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25.穏やかなひと時
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*****
「大量の人や貨物を効率的に輸送する手段、鉄道というのは本当に素晴らしいものだな」
ヴィクター様とエヴァン・ラドクリフ第2皇太子殿下、それてレオナードは、和やかな雰囲気の中でお茶を楽しみながら、様々な話題に花を咲かせていた。
「現実的に可能な話ですか?エヴァン・ラドクリフ第2皇太子殿下」
ヴィクター様が少し不安げに尋ねた。
「私のことはエヴァンと呼んでくれ。私もヴィクターでいいかな?ああ、もちろん可能だ。我が国には多くの錬金術師がいる。そうだろう?レオナード。早く国に帰って構想を練りたいくらいだよ」
エヴァン殿下は笑みを浮かべて答えた。
「…まあ、エヴァン様。今日来たばかりではありませんか」
「あっ!ごめん、レティシア。つい気が急いてしまって。もちろん、君との時間を楽しんでから帰るよ」
不満げにレティシアがつぶやくと、エヴァン殿下は少し困ったように優しく返した。
今日はレティシアに頼まれていたお茶会の日だ。3人は、今日初めて会ったとは思えないほど意気投合し、私とレティシアが見えていないかのように話に夢中になっていた。
「私は、ヴィクターの話す住居の設備に興味があるな。あと、家電だったか?全て今すぐにでも欲しい物ばかりだ。ああ、いったい、いくらセレナ嬢に払うことになるのだろうな」
レオナードが、苦笑いをしながら話す。
「…セレナ…、払うって何?」
レティシアが冷たい目をしている。
「エヴァン様とレオナード様には、お茶会の前に一筆書いてもらっておりますの。ヴィクター様のお話を形にする際には、伯爵家と契約を結んでから執り行うと。」
何が悪いのかしら。ヴィクター様の話は知的財産よ。お安くはないのだから。
「セレナ、あなたって人は…ヴィクター様は、それでよろしいのです?」
「ん?もちろんだよ。大変な契約をセレナがやってくれるのだから感謝しかない。私は伯爵家の人間になるわけだし、将来を考えたら契約は伯爵家と結ぶべきだ。頼りになる婚約者がいて私は幸運だね。」
ヴィクター様は、太陽のように明るい笑顔で答えた。ほら見なさいレティシア、よろしいに決まっているわ。
「まあ、私の話が、本当に形になればの話だけどね。ははは。」
「ヴィクター、もちろん必ず形にする。ああ、今日は、新しい未来の可能性が見い出せた素晴らしい一日だ。」
「同感だ、ところでさっきのエアコンという家電のことだがー」
3人は、話にまた花を咲かせ始めた。長くなりそうね。ふふふ。
*****
エヴァン様とヴィクター様はまだお話が尽きないようだ。
「おい、セレナ。前、話で聞いていた婚約者様とずいぶん違うな。なぜあんなに変わったのだ?」
一人離脱したレオナードが不思議そうに話しかけてきた。
「秘密ですわレオナード。強いて言うなら愛の力かしら」
「愛!?ははは、笑わせるなよ、お前。愛って、はは…は………え?悪い…そんな顔をするなよ」
‥‥‥。
「…それより、手紙で頼んだものは探してくれまして?」
「あ、ああ、ヴィクターが学年5位になった祝いの品だろ?抜かりはない。しかし、学年首位のお前からもらったら嫌味ではないか?」
何を言っているのやら…
「はぁ、これだから今日ヴィクター様に会ったばかりの人は…よくお聞きなさい。ヴィクター様が、私からもらうものを喜ばないわけがないのよ。そして、首位の私をご自分の自慢とおっしゃる方よ?私の成功を自分の成功のように喜んでくださる。そんな方が、嫌味に感じるなんてありえないわ。失礼よ!」
「…お前本当に、セレナか?…いや…悪い…だからそんな顔で睨むなよ…」
「大量の人や貨物を効率的に輸送する手段、鉄道というのは本当に素晴らしいものだな」
ヴィクター様とエヴァン・ラドクリフ第2皇太子殿下、それてレオナードは、和やかな雰囲気の中でお茶を楽しみながら、様々な話題に花を咲かせていた。
「現実的に可能な話ですか?エヴァン・ラドクリフ第2皇太子殿下」
ヴィクター様が少し不安げに尋ねた。
「私のことはエヴァンと呼んでくれ。私もヴィクターでいいかな?ああ、もちろん可能だ。我が国には多くの錬金術師がいる。そうだろう?レオナード。早く国に帰って構想を練りたいくらいだよ」
エヴァン殿下は笑みを浮かべて答えた。
「…まあ、エヴァン様。今日来たばかりではありませんか」
「あっ!ごめん、レティシア。つい気が急いてしまって。もちろん、君との時間を楽しんでから帰るよ」
不満げにレティシアがつぶやくと、エヴァン殿下は少し困ったように優しく返した。
今日はレティシアに頼まれていたお茶会の日だ。3人は、今日初めて会ったとは思えないほど意気投合し、私とレティシアが見えていないかのように話に夢中になっていた。
「私は、ヴィクターの話す住居の設備に興味があるな。あと、家電だったか?全て今すぐにでも欲しい物ばかりだ。ああ、いったい、いくらセレナ嬢に払うことになるのだろうな」
レオナードが、苦笑いをしながら話す。
「…セレナ…、払うって何?」
レティシアが冷たい目をしている。
「エヴァン様とレオナード様には、お茶会の前に一筆書いてもらっておりますの。ヴィクター様のお話を形にする際には、伯爵家と契約を結んでから執り行うと。」
何が悪いのかしら。ヴィクター様の話は知的財産よ。お安くはないのだから。
「セレナ、あなたって人は…ヴィクター様は、それでよろしいのです?」
「ん?もちろんだよ。大変な契約をセレナがやってくれるのだから感謝しかない。私は伯爵家の人間になるわけだし、将来を考えたら契約は伯爵家と結ぶべきだ。頼りになる婚約者がいて私は幸運だね。」
ヴィクター様は、太陽のように明るい笑顔で答えた。ほら見なさいレティシア、よろしいに決まっているわ。
「まあ、私の話が、本当に形になればの話だけどね。ははは。」
「ヴィクター、もちろん必ず形にする。ああ、今日は、新しい未来の可能性が見い出せた素晴らしい一日だ。」
「同感だ、ところでさっきのエアコンという家電のことだがー」
3人は、話にまた花を咲かせ始めた。長くなりそうね。ふふふ。
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エヴァン様とヴィクター様はまだお話が尽きないようだ。
「おい、セレナ。前、話で聞いていた婚約者様とずいぶん違うな。なぜあんなに変わったのだ?」
一人離脱したレオナードが不思議そうに話しかけてきた。
「秘密ですわレオナード。強いて言うなら愛の力かしら」
「愛!?ははは、笑わせるなよ、お前。愛って、はは…は………え?悪い…そんな顔をするなよ」
‥‥‥。
「…それより、手紙で頼んだものは探してくれまして?」
「あ、ああ、ヴィクターが学年5位になった祝いの品だろ?抜かりはない。しかし、学年首位のお前からもらったら嫌味ではないか?」
何を言っているのやら…
「はぁ、これだから今日ヴィクター様に会ったばかりの人は…よくお聞きなさい。ヴィクター様が、私からもらうものを喜ばないわけがないのよ。そして、首位の私をご自分の自慢とおっしゃる方よ?私の成功を自分の成功のように喜んでくださる。そんな方が、嫌味に感じるなんてありえないわ。失礼よ!」
「…お前本当に、セレナか?…いや…悪い…だからそんな顔で睨むなよ…」
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