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78話

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 数本の剣が閃くが、その全てが空を切る。
 切れ味が抜群の魔鉄鉱の剣だが、それを使いこなせなければ脅威ではない。
 すでに別の場所に転移していた俺を探すように冒険者たちが周囲を見渡していた。
 だが自分の居場所をわざわざ伝えてやるほど、俺もお人よしではない。
  
「共鳴転移!」

 風切羽が、激しい火花を散らしながら魔鉄鉱の盾とぶつかり合う。
 さすがに貫通はしない。
 だがその衝撃によって冒険者の一人が凄まじい勢いで吹き飛んだ。
 工房の床を転がったその冒険者は小さく呻き、そして気を失う。

 それを見て、俺に斬りかかろうとする者はいなくなっていた。
 
「降参だ。 これ以上、俺達は戦う気はない」

 その声を皮きりに、次々と地面に武器が投げ捨てられた。
 俺も武器をおさめて、工房内の荷物を纏めていたルガルドの元へ転移する。
 唐突に姿を現した俺に、ルガルドは悲鳴を上げた。

「さて、話し合いを再開するか。 と言っても、この状況でお前が俺に言える事なんて、限られてるけどな」

 十分な証拠は揃っており、なおかつ今の戦闘だ。 
 もはや万に一つもルガルドが助かる可能性は残っていない。

「ま、待ってくれよ! この鍛冶屋はカセンの発展に貢献してきたんだぞ!? この工房がどれだけ冒険者をこの街に呼び込んでると思ってやがる! それを潰す気か!?」

「毒性物質を垂れ流す鉱石を違法に破棄することが、お前達にとっての貢献か?」

「お、俺のような若造が成り上がるにはこれしかなかったんだ! 他の連中がやらない、ビビッて手を出さない方法でしか!」

「ビビッて手を出さない? 違うだろ。 自分の手に負えないことには手を出さないだけだ。 行動には責任が伴う。 お前は行動だけして利益を貪り、負うべき責任はあの渓谷に捨ててきた。 これはそのツケだ」

「利益を貪るのはどこの鍛冶屋でも同じだろう! いつまでも新人扱いして、武器の一つも打たせてくれない! 出来上がったとしても理不尽な理由を付けて、商品棚に並べてももらえない! それでどうやって名を売れって言うんだよ!」

 それがルガルドの、職人としての苦悩だったのだろう。
 冒険者の俺に掛ける言葉はなく、そして彼の苦悩を理解できる訳もない。
 そんな簡単に知ったように口をきくことは相手に対しても侮蔑になる。
 ルガルドは手元の古いハンマーを眺めて、そして肩を落とした。

「親父の技術を継いで、親父よりデカい工房を持つ。 そんな夢を見る事さえ、許されないっていうのかよ」

 ◆

「話は聞かせてもらったよ!」

 そんな場違いな声音が、響き渡った。
 見ればいつの間にか、工房の入り口に銀の鎧が立ち尽くしていた。

「アルステット。 憲兵団は」

「心配しなくても大丈夫さ。 じきにやってくる。 だがその前に話を付けておきたいと思っていたんだ」

 そう言うと、アルステットは軽やかに……とはいかず、少しばかり手間取ってカウンターを乗り越えると、ルガルドの前まで歩いてきた。
 唐突に現れた全身鎧を前にしてもルガルドは呆然とその姿を眺めているだけだった。
 そんなルガルドと視線を合わせるようにして、アルステットは言った。

「聞いてくれ。 僕の両親は、靴屋だ」

「……は?」

 思わず、そんな言葉が口を突く。
 見ればルガルドも首をかしげていた。

「靴屋さ、靴屋。 君も靴を履いてるだろ? それを作る職人だったのさ。 ジョブは本当にぱっとしない物で、どうにか両親と僕で食べていける程度の稼ぎしかなかったんだ。 それでも僕がジョブを授かった時、なんと言われたかわかるかい? 聖騎士のジョブを授かったこの僕に、冒険者はやめておけ、靴職人も悪くないなんて言ってきたんだ!」

 なんの話を聞かされているのか。
 ルガルドが俺を見るが、肩を竦める事しかできなかった。
 俺もアルステットの真意を測りかねているからだ。
 しかしそんな事はつゆ知らず、アルステットは止まらない。

「実際、両親の言う通り冒険者はつらいことばかりだ。 臭いし暑いし寒いし食べ物は不味い。 でも自分で選んだ道だから頑張れる。 人から強要されたわけじゃなくて、自分が好きで選んだ道だ。 そこを進むことに後悔はないよ。 でも君はどうなんだい? さっきの言葉を聞く限り、きっと好きで鍛冶屋になったんだろうね」

 アルステットの言葉を聞いて、ルガルドが息をのむ。
 親の技術を継ぎ、親を超える。
 確かにルガルドはそう言った。
 それは鍛冶という職に誇りが無ければできないことだ。
 だがルガルドは恥じ入るように手に持ったハンマーを隠し、アルステットから視線を外す。

「お前に、なにが分かるって言うんだよ」

「分かるよ。 自分の好きなことで人々と笑顔にできた時の喜びは、特別な物だ。 君もかつてはそれを目指して頑張っていたんだろうね。 でもその代わり、好きな事で人々を不幸にしてしまった時の罪悪感もまた、特別に重い」

 まるでルガルドに考える時間を与えるかのように、アルステットは短い沈黙を挟んだ。
 そして胸を張り、銀色の鎧の胸当てを叩いた。甲高い金属音が工房の中に鳴り響く。

「ここでなら、まだ引き返せる。 きっと君なら、やり直すことだってできる! でもこれ以上の抵抗を続けるなら、今の君が昔の自分を裏切り続けるのであれば、この聖騎士アルステットは絶対に許さない」

 自身に溢れる、まるでおとぎ話の聖騎士のようだ。
 そんな姿を見せられて、ルガルドは小さくつぶやいた。

「やり直す、か」

 そして毒気が抜けたように、ルガルドは腰を落とす。
 だがその表情は、毒気が抜けたような笑顔だった。 

 ◆

 その店に足を運ぶのは、実に一日半ぶりとなった。
 大通りに面した老舗は遠めに見ても、客入りが多い。
 しかしなにも持って出てこない客を見ると、商品の数が相当に厳しいことが窺えた。
 急ぎ足で店内へ入ると、ちょうど接客を負わさせたサリーと目が合う。

「お兄さん! どうでしたか!? ヒマル草の依頼は、どうなりましたか!?」

 サリーは、まるで飛びつくような勢いで駆け寄ってくる。
 それを片手で制して、どうにか報告を済ませる。

「あぁ、問題は無事に解決してきた。 これから冒険者達も依頼を受けるようになると思う」

 そこで、事の顛末……とは言っても、魔鉄鉱や工房の件は抜きにして、冒険者が寄り付かなくなっていた原因の地竜を討伐したことを報告した。
 これからは以前の様に安全になった山に入る冒険者も、徐々にその数が戻るだろう。
 だが、依頼を受けていたリデルの件に関してはサリーは責任を感じている様子だった。
 彼の死を伝えると、瞬く間に表情を曇らせた。
 
「本当にありがとうございます、お兄さん。 リデルさんは、残念でしたけど……。」

「冒険者は危険を承知で依頼を受けてる。 依頼主があまり気に病むことはない」

 そう言ってみるものの、人の生死は幼い少女にとって簡単な問題ではない。
 冒険者となれば昨日まで話していた顔なじみが、唐突に命を落として帰らぬ人となる、なんて経験をすることがある。
 実際に俺も経験をして、眠れない夜を過ごしたこともある。
 となればこの歳の少女に気にするなと言う方が無理があったか。
 これからの時間が彼女の傷を癒すことを祈るのみだ。



「通行許可証を提示しろ!」

 そう言って、憲兵が前を走っていた馬車の御者から通行証を受け取っているのが見えた。
 武装した憲兵団が何十人がかりで馬車を調べているが、それでも遅々として列は動かない。
 振り返れば長蛇の列が石橋の手前、つまり俺達の馬車の後ろに続いていた。
 隣に座るビャクヤは代わり映えしない風景に飽きたのか、今にも寝てしまいそうだ。
 
「ずいぶんと時間を掛けた検閲だな。 ファルクス、なにか聞いているか?」

「ギルドから聞いたが、大橋の破損は意図的な物だったらしい。 それで憲兵団が張り切って調査に踏み切った訳なんだが」

「それで、危険物を持ち込んでいないか検査してるって訳ね」

「魔導士がいる時点で、危険物の検査なんて意味ないと思うんだけどな」

 例え意図的な物だとしても、この状況で爆薬や魔結晶を使うとは思えない。
 なぜなら、もっと威力が高い魔法が使えて、検査にも引っかからない魔導士がいるからだ。
 しかし憲兵団は危険物を警戒して荷物の検査などしているのだから、時間の無駄と言っても過言ではない。
 そもそも通行許可証を発行してもらう時点で簡単な検査を受けているのだ。
 文句の一つも言いたくなる。
 そんな不毛な待ち時間にこみあげる眠気と欠伸をかみ殺し、手綱を握りなおすと、後方から声が飛んできた。

「ようやく見つけたぞ、ファルクス!」

 後方の馬車の間から姿を見せたのは、想像通り銀色の鎧だ。
 ただ、声につられて振り返ったアリアがその姿を見て若干顔を引きつらせた。
 その気持ちは、よくわかる。

「なに、あの鎧。 もしかして貴方の知り合い?」

「一応な。 どうした、アルステット」

 当分進まないことを確認して、馬車を飛び降りる。
 するとガシャガシャと音を立てて、アルステットは駆け寄ってきた。
 どうやら俺を探して走り回っていた様子で、小さく息を切らせている。

「急に姿を消したから、どうしたものかと思っていたんだ! まさか僕に断りなく街を出るとは、君も薄情だな!」

「聖騎士様の時間を取るのは、俺も気が引けたんでな。 それで、律義に別れのあいさつに来てくれたのか」

「そうだともいえるが、本当は別に理由があるんだ」

 そう言うと、アルステットは深く頭を下げた。
 まさかの行動に、一瞬だけ反応が遅れる。 

「馬車で君は、僕を勇敢だと言ってくれた。 それでも逃げてしまったことを謝罪したい。 本当にすまなかった」

「相手はあの地竜だ。 無理もない。 少しだけでも戦ってくれて感謝してる」

「君は、本当に良い奴だな」

 顔を上げたアルステットは小さな笑い声を上げて、そしてそのヘルムを脱いだ。
 その隙間から、亜麻色の髪が零れ落ちて、朝日の光を照らし返す。
 ヘルムでくぐもった声と俺と大差ない身長。
 それにその態度を見てきて、俺は大きな勘違いをしていたらしい。
 小脇にヘルムを抱えたアルステットは、右手を差し出して微笑んだ。

「イレーナ・アルステットは、君への感謝を忘れない。 絶対にだ」

「あ、あぁ。 俺もお前のひとり芝居は、忘れられないだろうな」

 どうにか手を握り返し、ぎこちない返事をした俺を、彼女は中性的な声音で笑った。
 それほど俺は唖然とした表情だったに違いない。

「ふふ、もしや君も僕が男だと思っていた口だろう。 確かに僕はこうして鎧を着ていないと、この美貌で人を集めてしまうからね。 そう考えると、僕の隣を歩く男性はそうとうに良い思いができると思う」

「そうか? その性格を知ってる身としては、色んな意味で疲れそうだ」

 己惚れにも聞こえる言葉だったがしかし、アルステットの言葉は間違いなく真実だろう。
 先ほどから周囲の馬車から視線を集める程に、アルステットは美しい容姿をしていた。
 難ありの性格を知らなければ、思わず目を奪われてしまう程に。
 彼女は少し迷った後に、顔を上げて俺の眼を見つめてきた。栗色の瞳と視線が交錯する。

「もし、もしも君がどうしても言うなら、一緒に……いや、こういう言い方は卑怯だな。 聖騎士のやる事じゃない」

 自分で自分の言葉を遮った彼女は、意を決したように、顔を上げた。

「ファルクス。 ぜひ、僕とふたりでパーティを――」

 



「ファルクス! 我輩達の番だぞ! そろそろ戻ってこい!」

 ビャクヤの大きすぎる声が周囲に響き渡った。
 振り返れば前方の馬車が発車していくところだ。
 寝ていたビャクヤと荷台に乗っていたアリアがこちらへ顔を覗かせて、無言で俺を急かしている。

「悪い、アルステット。 時間らしい」

「いや、いいんだ! そうか、君にも仲間がいたんだな」

 小さく首を振るアルステット。
 その視線は、馬車の上へと向けられていた。
 一人での活動を続ける彼女の言葉を信じるなら、付いてこられる仲間がいない、だったか。
 それは実力もそうだが、彼女の性格の事もあるだろう。
 ただ妥協や流れでパーティを組むことだけは、絶対に勧められなかった。

「きっといつか、お前にも特別な仲間が見つかる。 実力や全てを受け入れて、その上で認めてくれる相手が」

 彼女は驚いているのだろう。
 多少の間、共に行動した俺という存在に。
 だから気の迷いが生じているだけだ。
 そして彼女を戦いに巻き込むつもりも、毛頭ない。

「頑張れよ、アルステット。 また再会した時には、俺に力を貸してくれ」

 そう言うと、アルステットは胸当てを叩いて、宣言した。

「もちろんだとも! なんたって僕は、選ばれし聖騎士だからな!」


 その後、聖騎士アルステットの活躍を耳にするのは、そう遠くない未来の事だった。
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