いつだって見られている

なごみ

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間違いなく学校には通えなくなるだろう。


転校させたとしてもこの先、まともな就職や結婚は全て諦めなければいけなくなる。


時計を見た。


午前10時17分。


家族が帰ってくるまでには十分な時間がある。だけど、この母を一体どうやって隠せばいいのだろう?


隠す?


庭に埋める?


駄目だわ、そんなこと。


ひとりで出歩くことのできない寝たきりの母なのだ。家に居なければどこへやったのかと聞かれることだろう。


では、一体どうすれば………?


強盗に殺されたということにするのはどうだろう?


物盗りが入ったように部屋を荒らしておくのだ。私が家に帰ったら、お婆ちゃんが殺されてましたと言うのは?



………やっぱり、やめた方がいい。


警察はそんなにバカではない。私の辻褄の合わない供述は、不信感を持たれるに違いない。下手なトリックなど、すぐに見破られてしまうのだ。


真っ先に疑われるのは私なのだから。


しばらく考えてみたが良い考えは浮かんでこなかった。


時間だけが刻々と過ぎてゆく。


週2回のヘルパーが来る日は明日。


今日じゃなくて本当に良かった。


あ!  


喜んだのもつかの間、そういえば今日は午後からかかりつけ医院の往診があった。







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