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左
しおりを挟むパチン、、、っ
「…ッい、」
意外にも小さな小物から発せられる大きな音。と共に、耳元から鈍い痛みがじんわりと広がる。
最初こそ顔を顰めるも、鏡を見て、自身の耳たぶに異物があるのが確認できて安堵する。
「(、あ)」
こんなもんか、
と、想像したものよりもだいぶ小さな痛みだった。
こんな、一瞬の痛みの為に何年も開けたい欲求を見送ってきたかと思うと笑けてくる。
体ばかりが成長しただけで、昔から臆病な自分は変わってないんだなと、イヤに再確認できてしまった。
「(開けたら、もっと別な何かになれる気がしたけど。案外何も変わらないな、)」
当たり前か、と。
1歩踏み出して、あの人みたいに付けてみたら大人の仲間入りできると思った。でもだからなんだっていうんだろう。
ピアス一つ開けたところで、あの人を守れる人になれるわけでもない。し、今すぐ連絡する度胸もない。
でも、
「かわれる勇気がほしい、」
これを
密かな戒めと、
目標にしよう。
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