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37.隣国での討伐

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「シルヴィぃぃーごめん、皇帝から君とアランに魔獣の討伐、そして浄化の依頼が入ったぁぁ」


叔父様が、泣きながら、謝ってくる。


「俺はともかく、シルヴィに?なぜだ!!!」

アランは、とてつもなく怒っている。


「それが…、シルヴィが治癒の力だけでなく、浄化と結界の能力があることを皇帝が知っているみたいなんだよ。」

あらあら、さすが皇帝。


「…おい、おまえがバラしたんじゃないよな…」


”違う違う”と全力で首を振る叔父様。

「まあ、私は別に構いませんけど?」

「本当かい?ああ、よかった。ただ、そんなに数は多くないみたいだから。討伐はアランに、浄化をシルヴィにということだったから、まだ、シルヴィにも討伐するだけの力があることは知られていないようだよ。」


「…とにかく、あいつらに貸しを作ったということだな。よし、必ず回収してやる。」


ふふ、久しぶりに思いっきり力を使ってみることにするわ。


「お詫びに、愉快な話を。君がいなくなった後のあの国、結界がほころんで大変らしいよ。シルヴィの偉大さに今頃気付いているだろうね。ははは」



結界か…


********************

魔獣が発生した場所に着く。

「これは思った以上ね。」

魔獣がこちらに向けて殺気を放っている。数はそうね100くらいかしら。

「さあ、行きましょう。」

「待て待て待てー。お前はなぜ当たり前のように行こうとしている。」

慌てるアラン。

「え?2人でやった方が早いじゃない。」

そうだが、しかし…と頭を抱えている。

「…わかった。いいか、俺から離れるな、そしてあんまり無理をするな。約束だぞ」


アランは、約束好きね。


「ふふ、いいわ。でも、思っていた以上の数ではあったけど、たかだか100くらいよ。そんなに心配することある?」

「1だろうが、100だろうが、関係ないんだよ!いいから約束は守れよ!!」


剣を構え走り出すアラン。踊るように魔獣を切りつけていく。”狂乱の死神”か…名付けた人は見る目ないわね。あの優雅さは”戦いの美神”と言ってもいいわ。さあ、私もやりますか。



********************


積み上がった魔獣の死体をアランと共に見る。あっという間に終わった。アランの横に座り、手に力を籠め、穢れた土地の浄化を始める。


「ねえ、アラン、私、小さい頃はね…お互いに見つめ合い、語り合うことが愛だと思っていたの。そして、そんな人がほしかったわ」


「…そうか」

隣に座ったアランが気のない返事をする。


「今はね、共に同じ方向をずっと見つめていけるそんな人がほしいの。」

「…そうか」


「辺境伯様たち…大丈夫かしら。お2人には、とてもよくしてもらったの。…来週にでも、こっそり辺境伯領に行き、魔獣を討伐して、浄化、結界の再構築を行うわ。アランと一緒に。」

「…そうか」


茜色をした空と魔獣の血の色の境目がわからなくなる夕暮れ。沈みゆく夕陽を見ながら浄化をする。静かな時だけが流れる。







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