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13.及ばぬ鯉の滝登り

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「ヴィクター様、ミレーナの妹のオレリア様とはよくお会いになりますか?」

「オレリア嬢は1年生だったかな?よく2年の棟にいるよね。ミレーヌ嬢に会いに来ているのかな?」

貴方に会いに来ているのですよ。あら、噂をすれば




「ヴィクター様!ごきげんよう」

あら、許可もとらずにヴィクター様の隣に座ったわ。一瞥だけして私には挨拶はなしね。


「…ヴィクター様は、最近セレナ様と仲がよろしいのですね。」


あら、そう見えます?嬉しいわ。


「私、心配です。セレナ様はその…仲がよろしいご令息の方が多いと皆さんおっしゃっているから…」

‥‥。


「心配には及ばないよ、セレナは毎日僕と一緒だからね。おかしな噂だね、ははは。」

「い、今はそうかもしれませんが…お友達もレティシア様しかおりませんし…それはつまり…性格がちょっと」

「セレナの性格?みんな良さがわからないんだね。でも私が独占する時間がたくさんとれてうれしいよ」


ヴィクター様の笑顔はいつも通り穏やかで、少しの戸惑いも感じない。ふふふ。


「…ヴィクター様、前にお話ししたこと覚えています?実は私、階段から落とされそうになったり、水をかけられたり、教科書を破られたりしたことがありますの…私はそんなこと思っていないのですけど…その…皆さんがセレナ様じゃないかって」

「セレナが?なぜ?」

「それは!!私とヴィクター様がお似合いだからその嫉妬したのだと皆さんおっしゃっていて、‥ふふ、なんだか照れてしまいます。」


傷ついたり照れたり忙しいですわね。精神が不安定ですわ。



「…皆さんって誰だい?」

「それは、お姉さまとか…王太子殿下とか!あとは…その…」

「…2人は皆じゃないよね」


あら、ヴィクター様、ちょっと『ざまぁ』っぽいですわよ頑張って!


「私‥そんなつもりじゃ・・・ぐす」

「怒ってはいないよ、ああ、泣かないで」

おろおろし、ハンカチを差し出すヴィクター様

…ああ、おしい!!



「でも、事実をしっかり確認しないで、人の言うことを鵜呑みにするのはどうだろうか。セレナなわけがないのだから、ちゃんと犯人を見つけないと。私も、もちろん協力するよ」

「え?あの…大丈夫ですわ…私が我慢すればいいことですので…」


あらあら、睨むのはやめていただきたいわ。ここまで私、一切お話していなくてよ。


「大丈夫!実はもう調べているんだ。安心して、すぐに真相がわかるよ」


「し、真相とは?」

「セレナが知らないうちに嘘が出回り、周りに混乱や誤解を招いている。私とセレナの関係を壊すために、誰かが、偽の噂を流している、許せないよね。だから、学院の新聞部にも協力をお願いしたんだ。」


「あのハイエナ新聞部!?そ、そうですの。…あ!私、急用を思い出しましたのでこれで」




そそくさといなくなる。いなくなっても事実は消えませんよ。


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