37 / 48
37.隣国での討伐
しおりを挟む
「シルヴィぃぃーごめん、皇帝から君とアランに魔獣の討伐、そして浄化の依頼が入ったぁぁ」
叔父様が、泣きながら、謝ってくる。
「俺はともかく、シルヴィに?なぜだ!!!」
アランは、とてつもなく怒っている。
「それが…、シルヴィが治癒の力だけでなく、浄化と結界の能力があることを皇帝が知っているみたいなんだよ。」
あらあら、さすが皇帝。
「…おい、おまえがバラしたんじゃないよな…」
”違う違う”と全力で首を振る叔父様。
「まあ、私は別に構いませんけど?」
「本当かい?ああ、よかった。ただ、そんなに数は多くないみたいだから。討伐はアランに、浄化をシルヴィにということだったから、まだ、シルヴィにも討伐するだけの力があることは知られていないようだよ。」
「…とにかく、あいつらに貸しを作ったということだな。よし、必ず回収してやる。」
ふふ、久しぶりに思いっきり力を使ってみることにするわ。
「お詫びに、愉快な話を。君がいなくなった後のあの国、結界がほころんで大変らしいよ。シルヴィの偉大さに今頃気付いているだろうね。ははは」
結界か…
********************
魔獣が発生した場所に着く。
「これは思った以上ね。」
魔獣がこちらに向けて殺気を放っている。数はそうね100くらいかしら。
「さあ、行きましょう。」
「待て待て待てー。お前はなぜ当たり前のように行こうとしている。」
慌てるアラン。
「え?2人でやった方が早いじゃない。」
そうだが、しかし…と頭を抱えている。
「…わかった。いいか、俺から離れるな、そしてあんまり無理をするな。約束だぞ」
アランは、約束好きね。
「ふふ、いいわ。でも、思っていた以上の数ではあったけど、たかだか100くらいよ。そんなに心配することある?」
「1だろうが、100だろうが、関係ないんだよ!いいから約束は守れよ!!」
剣を構え走り出すアラン。踊るように魔獣を切りつけていく。”狂乱の死神”か…名付けた人は見る目ないわね。あの優雅さは”戦いの美神”と言ってもいいわ。さあ、私もやりますか。
********************
積み上がった魔獣の死体をアランと共に見る。あっという間に終わった。アランの横に座り、手に力を籠め、穢れた土地の浄化を始める。
「ねえ、アラン、私、小さい頃はね…お互いに見つめ合い、語り合うことが愛だと思っていたの。そして、そんな人がほしかったわ」
「…そうか」
隣に座ったアランが気のない返事をする。
「今はね、共に同じ方向をずっと見つめていけるそんな人がほしいの。」
「…そうか」
「辺境伯様たち…大丈夫かしら。お2人には、とてもよくしてもらったの。…来週にでも、こっそり辺境伯領に行き、魔獣を討伐して、浄化、結界の再構築を行うわ。アランと一緒に。」
「…そうか」
茜色をした空と魔獣の血の色の境目がわからなくなる夕暮れ。沈みゆく夕陽を見ながら浄化をする。静かな時だけが流れる。
叔父様が、泣きながら、謝ってくる。
「俺はともかく、シルヴィに?なぜだ!!!」
アランは、とてつもなく怒っている。
「それが…、シルヴィが治癒の力だけでなく、浄化と結界の能力があることを皇帝が知っているみたいなんだよ。」
あらあら、さすが皇帝。
「…おい、おまえがバラしたんじゃないよな…」
”違う違う”と全力で首を振る叔父様。
「まあ、私は別に構いませんけど?」
「本当かい?ああ、よかった。ただ、そんなに数は多くないみたいだから。討伐はアランに、浄化をシルヴィにということだったから、まだ、シルヴィにも討伐するだけの力があることは知られていないようだよ。」
「…とにかく、あいつらに貸しを作ったということだな。よし、必ず回収してやる。」
ふふ、久しぶりに思いっきり力を使ってみることにするわ。
「お詫びに、愉快な話を。君がいなくなった後のあの国、結界がほころんで大変らしいよ。シルヴィの偉大さに今頃気付いているだろうね。ははは」
結界か…
********************
魔獣が発生した場所に着く。
「これは思った以上ね。」
魔獣がこちらに向けて殺気を放っている。数はそうね100くらいかしら。
「さあ、行きましょう。」
「待て待て待てー。お前はなぜ当たり前のように行こうとしている。」
慌てるアラン。
「え?2人でやった方が早いじゃない。」
そうだが、しかし…と頭を抱えている。
「…わかった。いいか、俺から離れるな、そしてあんまり無理をするな。約束だぞ」
アランは、約束好きね。
「ふふ、いいわ。でも、思っていた以上の数ではあったけど、たかだか100くらいよ。そんなに心配することある?」
「1だろうが、100だろうが、関係ないんだよ!いいから約束は守れよ!!」
剣を構え走り出すアラン。踊るように魔獣を切りつけていく。”狂乱の死神”か…名付けた人は見る目ないわね。あの優雅さは”戦いの美神”と言ってもいいわ。さあ、私もやりますか。
********************
積み上がった魔獣の死体をアランと共に見る。あっという間に終わった。アランの横に座り、手に力を籠め、穢れた土地の浄化を始める。
「ねえ、アラン、私、小さい頃はね…お互いに見つめ合い、語り合うことが愛だと思っていたの。そして、そんな人がほしかったわ」
「…そうか」
隣に座ったアランが気のない返事をする。
「今はね、共に同じ方向をずっと見つめていけるそんな人がほしいの。」
「…そうか」
「辺境伯様たち…大丈夫かしら。お2人には、とてもよくしてもらったの。…来週にでも、こっそり辺境伯領に行き、魔獣を討伐して、浄化、結界の再構築を行うわ。アランと一緒に。」
「…そうか」
茜色をした空と魔獣の血の色の境目がわからなくなる夕暮れ。沈みゆく夕陽を見ながら浄化をする。静かな時だけが流れる。
655
お気に入りに追加
6,905
あなたにおすすめの小説
【完結】「君を愛することはない」と言われた公爵令嬢は思い出の夜を繰り返す
おのまとぺ
恋愛
「君を愛することはない!」
鳴り響く鐘の音の中で、三年の婚約期間の末に結ばれるはずだったマルクス様は高らかに宣言しました。隣には彼の義理の妹シシーがピッタリとくっついています。私は笑顔で「承知いたしました」と答え、ガラスの靴を脱ぎ捨てて、一目散に式場の扉へと走り出しました。
え?悲しくないのかですって?
そんなこと思うわけないじゃないですか。だって、私はこの三年間、一度たりとも彼を愛したことなどなかったのですから。私が本当に愛していたのはーーー
◇よくある婚約破棄
◇元サヤはないです
◇タグは増えたりします
◇薬物などの危険物が少し登場します
政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~
つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。
政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。
他サイトにも公開中。
まさか、こんな事になるとは思ってもいなかった
あとさん♪
恋愛
学園の卒業記念パーティでその断罪は行われた。
王孫殿下自ら婚約者を断罪し、婚約者である公爵令嬢は地下牢へ移されて——
だがその断罪は国王陛下にとって寝耳に水の出来事だった。彼は怒り、孫である王孫を改めて断罪する。関係者を集めた中で。
誰もが思った。『まさか、こんな事になるなんて』と。
この事件をきっかけに歴史は動いた。
無血革命が起こり、国名が変わった。
平和な時代になり、ひとりの女性が70年前の真実に近づく。
※R15は保険。
※設定はゆるんゆるん。
※異世界のなんちゃってだとお心にお留め置き下さいませm(_ _)m
※本編はオマケ込みで全24話
※番外編『フォーサイス公爵の走馬灯』(全5話)
※『ジョン、という人』(全1話)
※『乙女ゲーム“この恋をアナタと”の真実』(全2話)
※↑蛇足回2021,6,23加筆修正
※外伝『真か偽か』(全1話)
※小説家になろうにも投稿しております。
家出した伯爵令嬢【完結済】
弓立歩
恋愛
薬学に長けた家に生まれた伯爵令嬢のカノン。病弱だった第2王子との7年の婚約の結果は何と婚約破棄だった!これまでの尽力に対して、実家も含めあまりにもつらい仕打ちにとうとうカノンは家を出る決意をする。
番外編において暴力的なシーン等もありますので一応R15が付いています
6/21完結。今後の更新は予定しておりません。また、本編は60000字と少しで柔らかい表現で出来ております
王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました
さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。
王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ
頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。
ゆるい設定です
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
わたしの婚約者の好きな人
風見ゆうみ
恋愛
わたし、アザレア・ミノン伯爵令嬢には、2つ年上のビトイ・ノーマン伯爵令息という婚約者がいる。
彼は、昔からわたしのお姉様が好きだった。
お姉様が既婚者になった今でも…。
そんなある日、仕事の出張先で義兄が事故にあい、その地で入院する為、邸にしばらく帰れなくなってしまった。
その間、実家に帰ってきたお姉様を目当てに、ビトイはやって来た。
拒んでいるふりをしながらも、まんざらでもない、お姉様。
そして、わたしは見たくもないものを見てしまう――
※史実とは関係なく、設定もゆるく、ご都合主義です。ご了承ください。
全てを諦めた令嬢の幸福
セン
恋愛
公爵令嬢シルヴィア・クロヴァンスはその奇異な外見のせいで、家族からも幼い頃からの婚約者からも嫌われていた。そして学園卒業間近、彼女は突然婚約破棄を言い渡された。
諦めてばかりいたシルヴィアが周りに支えられ成長していく物語。
※途中シリアスな話もあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる