。プリンあるかな?」
「ヨーグルトあるんだから、プリンくらいあるんじゃないか?」
「あったら良いな」
プリンか。最近食べてないな。
もし入ったお店にあったら俺も注文しよう。
森の中にある整備された道を歩いていると、分かれ道。そこに看板が立っていた。
「この先真っ直ぐ『ローカークニ』。右は海、か。親切だな」
「親切だね」
看板の案内通りに進んでいくと、木々の中に人工物が覗き見えてきた。
木の枝には細長く裂かれた布が結び付けられていて、それが風で揺れている。なんだこれ。
「トキ、見えてきたよ」
小川に掛けられた橋を渡り、すぐに街が見えてきた。
石垣に囲まれた街だ。
これがローカークニ街か。
入口らしき所には鳥居に似た建造物が立っていて、七色に光る貝殻がたくさん下げられていた。
「門番の姿がないね」
「だな」
ターリャが辺りを探しても門番らしき人の姿がない。
しかも俺達と同じ旅人みたいな人が、何の手続きもしないまま中に入っていくのを見て、思わずターリャと顔を合わせた。
「もしかして門番いないのかな」
「見た感じそうみたいだけど、警備は大丈夫なのか?」
他人事なのに心配になってくる。
「面白いね!もし違ったら素直に怒られよう」
「すごい前向きだな」
ターリャに引っ張られるようにして門に向かい、そのままくぐる。
何の問題もなく、すんなりと街の中に入れてしまった。
「おお…っ」
街の様子を見て俺は思わず感動してしまった。
見渡す限りほぼ獣人。しかも犬猫狐にたまにタヌキも混じっている毛者族と呼ばれる獣人達だった。
そんな獣人達が寄ってらっしゃい見てらっしゃいと景気良く商いに励んでいた。
「毛色違うスーグに似たのもいる」
「虎毛の猫の獣人かな。さすがに爬虫類系はいないか」
「よし!先に宿見つけて、プリン探しにいこ!お腹すいた!」
「そうだな。まずは腹ごしらえだ」
プリンは無かったが、プリンに似た蒸し卵を見つけた。
蒸し卵とヨーグルトをペロリと平らげて満足したらしいターリャがお腹を撫でながら「はー、満足満足」と幸せそうな顔で言っていた。
改めてもう一度観察してみるが、やはり獣人が多い。八割獣人だ。
なるほど、ウンドラとイクラートが仲が良いわけだ。
アイリスとは絶対に反りが合わないだろうな。確実にまた戦争が起きる。
「次に何処にいく?」
「まずはギルドを確認したい。そっから滞在するかを考える」
小さいなら補充で止めて、大きいもう少し大きい街に行く。
これは経験談だけど、規模の大きいギルドはやはり大きな街にあるし、そのギルドの方がドラゴンの依頼が多く受けられる。
「そうだね!そうしよう!」
果実水を飲み干し、店を出た。
通りは人の通りが多い。はぐれないようにしないとな。
近くの露店の人にギルドの場所を教えてもらい、ギルドへ向かう。目印は大きな鐘のある塔らしい。
上を指差されながら説明され、言われた通りに上を見上げるとすぐに塔らしきものが見付かった。
見た感じ大きそうで期待が高まる。
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