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26.回想⑧~シルヴィ・ウィレムス公爵令嬢~
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「今日は、国境近くの結界を修復に行くけど、アランはどうする?」
ナタリーに身支度を手伝ってもらいながら、アランに問いかける。
「行くに決まってんだろ?なんだよその質問。2度とするな。」
決まっているのね。ふふ。
「そうだ、お前の叔父が、今日その場まで来るらしいぞ?」
「叔父様が?」
「ああ、お前の叔父はなぜか王家や公爵家に警戒されていて、この国に入るのに手続きが面倒らしいから、なんでも、姑息な手を使ってどうにか来るといっていたぞ。」
姑息って?
「それにしても、あなた、叔父様と連絡を取り合っていたのね。」
「ああ、非合法な手段でな。」
連絡を取り合うのに非合法って?
「…まあ、あれだ、聞かないほうがいいぞ。」
********************
「ーヴィ、シルヴィ!!!」
満面の笑顔で手を振り、こちらに走ってくるのは、叔父様!!
「シルヴィ、顔をよく見せて。ああ、姉上に似ている。とてもきれいになったね。」
ぎゅうぎゅうと抱きしめられる。
「叔父様、私に会いにわざわざ?」
「ああ、国境近くまで来るとアランに聞いてね。なに、大変じゃないのさ。転移魔法で近くまで来て、あとは商人に金を握らせ、隠してもらってこの国に入ったんだ。」
「転移魔法が使えるんなら、そのままここまで来たらよかったじゃねえか。」
叔父様から私を引き離しながらアランが言う。
「もう、君の口の悪さは相変わらずだね。実は、この国のとっても力がある大聖女の結界は、他国からの侵入も防いでいるんだ。だから国境近くまでは来れても、弾き飛ばされちゃうんだよね。」
「なんだかすみません、叔父様…。」
「はは、だから、シルヴィが結界にちょこっと穴をあけてくれたらすぐにでも、この国を一緒に出られる。…あとは、どうとでもできる権力が私にはある。」
叔父様が真剣な表情で私を見つめ、返事を待っている。
「ありがとうございます。叔父様。必ず早めに隣国へ行きますわ。でも、今ではないのです。私、まいた種に水をやっている最中なのです。芽を出し、花をつけ、付けた実を刈り取るまでは、この国を離れるわけにはいかないのです。」
「は?お前は令嬢なのに農業をやっているのか?」
アランはよくわからないといった表情だ。
そんなアランに叔父様は大笑いだ。
「っははは、はぁ~そうか、そういうことならわかったよ。それにしても、アラン君は、貴族的な言い回しの勉強もしなきゃだね。」
自分一人がわかっていない状況に不機嫌な顔をするアラン。ふふ、睨まないで、あとで教えてあげるわ。だって協力してもらわなきゃいけないのですもの。
「まあ、それは置いといて。シルヴィに実は、お願いがあって。1日だけ隣国に行く気はない?」
叔父様がさわやかに笑う。
『気をつけろ、この顔の時はやべえんだこいつ。』
アランが、小声で耳打ちをする。あら、叔父様とずいぶん仲良くなったのね。
ナタリーに身支度を手伝ってもらいながら、アランに問いかける。
「行くに決まってんだろ?なんだよその質問。2度とするな。」
決まっているのね。ふふ。
「そうだ、お前の叔父が、今日その場まで来るらしいぞ?」
「叔父様が?」
「ああ、お前の叔父はなぜか王家や公爵家に警戒されていて、この国に入るのに手続きが面倒らしいから、なんでも、姑息な手を使ってどうにか来るといっていたぞ。」
姑息って?
「それにしても、あなた、叔父様と連絡を取り合っていたのね。」
「ああ、非合法な手段でな。」
連絡を取り合うのに非合法って?
「…まあ、あれだ、聞かないほうがいいぞ。」
********************
「ーヴィ、シルヴィ!!!」
満面の笑顔で手を振り、こちらに走ってくるのは、叔父様!!
「シルヴィ、顔をよく見せて。ああ、姉上に似ている。とてもきれいになったね。」
ぎゅうぎゅうと抱きしめられる。
「叔父様、私に会いにわざわざ?」
「ああ、国境近くまで来るとアランに聞いてね。なに、大変じゃないのさ。転移魔法で近くまで来て、あとは商人に金を握らせ、隠してもらってこの国に入ったんだ。」
「転移魔法が使えるんなら、そのままここまで来たらよかったじゃねえか。」
叔父様から私を引き離しながらアランが言う。
「もう、君の口の悪さは相変わらずだね。実は、この国のとっても力がある大聖女の結界は、他国からの侵入も防いでいるんだ。だから国境近くまでは来れても、弾き飛ばされちゃうんだよね。」
「なんだかすみません、叔父様…。」
「はは、だから、シルヴィが結界にちょこっと穴をあけてくれたらすぐにでも、この国を一緒に出られる。…あとは、どうとでもできる権力が私にはある。」
叔父様が真剣な表情で私を見つめ、返事を待っている。
「ありがとうございます。叔父様。必ず早めに隣国へ行きますわ。でも、今ではないのです。私、まいた種に水をやっている最中なのです。芽を出し、花をつけ、付けた実を刈り取るまでは、この国を離れるわけにはいかないのです。」
「は?お前は令嬢なのに農業をやっているのか?」
アランはよくわからないといった表情だ。
そんなアランに叔父様は大笑いだ。
「っははは、はぁ~そうか、そういうことならわかったよ。それにしても、アラン君は、貴族的な言い回しの勉強もしなきゃだね。」
自分一人がわかっていない状況に不機嫌な顔をするアラン。ふふ、睨まないで、あとで教えてあげるわ。だって協力してもらわなきゃいけないのですもの。
「まあ、それは置いといて。シルヴィに実は、お願いがあって。1日だけ隣国に行く気はない?」
叔父様がさわやかに笑う。
『気をつけろ、この顔の時はやべえんだこいつ。』
アランが、小声で耳打ちをする。あら、叔父様とずいぶん仲良くなったのね。
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