12 / 100
一章 純白の鬼
12話
しおりを挟む
彼女(アーシェ)と一緒に剣の稽古をしていた時、冒険者は言った。
俺達は相性が悪いため、稽古はほどほどにしておけと。
その言葉の意味が理解できず、彼が居なくなった後も俺達は稽古を続けていた。
だが次第に実力が伴ってくる内に、俺は本気で打ち込めなくなった。
彼女は後に剣聖を授かるほど剣に関して天賦の才能を持っており、俺の打ち込みをそのまま受けるヘマはしない。
それは十分に理解していた。だが、なぜか本気での打ち込みをする瞬間、体が硬直した。
そして理由はすぐに分かった。
万が一にも。なにかの手違いで彼女が怪我をする可能性があると考えると、腕は自然と止まっていた。
これが冒険者の言う、相性が悪いという言葉の意味だったのだと、遅まきながらに理解した。
しかし、それを彼女に伝えることはできず、最後まで手を抜いていたのだと、彼女に散々に責められていた。
ただそれも彼女が剣聖のジョブを授かるまでの間だった。
圧倒的な実力差が開いた後では、彼女にとって俺の剣なんて止まって見えた事だろう。
その不自然な挙動にも疑問を抱くことがなくなり、最近では剣の稽古をすることもなくなっていた。
この感情をひた隠しに戦ってきたつもりだが、それが正解だったのかもしれない。
感情を打ち明けていれば、彼女は俺を見捨てることを悩んでしまっただろう。
俺達の夢である、あの冒険者の後を継ぐ為にも、俺の感情など押し殺しておくべきだ。
勇者と共に多くの人々を救うであろうアーシェの活躍を阻害することを、俺は望んでいない。
今となっては、もはや会えない彼女に対して、最後まで気持ちを伝えなかったことに、少しだけ安堵していた。
そんな弱い自分に、剣聖の隣で戦う資格はないのだと、自分への侮蔑を感じながら。
◆
凄まじい勢いでドアが開かれ、蝶番が悲鳴を上げた。
しかしその衝撃と音で、夢の深くから引き揚げられる。
見ればドアを蹴り破ったビャクヤが、そこにはいた。
「起きろ、ファルクス!」
切羽詰まった彼女の声に混ざって聞こえるのは、外からの悲鳴だった。
窓の外を見れば、紅蓮の炎が夜空を照らし出している所だった。
「この騒ぎはなんだ!?」
「襲撃だ! 村の上空に飛竜が出現した!」
「飛竜……ワイバーンが!? なぜこんな場所に上級の魔物が現れるんだ!?」
ワイバーン。言わずと知れた上級の魔物で、英雄譚などにも登場する存在だ。
空を高速で飛び回り、灼熱の炎を吐き出す。分厚い鱗は並みの武器では歯が立たず、高い生命力で殺すことも難しい。
本来ならばゴールド級やプラチナ級の冒険者が相手をする魔物だ。
それが、なぜこんな村に。
困惑しているのはビャクヤも同じようで、彼女は上ずった声で、首を振った。
「分からぬ。 だが、これがただ事ではないことだけは分かる。 そしてこのままでは、村がどうなるかも」
辺境の村が、魔物に襲われて壊滅する。そんな話は、どこにでも転がっている。
強力な魔物が縄張りを移動すれば、それだけで多大な犠牲が出ることもしばしばだ。
だが、それに抗った冒険者がいた。
黒い剣を片手に、ボロボロになりながらも村を守った冒険者が。
村の近くに住み着いたワイバーンと相打った、あの小さな英雄が。
俺は、あの冒険者を目指して、冒険者になったのだ。
ならばやることは、決まっていた。
「行くぞ、ビャクヤ。 ワイバーンを、俺達が仕留める!」
◆
宿を飛び出してみれば、そこには地獄の様な光景が広がっていた。
空から降り注ぐ灼熱の吐息によって家屋は燃え盛り、巻き込まれた人々は生きながら焼かれる苦痛で絶叫を上げる。
そしてその死を振りまく元凶は、巨大な双翼で風をつかみ、天空を舞っていた。
ワイバーンの恐ろしい点は数多くあるが、もっとも顕著な物はその翼だ。
高位の冒険者パーティならば攻撃魔導士や魔弓使いなど遠距離攻撃を持つメンバーによって、ワイバーンを大地へ引きずり下ろすこともできる。
しかし俺達は両方とも接近戦を専門としている。
ビャクヤの薙刀が長いと言っても、それは常識の範囲内だ。空を駆け回る相手に届くわけではない。
「クソ、どうにか空から引きずり下ろさないと、一方的にやられる」
「なにか策はあるのか? 流石の我輩でも空は飛べないぞ!?」
「無いことはない。 ただ、成功率は極めて低い」
「やるしかないだろう! 大丈夫だ! ファルクス、お主ならば絶対にやれる!」
見れば、ビャクヤは笑顔を浮かべていた。
この状況が恐ろしくない訳が無い。ワイバーンのブレスを食らえば、俺達は確実に死ぬことになる。
それでも、この状況でも笑える強さ。そして、仲間を信じることのできる強さ。
彼女は、俺が思っているよりも、はるかに強い心を持っていた。
この状況で二の足を踏んでいる俺とは、大違いだった。
「あぁ、そうだよな。 自分を信じなくちゃ、勝てる物も勝てないよな」
焼死体の近くに近くに転がっていた弓矢を拾い上げて、ワイバーンへと狙いを定める。
高速で飛び回るワイバーンへ矢を当てられる可能性は、ゼロに近い。いや、確実に当たらないだろう。
しかし俺がこんな物を拾い上げたというのに、ビャクヤは寸分の疑いなく、言い放った。
「ファルクス、あの飛竜を引きずり降ろしてくれ!」
集中。
右手に魔力が集まる感覚に、全神経を集中させる。
魔法が起動し、弓につがえた矢を包み込む。
張り詰められた弦が軋みを上げて、矢を放つ時を待つ。
そして、ワイバーンが地上へとブレスを吐く、その瞬間。
もっとも地上に近づいたその刹那。
放たれた矢は、ワイバーンの瞳の前に転移した。
激痛に咆哮を上げるワイバーンは空を飛ぶことすらままならず、大地を削りながら家屋へと突っ込む。
倒壊した家の中から、荒れ狂う火炎が周囲を燃やし尽くす。
だが、それだけで仕留められるほど、簡単な相手ではない。それは重々承知していることだった。
家をなぎ倒し、左目から鮮血を流しながら姿を現したワイバーンは、俺達を睨みつけて、牙を剥いた。
倒せるのか。そんな不安が頭をよぎる。
だが、隣ではためく白い髪を見て、そんな不安は消え去っていた。
「来るぞ、ビャクヤ!」
「鬼の力、目にも見よ! 血沸き肉躍る、殺し合いの始まりだ!」
その瞬間、かつて憧れた冒険者と同じ舞台に、上がったのだと、理解した。
それならばなおのこと、負けることなど、考えられなかった
俺達は相性が悪いため、稽古はほどほどにしておけと。
その言葉の意味が理解できず、彼が居なくなった後も俺達は稽古を続けていた。
だが次第に実力が伴ってくる内に、俺は本気で打ち込めなくなった。
彼女は後に剣聖を授かるほど剣に関して天賦の才能を持っており、俺の打ち込みをそのまま受けるヘマはしない。
それは十分に理解していた。だが、なぜか本気での打ち込みをする瞬間、体が硬直した。
そして理由はすぐに分かった。
万が一にも。なにかの手違いで彼女が怪我をする可能性があると考えると、腕は自然と止まっていた。
これが冒険者の言う、相性が悪いという言葉の意味だったのだと、遅まきながらに理解した。
しかし、それを彼女に伝えることはできず、最後まで手を抜いていたのだと、彼女に散々に責められていた。
ただそれも彼女が剣聖のジョブを授かるまでの間だった。
圧倒的な実力差が開いた後では、彼女にとって俺の剣なんて止まって見えた事だろう。
その不自然な挙動にも疑問を抱くことがなくなり、最近では剣の稽古をすることもなくなっていた。
この感情をひた隠しに戦ってきたつもりだが、それが正解だったのかもしれない。
感情を打ち明けていれば、彼女は俺を見捨てることを悩んでしまっただろう。
俺達の夢である、あの冒険者の後を継ぐ為にも、俺の感情など押し殺しておくべきだ。
勇者と共に多くの人々を救うであろうアーシェの活躍を阻害することを、俺は望んでいない。
今となっては、もはや会えない彼女に対して、最後まで気持ちを伝えなかったことに、少しだけ安堵していた。
そんな弱い自分に、剣聖の隣で戦う資格はないのだと、自分への侮蔑を感じながら。
◆
凄まじい勢いでドアが開かれ、蝶番が悲鳴を上げた。
しかしその衝撃と音で、夢の深くから引き揚げられる。
見ればドアを蹴り破ったビャクヤが、そこにはいた。
「起きろ、ファルクス!」
切羽詰まった彼女の声に混ざって聞こえるのは、外からの悲鳴だった。
窓の外を見れば、紅蓮の炎が夜空を照らし出している所だった。
「この騒ぎはなんだ!?」
「襲撃だ! 村の上空に飛竜が出現した!」
「飛竜……ワイバーンが!? なぜこんな場所に上級の魔物が現れるんだ!?」
ワイバーン。言わずと知れた上級の魔物で、英雄譚などにも登場する存在だ。
空を高速で飛び回り、灼熱の炎を吐き出す。分厚い鱗は並みの武器では歯が立たず、高い生命力で殺すことも難しい。
本来ならばゴールド級やプラチナ級の冒険者が相手をする魔物だ。
それが、なぜこんな村に。
困惑しているのはビャクヤも同じようで、彼女は上ずった声で、首を振った。
「分からぬ。 だが、これがただ事ではないことだけは分かる。 そしてこのままでは、村がどうなるかも」
辺境の村が、魔物に襲われて壊滅する。そんな話は、どこにでも転がっている。
強力な魔物が縄張りを移動すれば、それだけで多大な犠牲が出ることもしばしばだ。
だが、それに抗った冒険者がいた。
黒い剣を片手に、ボロボロになりながらも村を守った冒険者が。
村の近くに住み着いたワイバーンと相打った、あの小さな英雄が。
俺は、あの冒険者を目指して、冒険者になったのだ。
ならばやることは、決まっていた。
「行くぞ、ビャクヤ。 ワイバーンを、俺達が仕留める!」
◆
宿を飛び出してみれば、そこには地獄の様な光景が広がっていた。
空から降り注ぐ灼熱の吐息によって家屋は燃え盛り、巻き込まれた人々は生きながら焼かれる苦痛で絶叫を上げる。
そしてその死を振りまく元凶は、巨大な双翼で風をつかみ、天空を舞っていた。
ワイバーンの恐ろしい点は数多くあるが、もっとも顕著な物はその翼だ。
高位の冒険者パーティならば攻撃魔導士や魔弓使いなど遠距離攻撃を持つメンバーによって、ワイバーンを大地へ引きずり下ろすこともできる。
しかし俺達は両方とも接近戦を専門としている。
ビャクヤの薙刀が長いと言っても、それは常識の範囲内だ。空を駆け回る相手に届くわけではない。
「クソ、どうにか空から引きずり下ろさないと、一方的にやられる」
「なにか策はあるのか? 流石の我輩でも空は飛べないぞ!?」
「無いことはない。 ただ、成功率は極めて低い」
「やるしかないだろう! 大丈夫だ! ファルクス、お主ならば絶対にやれる!」
見れば、ビャクヤは笑顔を浮かべていた。
この状況が恐ろしくない訳が無い。ワイバーンのブレスを食らえば、俺達は確実に死ぬことになる。
それでも、この状況でも笑える強さ。そして、仲間を信じることのできる強さ。
彼女は、俺が思っているよりも、はるかに強い心を持っていた。
この状況で二の足を踏んでいる俺とは、大違いだった。
「あぁ、そうだよな。 自分を信じなくちゃ、勝てる物も勝てないよな」
焼死体の近くに近くに転がっていた弓矢を拾い上げて、ワイバーンへと狙いを定める。
高速で飛び回るワイバーンへ矢を当てられる可能性は、ゼロに近い。いや、確実に当たらないだろう。
しかし俺がこんな物を拾い上げたというのに、ビャクヤは寸分の疑いなく、言い放った。
「ファルクス、あの飛竜を引きずり降ろしてくれ!」
集中。
右手に魔力が集まる感覚に、全神経を集中させる。
魔法が起動し、弓につがえた矢を包み込む。
張り詰められた弦が軋みを上げて、矢を放つ時を待つ。
そして、ワイバーンが地上へとブレスを吐く、その瞬間。
もっとも地上に近づいたその刹那。
放たれた矢は、ワイバーンの瞳の前に転移した。
激痛に咆哮を上げるワイバーンは空を飛ぶことすらままならず、大地を削りながら家屋へと突っ込む。
倒壊した家の中から、荒れ狂う火炎が周囲を燃やし尽くす。
だが、それだけで仕留められるほど、簡単な相手ではない。それは重々承知していることだった。
家をなぎ倒し、左目から鮮血を流しながら姿を現したワイバーンは、俺達を睨みつけて、牙を剥いた。
倒せるのか。そんな不安が頭をよぎる。
だが、隣ではためく白い髪を見て、そんな不安は消え去っていた。
「来るぞ、ビャクヤ!」
「鬼の力、目にも見よ! 血沸き肉躍る、殺し合いの始まりだ!」
その瞬間、かつて憧れた冒険者と同じ舞台に、上がったのだと、理解した。
それならばなおのこと、負けることなど、考えられなかった
0
お気に入りに追加
83
あなたにおすすめの小説
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
パーティーから追放され婚約者を寝取られ家から勘当、の三拍子揃った元貴族は、いずれ竜をも倒す大英雄へ ~もはやマイナスからの成り上がり英雄譚~
一条おかゆ
ファンタジー
貴族の青年、イオは冒険者パーティーの中衛。
彼はレベルの低さゆえにパーティーを追放され、さらに婚約者を寝取られ、家からも追放されてしまう。
全てを失って悲しみに打ちひしがれるイオだったが、騎士学校時代の同級生、ベガに拾われる。
「──イオを勧誘しにきたんだ」
ベガと二人で新たなパーティーを組んだイオ。
ダンジョンへと向かい、そこで自身の本当の才能──『対人能力』に気が付いた。
そして心機一転。
「前よりも強いパーティーを作って、前よりも良い婚約者を貰って、前よりも格の高い家の者となる」
今までの全てを見返すことを目標に、彼は成り上がることを決意する。
これは、そんな英雄譚。
治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~
大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」
唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。
そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。
「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」
「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」
一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。
これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。
※小説家になろう様でも連載しております。
2021/02/12日、完結しました。
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
俺のギフト【草】は草を食うほど強くなるようです ~クズギフトの息子はいらないと追放された先が樹海で助かった~
草乃葉オウル
ファンタジー
★お気に入り登録お願いします!★
男性向けHOTランキングトップ10入り感謝!
王国騎士団長の父に自慢の息子として育てられた少年ウォルト。
だが、彼は14歳の時に行われる儀式で【草】という謎のギフトを授かってしまう。
周囲の人間はウォルトを嘲笑し、強力なギフトを求めていた父は大激怒。
そんな父を「顔真っ赤で草」と煽った結果、ウォルトは最果ての樹海へ追放されてしまう。
しかし、【草】には草が持つ効能を増幅する力があった。
そこらへんの薬草でも、ウォルトが食べれば伝説級の薬草と同じ効果を発揮する。
しかも樹海には高額で取引される薬草や、絶滅したはずの幻の草もそこら中に生えていた。
あらゆる草を食べまくり最強の力を手に入れたウォルトが樹海を旅立つ時、王国は思い知ることになる。
自分たちがとんでもない人間を解き放ってしまったことを。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜
サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」
孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。
淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。
だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。
1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。
スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。
それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。
それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。
増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。
一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。
冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。
これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる