46 / 48
46.始まりも終わりも君のそばで END
しおりを挟む
”時間をくれ”
どのくらいの時間か聞いておけばよかったわ。頭を整理する時間。普通そう思うでしょ?あんなにそばから離れるのを嫌がったのに、3か月…連絡もなしのこの期間は長すぎる。
「ねえ、叔父様は何か知っていらっしゃる?」
「何かって何だね?」
「アランがどこに行ったのか…また、極秘の諜報活動かしら?」
「いやー、アランがいないと平和でいいね。これで、お産を終えた僕の妻が帰ってきても、私の可愛い赤子がおびえずに済むよ。あはは。」
「そうですか…」
本当に知らないのだろうか。しかし、仮に諜報活動だとしたら、言えるわけもないか…
でも、もしかしたら受け止めてもらえなかったのかもしれない。そうよね。見ず知らずの令嬢に一方的な約束をさせられ、命の危険すらあった。振り返ってみたら、ひどい女、当然よね。
わかっていたはずじゃない。手放す心の準備はしてきたはずよ。本当にほしいものは昔から手に入らなかった。
思いは告げられた…いいえちょっと待ってあれは告げたうちに入るのかしら?
アランよ、話を途中から聞いていない可能性もあるわ。まって、どうしよう。『この話は終わりだ。』って言っていたあたりから聞こえていなかったとしたら。伝わっていなくて、また、自分が邪魔になると思って、姿を消した…。ありえるわ。
”時間をくれ”、そうよ、最後はそう言ったわ。考えてもしょうがない。時間が来るまで、どんな結果になってもいいように心の整理はしておこう。そうよ、私は強くなった。大丈夫…。
********************
「さ、今日は宮殿に行くよ。支度をして。」
何の前触れもなく叔父様が朝食時にそう告げた。え?フランシーヌに会うのは来週だし、何か用事があったかしら。
「なぜです?皇子の誰かとお見合いというわけではないですよね。」
「はは、それでもいいんだけど今日はそうじゃないよ。まあ、着いてからのお楽しみ。」
その後、よくわからないまま磨き上げられる。ドレスアップした私を叔父様が迎えに来た。エスコートされ馬車に乗り込む。
「ああ、綺麗だね。昔の姉上を見ているようだ。」
「叔父様、そろそろ教えてくださらない?」
真剣な顔をした叔父様が馬車の窓から遠くを見ながら話し出す。
「…あの国の新しい国王から親書が届いたらしいよ。大体が君の予想通りの結末を迎えた…ってところだね。はっ、ずうずうしくも大聖女の君にお願いがあるそうだよ。…まあ、シルヴィは、それを聞いてしまいそうだがな…。」
「…そうですか。今日はそのお話を聞きに…。」
ああ、ようやく終わったのね。もっとすがすがしい気持ちになると思っていたけど…。
「ん?今日は違うよ。」
えぇ…。
「ははは、まあまあ、悪いことではないはずだよ。サプライズだ」
「そうですの…。」
やっぱり、お見合いの可能性が強いわね。他国の皇子とか。
宮殿に着き、向かった場所は、謁見の間だった。
壁の横にずらりと並ぶ貴族たち。勲章を付けている人が多いということは何かの授与式かしら。なぜ私が?緊張感が高まる。
皇帝陛下が登場し、宰相が読み上げる。
「この度、各地での紛争がすべて終戦を迎えたことを、ここに宣言する。」
「「「「「「「おおお。」」」」」」」どよめく会場。
「功績者は前へ。」
「「「はっ!」」」
3人の功績者が前に出る。ん?あの後ろ姿は?
「・・・・を授与する。最後に、アラン・ディアス男爵。この度の貴殿の功績は特に大きい。敵の戦意を喪失させ短期間で降伏させた貴殿には、1代限りではあるが伯爵位を授ける。また、白金貨10万枚と邸を授与する。」
「ありがたき幸せ。」
どういうこと?
「はは、びっくりした?アランに相談されたんだ。もっと上の爵位がほしいって。だから、アランに言ったんだ。汚い方法と危険な方法、正式な方法どれがいいって。ほしい理由が分かったから、きっと、正当で後ろめたくない方法を選ぶと思ったんだ。」
叔父様が笑いをこらえている。
「なのにアラン、『確実に早く手に入れる方法を教えろ!汚かろうが危険だろうがどうでもいいんだよ。』だって、あはは、私は、アランのそんなところが大好きさ。」
表向きは、紛争の功績者だけど、君に言えない今までの仕事もプラスされての伯爵位だね、きっと皇帝の影、いや暗部かな、その約束もしているだろうね。叔父様が小声で言う。
「…それは、私がなんとかしますわ。」
「はは、私も力になるよ。」
「これにて授与式を終わる。」
高らかな宣言の後、会場は、大きな拍手に包まれる。
アランがくるりとこちらを向き、まっすぐ歩いてくる。
「…何も聞いていないけど?」
「ああ、何も言っていないからな。」
アランが、片膝をつき、胸に手を当てまっすぐ私を見る。
「シルヴィ・ミュラー侯爵令嬢。初めて会ったときは、性格の悪い天使だと思った。力を、爵位を、と言われ戦場にいた頃は、毎日お前を憎んだくらいだ。はは」
そうよね…。
「聞いてくれ、お前のそばに誰かがいるのを見るのは、もううんざりだ。お前は、むちゃばかりするし、傷つきやすく優しすぎる。虚勢をはって、立とうとするお前を支えるのは俺だ。結婚式で誓いを交わすのも俺だし、初夜ももちろん俺とだ。子供?俺とお前の子だろ?可愛がるに決まっている。看取りたくはないな…できるのなら共にいこう。愛しているんだ。伯爵位ならつり合いが取れるだろ?」
顔に熱が集まる、目も熱くなる…。つり合い…そうだったのね。
「こんなに傷だらけになって、無茶をして……ほかにも方法があったはずなのに」
「俺は俺の力でお前に見合う男になりたかったんだ。それに今回は前より早かっただろ?褒めてくれ。シルヴィ、お前が望むなら俺の手を取ってほしい。俺なら共に同じ方向をずっと見つめていける。こうやって見つめ合うこともできるぞ。シルヴィを傷付けるもの全てから守ろう。結婚してくれ。」
「もちろんよアラン!ーわあ!」
手を取った私を喜びに満ちたアランが抱え上げる。
「人が見ているわ、おろして」
必死で抵抗するも、びくともしない。まあいいわ。こんなに幸せそうなアランを見るのは初めて。
「はは、もう俺のものなら、かかえるのも許されるだろ?これからもお前のそばにいて、今日のお前を、毎日記憶に残してやる。嬉しいか?」
「ふふ、嬉しいわ」
夜空の雲や星のようにも見える美しい私のラピスラズリが、私に幸運をもたらす。
完
どのくらいの時間か聞いておけばよかったわ。頭を整理する時間。普通そう思うでしょ?あんなにそばから離れるのを嫌がったのに、3か月…連絡もなしのこの期間は長すぎる。
「ねえ、叔父様は何か知っていらっしゃる?」
「何かって何だね?」
「アランがどこに行ったのか…また、極秘の諜報活動かしら?」
「いやー、アランがいないと平和でいいね。これで、お産を終えた僕の妻が帰ってきても、私の可愛い赤子がおびえずに済むよ。あはは。」
「そうですか…」
本当に知らないのだろうか。しかし、仮に諜報活動だとしたら、言えるわけもないか…
でも、もしかしたら受け止めてもらえなかったのかもしれない。そうよね。見ず知らずの令嬢に一方的な約束をさせられ、命の危険すらあった。振り返ってみたら、ひどい女、当然よね。
わかっていたはずじゃない。手放す心の準備はしてきたはずよ。本当にほしいものは昔から手に入らなかった。
思いは告げられた…いいえちょっと待ってあれは告げたうちに入るのかしら?
アランよ、話を途中から聞いていない可能性もあるわ。まって、どうしよう。『この話は終わりだ。』って言っていたあたりから聞こえていなかったとしたら。伝わっていなくて、また、自分が邪魔になると思って、姿を消した…。ありえるわ。
”時間をくれ”、そうよ、最後はそう言ったわ。考えてもしょうがない。時間が来るまで、どんな結果になってもいいように心の整理はしておこう。そうよ、私は強くなった。大丈夫…。
********************
「さ、今日は宮殿に行くよ。支度をして。」
何の前触れもなく叔父様が朝食時にそう告げた。え?フランシーヌに会うのは来週だし、何か用事があったかしら。
「なぜです?皇子の誰かとお見合いというわけではないですよね。」
「はは、それでもいいんだけど今日はそうじゃないよ。まあ、着いてからのお楽しみ。」
その後、よくわからないまま磨き上げられる。ドレスアップした私を叔父様が迎えに来た。エスコートされ馬車に乗り込む。
「ああ、綺麗だね。昔の姉上を見ているようだ。」
「叔父様、そろそろ教えてくださらない?」
真剣な顔をした叔父様が馬車の窓から遠くを見ながら話し出す。
「…あの国の新しい国王から親書が届いたらしいよ。大体が君の予想通りの結末を迎えた…ってところだね。はっ、ずうずうしくも大聖女の君にお願いがあるそうだよ。…まあ、シルヴィは、それを聞いてしまいそうだがな…。」
「…そうですか。今日はそのお話を聞きに…。」
ああ、ようやく終わったのね。もっとすがすがしい気持ちになると思っていたけど…。
「ん?今日は違うよ。」
えぇ…。
「ははは、まあまあ、悪いことではないはずだよ。サプライズだ」
「そうですの…。」
やっぱり、お見合いの可能性が強いわね。他国の皇子とか。
宮殿に着き、向かった場所は、謁見の間だった。
壁の横にずらりと並ぶ貴族たち。勲章を付けている人が多いということは何かの授与式かしら。なぜ私が?緊張感が高まる。
皇帝陛下が登場し、宰相が読み上げる。
「この度、各地での紛争がすべて終戦を迎えたことを、ここに宣言する。」
「「「「「「「おおお。」」」」」」」どよめく会場。
「功績者は前へ。」
「「「はっ!」」」
3人の功績者が前に出る。ん?あの後ろ姿は?
「・・・・を授与する。最後に、アラン・ディアス男爵。この度の貴殿の功績は特に大きい。敵の戦意を喪失させ短期間で降伏させた貴殿には、1代限りではあるが伯爵位を授ける。また、白金貨10万枚と邸を授与する。」
「ありがたき幸せ。」
どういうこと?
「はは、びっくりした?アランに相談されたんだ。もっと上の爵位がほしいって。だから、アランに言ったんだ。汚い方法と危険な方法、正式な方法どれがいいって。ほしい理由が分かったから、きっと、正当で後ろめたくない方法を選ぶと思ったんだ。」
叔父様が笑いをこらえている。
「なのにアラン、『確実に早く手に入れる方法を教えろ!汚かろうが危険だろうがどうでもいいんだよ。』だって、あはは、私は、アランのそんなところが大好きさ。」
表向きは、紛争の功績者だけど、君に言えない今までの仕事もプラスされての伯爵位だね、きっと皇帝の影、いや暗部かな、その約束もしているだろうね。叔父様が小声で言う。
「…それは、私がなんとかしますわ。」
「はは、私も力になるよ。」
「これにて授与式を終わる。」
高らかな宣言の後、会場は、大きな拍手に包まれる。
アランがくるりとこちらを向き、まっすぐ歩いてくる。
「…何も聞いていないけど?」
「ああ、何も言っていないからな。」
アランが、片膝をつき、胸に手を当てまっすぐ私を見る。
「シルヴィ・ミュラー侯爵令嬢。初めて会ったときは、性格の悪い天使だと思った。力を、爵位を、と言われ戦場にいた頃は、毎日お前を憎んだくらいだ。はは」
そうよね…。
「聞いてくれ、お前のそばに誰かがいるのを見るのは、もううんざりだ。お前は、むちゃばかりするし、傷つきやすく優しすぎる。虚勢をはって、立とうとするお前を支えるのは俺だ。結婚式で誓いを交わすのも俺だし、初夜ももちろん俺とだ。子供?俺とお前の子だろ?可愛がるに決まっている。看取りたくはないな…できるのなら共にいこう。愛しているんだ。伯爵位ならつり合いが取れるだろ?」
顔に熱が集まる、目も熱くなる…。つり合い…そうだったのね。
「こんなに傷だらけになって、無茶をして……ほかにも方法があったはずなのに」
「俺は俺の力でお前に見合う男になりたかったんだ。それに今回は前より早かっただろ?褒めてくれ。シルヴィ、お前が望むなら俺の手を取ってほしい。俺なら共に同じ方向をずっと見つめていける。こうやって見つめ合うこともできるぞ。シルヴィを傷付けるもの全てから守ろう。結婚してくれ。」
「もちろんよアラン!ーわあ!」
手を取った私を喜びに満ちたアランが抱え上げる。
「人が見ているわ、おろして」
必死で抵抗するも、びくともしない。まあいいわ。こんなに幸せそうなアランを見るのは初めて。
「はは、もう俺のものなら、かかえるのも許されるだろ?これからもお前のそばにいて、今日のお前を、毎日記憶に残してやる。嬉しいか?」
「ふふ、嬉しいわ」
夜空の雲や星のようにも見える美しい私のラピスラズリが、私に幸運をもたらす。
完
1,060
お気に入りに追加
6,946
あなたにおすすめの小説
政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~
つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。
政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。
他サイトにも公開中。
拝啓、婚約者様。婚約破棄していただきありがとうございます〜破棄を破棄?ご冗談は顔だけにしてください〜
みおな
恋愛
子爵令嬢のミリム・アデラインは、ある日婚約者の侯爵令息のランドル・デルモンドから婚約破棄をされた。
この婚約の意味も理解せずに、地味で陰気で身分も低いミリムを馬鹿にする婚約者にうんざりしていたミリムは、大喜びで婚約破棄を受け入れる。
永遠の誓いを立てましょう、あなたへの想いを思い出すことは決してないと……
矢野りと
恋愛
ある日突然、私はすべてを失った。
『もう君はいりません、アリスミ・カロック』
恋人は表情を変えることなく、別れの言葉を告げてきた。彼の隣にいた私の親友は、申し訳なさそうな顔を作ることすらせず笑っていた。
恋人も親友も一度に失った私に待っていたのは、さらなる残酷な仕打ちだった。
『八等級魔術師アリスミ・カロック。異動を命じる』
『えっ……』
任期途中での異動辞令は前例がない。最上位の魔術師である元恋人が裏で動いた結果なのは容易に察せられた。
私にそれを拒絶する力は勿論なく、一生懸命に築いてきた居場所さえも呆気なく奪われた。
それから二年が経った頃、立ち直った私の前に再び彼が現れる。
――二度と交わらないはずだった運命の歯車が、また動き出した……。
※このお話の設定は架空のものです。
※お話があわない時はブラウザバックでお願いします(_ _)
妹と旦那様に子供ができたので、離縁して隣国に嫁ぎます
冬月光輝
恋愛
私がベルモンド公爵家に嫁いで3年の間、夫婦に子供は出来ませんでした。
そんな中、夫のファルマンは裏切り行為を働きます。
しかも相手は妹のレナ。
最初は夫を叱っていた義両親でしたが、レナに子供が出来たと知ると私を責めだしました。
夫も婚約中から私からの愛は感じていないと口にしており、あの頃に婚約破棄していればと謝罪すらしません。
最後には、二人と子供の幸せを害する権利はないと言われて離縁させられてしまいます。
それからまもなくして、隣国の王子であるレオン殿下が我が家に現れました。
「約束どおり、私の妻になってもらうぞ」
確かにそんな約束をした覚えがあるような気がしますが、殿下はまだ5歳だったような……。
言われるがままに、隣国へ向かった私。
その頃になって、子供が出来ない理由は元旦那にあることが発覚して――。
ベルモンド公爵家ではひと悶着起こりそうらしいのですが、もう私には関係ありません。
※ざまぁパートは第16話〜です
うたた寝している間に運命が変わりました。
gacchi
恋愛
優柔不断な第三王子フレディ様の婚約者として、幼いころから色々と苦労してきたけど、最近はもう呆れてしまって放置気味。そんな中、お義姉様がフレディ様の子を身ごもった?私との婚約は解消?私は学園を卒業したら修道院へ入れられることに。…だったはずなのに、カフェテリアでうたた寝していたら、私の運命は変わってしまったようです。
人質王女の婚約者生活(仮)〜「君を愛することはない」と言われたのでひとときの自由を満喫していたら、皇太子殿下との秘密ができました〜
清川和泉
恋愛
幼い頃に半ば騙し討ちの形で人質としてブラウ帝国に連れて来られた、隣国ユーリ王国の王女クレア。
クレアは皇女宮で毎日皇女らに下女として過ごすように強要されていたが、ある日属国で暮らしていた皇太子であるアーサーから「彼から愛されないこと」を条件に婚約を申し込まれる。
(過去に、婚約するはずの女性がいたと聞いたことはあるけれど…)
そう考えたクレアは、彼らの仲が公になるまでの繋ぎの婚約者を演じることにした。
移住先では夢のような好待遇、自由な時間をもつことができ、仮初めの婚約者生活を満喫する。
また、ある出来事がきっかけでクレア自身に秘められた力が解放され、それはアーサーとクレアの二人だけの秘密に。行動を共にすることも増え徐々にアーサーとの距離も縮まっていく。
「俺は君を愛する資格を得たい」
(皇太子殿下には想い人がいたのでは。もしかして、私を愛せないのは別のことが理由だった…?)
これは、不遇な人質王女のクレアが不思議な力で周囲の人々を幸せにし、クレア自身も幸せになっていく物語。
真実の愛を見つけた婚約者(殿下)を尊敬申し上げます、婚約破棄致しましょう
さこの
恋愛
「真実の愛を見つけた」
殿下にそう告げられる
「応援いたします」
だって真実の愛ですのよ?
見つける方が奇跡です!
婚約破棄の書類ご用意いたします。
わたくしはお先にサインをしました、殿下こちらにフルネームでお書き下さいね。
さぁ早く!わたくしは真実の愛の前では霞んでしまうような存在…身を引きます!
なぜ婚約破棄後の元婚約者殿が、こんなに美しく写るのか…
私の真実の愛とは誠の愛であったのか…
気の迷いであったのでは…
葛藤するが、すでに時遅し…
【完結】私を捨てて駆け落ちしたあなたには、こちらからさようならを言いましょう。
やまぐちこはる
恋愛
パルティア・エンダライン侯爵令嬢はある日珍しく婿入り予定の婚約者から届いた手紙を読んで、彼が駆け落ちしたことを知った。相手は同じく侯爵令嬢で、そちらにも王家の血筋の婿入りする婚約者がいたが、貴族派閥を保つ政略結婚だったためにどうやっても婚約を解消できず、愛の逃避行と洒落こんだらしい。
落ち込むパルティアは、しばらく社交から離れたい療養地としても有名な別荘地へ避暑に向かう。静かな湖畔で傷を癒やしたいと、高級ホテルでひっそり寛いでいると同じ頃から同じように、人目を避けてぼんやり湖を眺める美しい青年に気がついた。
毎日涼しい湖畔で本を読みながら、チラリチラリと彼を盗み見ることが日課となったパルティアだが。
様子がおかしい青年に気づく。
ふらりと湖に近づくと、ポチャっと小さな水音を立てて入水し始めたのだ。
ドレスの裾をたくしあげ、パルティアも湖に駆け込んで彼を引き留めた。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
最終話まで予約投稿済です。
次はどんな話を書こうかなと思ったとき、駆け落ちした知人を思い出し、そんな話を書くことに致しました。
ある日突然、紙1枚で消えるのは本当にびっくりするのでやめてくださいという思いを込めて。
楽しんで頂けましたら、きっと彼らも喜ぶことと思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる