79 / 100
五章 聖地の守護者
80話
しおりを挟む
そこは小さいながらも美しい教会だった。
ただ正面の扉は頑丈に施錠されており、俺達は裏口から内部へと招き入れられた。
とはいえ罠というわけではないようで、教壇の前で跪いていた女性の元へ案内される。
彼女は巨大な天窓から差し込む光を一身に浴びながら、祈り続けていた。
だが俺達の足音に気付いたのか、ゆっくりと立ち上がるとこちらへと視線を向ける。
そこで、自ずと理解した。
鋼色の髪と藍色の瞳、そして整い過ぎた姿。
彼女こそが、鋼の聖女なのだと。
「聖女様、例の冒険者の方々をお連れしました」
「ようこそ、お三方。 急な呼び出しにもかかわらず応じていただき、ありがとうございます」
まるで鈴の音の様な声音が、俺達しかいない教会に響く。
ふと見れば正面の扉は内側からも錠が掛けられていた。
錠を外した形跡もなければ、そもそも扉が使われているのかさえ不明だ。
つまりここは、聖女専用の教会ということか。
この場所に呼んだという事は、他者に聞かれたくない話をするのか、それとも俺達への牽制か。
取り敢えずは話し合いで相手を出方を窺う必要がある。
臆せず聖女の元へと歩み寄りながら、口上を返す。
「こちらこそ、まさか聖女様に呼ばれるとは――」
その時、俺の視界を黒い髪が遮った。
一歩前に出たビャクヤが、俺の前で立ち止まったのだ。
「待て、ふたりとも。 それ以上、あ奴に近づくな」
明確な敵意。
ビャクヤの警告にはそれが混じっていた。
見れば背中の薙刀に手を伸ばしている。
「ビャクヤ、どうした。 相手は聖女だぞ」
「あ奴から、使徒に似た気配を感じる」
「なっ!?」
思わず、鋼の聖女へ視線を走らせる。
ビャクヤの威圧を受けても彼女は自然体のままで、こちらの出方を窺っているように見えた。
彼女の武器であろう大剣は、すぐにでも手が届く足元に置かれている。
しかしそれを手に取る様子はない。
少なくとも俺には、襲ってくる様子は見て取れなかった。
余りの事態にアリアでさえも、若干の混乱している様子だった。
「ちょ、ちょっと! 相手はこの街の要人よ! もし違ってたらどうするつもりなのよ!」
「だが不意を突かれれば危険だ。 それにパーシヴァルしかり、重要人物であっても使途ではないという証明にはならぬだろう」
「それは、そうだけれど……。」
ビャクヤの意見は正しい。だがアリアの意見にも一理あった。
ひと悶着おこした後で、間違いでしたでは済まされない相手だ。
なんせ相手は鋼の聖女。教皇ベセウスが見出した街の守護者である。
信者からの信用の厚さと、エルグランドにおける重要度でいえば教皇ベセウスに次ぐだろう。
そんな相手を攻撃してしまえば、もう後には引けない。
街から追い出され、要人殺害未遂の容疑で指名手配され、使徒の捜索どころではなくなる。
それでも彼女が使徒ならばまだいい。だが違った場合はどうなる。
ひとつとして得る物もなく、莫大な損害を被るだけだ。
かといってそれを恐れて、無策で近づいて奇襲を受ければひとたまりもない。
使徒であるなら俺達の様に何らかの強化を受けている可能性がある。
そして街で聞いた鋼の聖女の功績を考えれば、彼女の実力は侮れる物ではない。
無防備な所に一撃を貰えば、頑丈なビャクヤでも危うい。
俺やアリアに至っては即死も十分にあり得る。
一応は魔法の準備を整える。いざとなれば三人まとめて教会の外へと飛べばいい。
今ここで確認すべきは、本当にこの相手が……この聖女が黄昏の使徒なのか、という事だ。
身構えた俺達を見て、ようやく聖女が足元の剣を手に取った。
そして傍に控えていた女性へと歩み寄る。
「私の名前はミリクシリア。 エルグランドでは鋼の聖女と呼ばれる者です」
身の丈程もある大剣を軽々と持ち上げた聖女――ミリクシリアは、それを左右に振りはらった。
エルグランドの紋章が彫り込まれた刀身が風を切り裂き、教会の中に響き渡る。
それは如実に彼女の身体能力と技量の高さを示していた。
ミリクシリアは藍色の瞳で俺達を射抜き、そして告げる。
「その鋼と呼ばれる所以を、この場で示しても私は一向に構いませんが――」
ビャクヤが構え、俺も魔法を起動させる。
緊張感が頂点に達した、その瞬間。
「今はやめておきましょう。 この剣が話し合いの枷になるのであれば、ローナ。 預かっていてください」
聖女は、女性へと剣を引き渡した。
剣の大きさに女性がよろつくが、聖女はそれを苦笑いで見守っている。
気付けば先ほどまでの威圧は完全に消えて、聖女の口元には自然な微笑が浮かんでいた。
「これで今の私はただのミリクシリア。 であれば、話し合いに応じていただけますか?」
◆
剣を他者に預け、武装した相手を前に無防備で佇む。
それがどれほど命知らずな事なのか。
言わずとも理解できるだろう。
武器がなくとも俺達を圧倒できる、という自信の表れか。
はたまた全くの赤の他人である俺達を信頼しているという、聖女らしい博愛の表れか。
どちらにせよ、この状況は俺達にとって圧倒的に有利な状況だ。
そして選択権も完全に俺達が握っていた。
ここで争うか、それとも話し合いに持ち込むか。
「ビャクヤ、どうする。 相手が使徒だと確証があれば、いまが絶好のチャンスだが……。」
「分からぬ」
「分からぬって、アンタね」
ここで断言できれば、迷いはなかった。
相手は武器を手放しており、千載一遇のチャンスと言えた。
しかし相手が使徒だと断定できない以上、俺達からは手出しができない。
ヴァンクラットしかり、傍目に見て相手が使徒かどうかを見分けるのは、非常に難しい。
その問題を打開するビャクヤの能力が使えない以上、ここは相手の出方で使徒かどうかを判断するほかない。
「信用されていませんね。 では決断を下すまでの間、お茶でも入れましょう。 ローナ、お願いします」
ミリクシリアが告げると、壁際で控えていたローナと呼ばれた女性が聖女の剣を持ったまま姿を消す。
そうなれば、完全に聖女は無防備だった。
主武装を失い、ただ教会の中心で佇み俺達の判断を待っている。
そこで俺はふたりに問いかけた。
「俺だけで話し合いをする。 逃げるには最も適した能力を持ってるからな。 任せてくれるか?」
なんと言われようとも、この意見を変えるつもりはなかったが。
ただ正面の扉は頑丈に施錠されており、俺達は裏口から内部へと招き入れられた。
とはいえ罠というわけではないようで、教壇の前で跪いていた女性の元へ案内される。
彼女は巨大な天窓から差し込む光を一身に浴びながら、祈り続けていた。
だが俺達の足音に気付いたのか、ゆっくりと立ち上がるとこちらへと視線を向ける。
そこで、自ずと理解した。
鋼色の髪と藍色の瞳、そして整い過ぎた姿。
彼女こそが、鋼の聖女なのだと。
「聖女様、例の冒険者の方々をお連れしました」
「ようこそ、お三方。 急な呼び出しにもかかわらず応じていただき、ありがとうございます」
まるで鈴の音の様な声音が、俺達しかいない教会に響く。
ふと見れば正面の扉は内側からも錠が掛けられていた。
錠を外した形跡もなければ、そもそも扉が使われているのかさえ不明だ。
つまりここは、聖女専用の教会ということか。
この場所に呼んだという事は、他者に聞かれたくない話をするのか、それとも俺達への牽制か。
取り敢えずは話し合いで相手を出方を窺う必要がある。
臆せず聖女の元へと歩み寄りながら、口上を返す。
「こちらこそ、まさか聖女様に呼ばれるとは――」
その時、俺の視界を黒い髪が遮った。
一歩前に出たビャクヤが、俺の前で立ち止まったのだ。
「待て、ふたりとも。 それ以上、あ奴に近づくな」
明確な敵意。
ビャクヤの警告にはそれが混じっていた。
見れば背中の薙刀に手を伸ばしている。
「ビャクヤ、どうした。 相手は聖女だぞ」
「あ奴から、使徒に似た気配を感じる」
「なっ!?」
思わず、鋼の聖女へ視線を走らせる。
ビャクヤの威圧を受けても彼女は自然体のままで、こちらの出方を窺っているように見えた。
彼女の武器であろう大剣は、すぐにでも手が届く足元に置かれている。
しかしそれを手に取る様子はない。
少なくとも俺には、襲ってくる様子は見て取れなかった。
余りの事態にアリアでさえも、若干の混乱している様子だった。
「ちょ、ちょっと! 相手はこの街の要人よ! もし違ってたらどうするつもりなのよ!」
「だが不意を突かれれば危険だ。 それにパーシヴァルしかり、重要人物であっても使途ではないという証明にはならぬだろう」
「それは、そうだけれど……。」
ビャクヤの意見は正しい。だがアリアの意見にも一理あった。
ひと悶着おこした後で、間違いでしたでは済まされない相手だ。
なんせ相手は鋼の聖女。教皇ベセウスが見出した街の守護者である。
信者からの信用の厚さと、エルグランドにおける重要度でいえば教皇ベセウスに次ぐだろう。
そんな相手を攻撃してしまえば、もう後には引けない。
街から追い出され、要人殺害未遂の容疑で指名手配され、使徒の捜索どころではなくなる。
それでも彼女が使徒ならばまだいい。だが違った場合はどうなる。
ひとつとして得る物もなく、莫大な損害を被るだけだ。
かといってそれを恐れて、無策で近づいて奇襲を受ければひとたまりもない。
使徒であるなら俺達の様に何らかの強化を受けている可能性がある。
そして街で聞いた鋼の聖女の功績を考えれば、彼女の実力は侮れる物ではない。
無防備な所に一撃を貰えば、頑丈なビャクヤでも危うい。
俺やアリアに至っては即死も十分にあり得る。
一応は魔法の準備を整える。いざとなれば三人まとめて教会の外へと飛べばいい。
今ここで確認すべきは、本当にこの相手が……この聖女が黄昏の使徒なのか、という事だ。
身構えた俺達を見て、ようやく聖女が足元の剣を手に取った。
そして傍に控えていた女性へと歩み寄る。
「私の名前はミリクシリア。 エルグランドでは鋼の聖女と呼ばれる者です」
身の丈程もある大剣を軽々と持ち上げた聖女――ミリクシリアは、それを左右に振りはらった。
エルグランドの紋章が彫り込まれた刀身が風を切り裂き、教会の中に響き渡る。
それは如実に彼女の身体能力と技量の高さを示していた。
ミリクシリアは藍色の瞳で俺達を射抜き、そして告げる。
「その鋼と呼ばれる所以を、この場で示しても私は一向に構いませんが――」
ビャクヤが構え、俺も魔法を起動させる。
緊張感が頂点に達した、その瞬間。
「今はやめておきましょう。 この剣が話し合いの枷になるのであれば、ローナ。 預かっていてください」
聖女は、女性へと剣を引き渡した。
剣の大きさに女性がよろつくが、聖女はそれを苦笑いで見守っている。
気付けば先ほどまでの威圧は完全に消えて、聖女の口元には自然な微笑が浮かんでいた。
「これで今の私はただのミリクシリア。 であれば、話し合いに応じていただけますか?」
◆
剣を他者に預け、武装した相手を前に無防備で佇む。
それがどれほど命知らずな事なのか。
言わずとも理解できるだろう。
武器がなくとも俺達を圧倒できる、という自信の表れか。
はたまた全くの赤の他人である俺達を信頼しているという、聖女らしい博愛の表れか。
どちらにせよ、この状況は俺達にとって圧倒的に有利な状況だ。
そして選択権も完全に俺達が握っていた。
ここで争うか、それとも話し合いに持ち込むか。
「ビャクヤ、どうする。 相手が使徒だと確証があれば、いまが絶好のチャンスだが……。」
「分からぬ」
「分からぬって、アンタね」
ここで断言できれば、迷いはなかった。
相手は武器を手放しており、千載一遇のチャンスと言えた。
しかし相手が使徒だと断定できない以上、俺達からは手出しができない。
ヴァンクラットしかり、傍目に見て相手が使徒かどうかを見分けるのは、非常に難しい。
その問題を打開するビャクヤの能力が使えない以上、ここは相手の出方で使徒かどうかを判断するほかない。
「信用されていませんね。 では決断を下すまでの間、お茶でも入れましょう。 ローナ、お願いします」
ミリクシリアが告げると、壁際で控えていたローナと呼ばれた女性が聖女の剣を持ったまま姿を消す。
そうなれば、完全に聖女は無防備だった。
主武装を失い、ただ教会の中心で佇み俺達の判断を待っている。
そこで俺はふたりに問いかけた。
「俺だけで話し合いをする。 逃げるには最も適した能力を持ってるからな。 任せてくれるか?」
なんと言われようとも、この意見を変えるつもりはなかったが。
0
お気に入りに追加
83
あなたにおすすめの小説
パーティーから追放され婚約者を寝取られ家から勘当、の三拍子揃った元貴族は、いずれ竜をも倒す大英雄へ ~もはやマイナスからの成り上がり英雄譚~
一条おかゆ
ファンタジー
貴族の青年、イオは冒険者パーティーの中衛。
彼はレベルの低さゆえにパーティーを追放され、さらに婚約者を寝取られ、家からも追放されてしまう。
全てを失って悲しみに打ちひしがれるイオだったが、騎士学校時代の同級生、ベガに拾われる。
「──イオを勧誘しにきたんだ」
ベガと二人で新たなパーティーを組んだイオ。
ダンジョンへと向かい、そこで自身の本当の才能──『対人能力』に気が付いた。
そして心機一転。
「前よりも強いパーティーを作って、前よりも良い婚約者を貰って、前よりも格の高い家の者となる」
今までの全てを見返すことを目標に、彼は成り上がることを決意する。
これは、そんな英雄譚。
治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~
大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」
唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。
そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。
「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」
「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」
一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。
これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。
※小説家になろう様でも連載しております。
2021/02/12日、完結しました。
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
俺のギフト【草】は草を食うほど強くなるようです ~クズギフトの息子はいらないと追放された先が樹海で助かった~
草乃葉オウル
ファンタジー
★お気に入り登録お願いします!★
男性向けHOTランキングトップ10入り感謝!
王国騎士団長の父に自慢の息子として育てられた少年ウォルト。
だが、彼は14歳の時に行われる儀式で【草】という謎のギフトを授かってしまう。
周囲の人間はウォルトを嘲笑し、強力なギフトを求めていた父は大激怒。
そんな父を「顔真っ赤で草」と煽った結果、ウォルトは最果ての樹海へ追放されてしまう。
しかし、【草】には草が持つ効能を増幅する力があった。
そこらへんの薬草でも、ウォルトが食べれば伝説級の薬草と同じ効果を発揮する。
しかも樹海には高額で取引される薬草や、絶滅したはずの幻の草もそこら中に生えていた。
あらゆる草を食べまくり最強の力を手に入れたウォルトが樹海を旅立つ時、王国は思い知ることになる。
自分たちがとんでもない人間を解き放ってしまったことを。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜
サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」
孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。
淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。
だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。
1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。
スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。
それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。
それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。
増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。
一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。
冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。
これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
『殺す』スキルを授かったけど使えなかったので追放されました。お願いなので静かに暮らさせてください。
晴行
ファンタジー
ぼっち高校生、冷泉刹華(れいぜい=せつか)は突然クラスごと異世界への召喚に巻き込まれる。スキル付与の儀式で物騒な名前のスキルを授かるも、試したところ大した能力ではないと判明。いじめをするようなクラスメイトに「ビビらせんな」と邪険にされ、そして聖女に「スキル使えないならいらないからどっか行け」と拷問されわずかな金やアイテムすら与えられずに放り出され、着の身着のままで異世界をさまよう羽目になる。しかし路頭に迷う彼はまだ気がついていなかった。自らのスキルのあまりのチートさゆえ、世界のすべてを『殺す』権利を手に入れてしまったことを。不思議なことに自然と集まってくる可愛い女の子たちを襲う、残酷な運命を『殺し』、理不尽に偉ぶった奴らや強大な敵、クラスメイト達を蚊を払うようにあしらう。おかしいな、俺は独りで静かに暮らしたいだけなんだがと思いながら――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる