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第2章
23一致団結
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「君たちがブリス君とオレリア嬢だね。いつも妹と仲良くしてくれてありがとう。」
忙しいお兄様とノエル様が二人そろって生徒会にやってこられた。今日は、皇太子殿下は公務で学院をお休みのため、ノエル様はフリーだ。学院外では違う護衛がつくからだ。
「とんでもございませんわ。仲良くさせていただいているのは私たちのほうで。ブリス様なんていつもアイリーン様にご迷惑をおかけていますし…」
「ひどいなー、これでも一応君より爵位はう、えな、んだけ、ど…」
こりませんわね、ブリス様。お口チャックですわ。
「はは。アリーを一人残して留学に行くのが不安だったが、2人がいてくれるのなら心強い。」
お兄様は、2年次となっても主席をキープし、隣国にある各国の優秀者のみが選ばれるという学院に留学することが決まっている。ちなみに同時期、お父様も隣国との鉄道事業のため、長期間この国を離れる。お母さまは王都に残る予定だったが、隣国出身のお母様の夫人同士のつながりは重要なようで、結局ともに隣国にわたられることとなった。
ゲーム内で、こんなに溺愛している家族が、断罪っていう大変な時に登場しなかった理由が分かったわ。
お二人とも、独自に調査しておられるようで「皇太子の振る舞いは婚約破棄に当たるだろう、アイリーンも一緒に連れて行く」とごねられたのだが、破棄するにはまだ、大きな事実もなく、何よりノエル様の傍にいられないのは嫌なので、なんやかんや理由をつけて王都に残ることにした。
「2人は知っていると聞いたが、婚約者である皇太子殿下は、まあ、あのような様子だ。いつ、アイリーンが不当な目に合うかと心配でたまらない。こんなお願いをして申し訳ないが、ぜひ、妹の味方でいてほしい。」
大きくうなずき、オレリア様が話し出す。
「勿論ですわ。私が目にした皇太子殿下と男爵令嬢の振る舞い、一字一句記しております。改ざんを疑われないよう日付、時間、その場にいた者たちの証言もぬかりなく。男爵令嬢、いえ、皇太子殿下が何をおっしゃっても論破する自信しかありませんわ。アイリーン様を傷つけようなんて言語道断。ええ、是非お任せください。」
初耳だわ。た、頼もしい。流石、文官希望。ん?文官と言うより影?諜報?ともかく、その資料私も欲しいわ。
「すごいよー、あの男爵令嬢。何の接点もないのに、僕の前にもよくあらわれるんだ。魔術について褒めてくれるんだけど、何て言うか学がないからだろうね、中身が薄っぺらいんだよ。ほんと、殿下はどこに惹かれたんだろう?」
攻略対象者という接点がありますのよ。
「ブリス様、あなた隙があるんじゃなくて?もちろん、きちんとそのこと記録しているのでしょうね。」
オレリア様の、言葉の鋭さは今日も健在。
「隙?えー僕のせい?まあ、いいや、僕、侯爵家の商会の商品のファンだからね。録画機能付きのカメラ、持っているんだ。撮っていることがばれないような細工はもちろんしてあるけど。」
盗撮?…ちょっと後でご同行願います。
傍でじっと話を聞いていたノエル様がお兄様に、話しかける。
「ノエル、私もいる。君の妹は、何としてでも守る。例え、護衛騎士を返上することとなっても。」
「はは、うん、勿論頼りにしているよ。頼まなくてもアリーを守ってくれることも知っている。」
頷き合う2人。私、みんなに大切にされていますのね、幸せ者ですわ。
窓から差し込む光が、後光のように2人を照らす。ひたすらに神。
※完結のめどがつきました。全65話(64話+番外編)です。最後までよろしくお願いします。
「君たちがブリス君とオレリア嬢だね。いつも妹と仲良くしてくれてありがとう。」
忙しいお兄様とノエル様が二人そろって生徒会にやってこられた。今日は、皇太子殿下は公務で学院をお休みのため、ノエル様はフリーだ。学院外では違う護衛がつくからだ。
「とんでもございませんわ。仲良くさせていただいているのは私たちのほうで。ブリス様なんていつもアイリーン様にご迷惑をおかけていますし…」
「ひどいなー、これでも一応君より爵位はう、えな、んだけ、ど…」
こりませんわね、ブリス様。お口チャックですわ。
「はは。アリーを一人残して留学に行くのが不安だったが、2人がいてくれるのなら心強い。」
お兄様は、2年次となっても主席をキープし、隣国にある各国の優秀者のみが選ばれるという学院に留学することが決まっている。ちなみに同時期、お父様も隣国との鉄道事業のため、長期間この国を離れる。お母さまは王都に残る予定だったが、隣国出身のお母様の夫人同士のつながりは重要なようで、結局ともに隣国にわたられることとなった。
ゲーム内で、こんなに溺愛している家族が、断罪っていう大変な時に登場しなかった理由が分かったわ。
お二人とも、独自に調査しておられるようで「皇太子の振る舞いは婚約破棄に当たるだろう、アイリーンも一緒に連れて行く」とごねられたのだが、破棄するにはまだ、大きな事実もなく、何よりノエル様の傍にいられないのは嫌なので、なんやかんや理由をつけて王都に残ることにした。
「2人は知っていると聞いたが、婚約者である皇太子殿下は、まあ、あのような様子だ。いつ、アイリーンが不当な目に合うかと心配でたまらない。こんなお願いをして申し訳ないが、ぜひ、妹の味方でいてほしい。」
大きくうなずき、オレリア様が話し出す。
「勿論ですわ。私が目にした皇太子殿下と男爵令嬢の振る舞い、一字一句記しております。改ざんを疑われないよう日付、時間、その場にいた者たちの証言もぬかりなく。男爵令嬢、いえ、皇太子殿下が何をおっしゃっても論破する自信しかありませんわ。アイリーン様を傷つけようなんて言語道断。ええ、是非お任せください。」
初耳だわ。た、頼もしい。流石、文官希望。ん?文官と言うより影?諜報?ともかく、その資料私も欲しいわ。
「すごいよー、あの男爵令嬢。何の接点もないのに、僕の前にもよくあらわれるんだ。魔術について褒めてくれるんだけど、何て言うか学がないからだろうね、中身が薄っぺらいんだよ。ほんと、殿下はどこに惹かれたんだろう?」
攻略対象者という接点がありますのよ。
「ブリス様、あなた隙があるんじゃなくて?もちろん、きちんとそのこと記録しているのでしょうね。」
オレリア様の、言葉の鋭さは今日も健在。
「隙?えー僕のせい?まあ、いいや、僕、侯爵家の商会の商品のファンだからね。録画機能付きのカメラ、持っているんだ。撮っていることがばれないような細工はもちろんしてあるけど。」
盗撮?…ちょっと後でご同行願います。
傍でじっと話を聞いていたノエル様がお兄様に、話しかける。
「ノエル、私もいる。君の妹は、何としてでも守る。例え、護衛騎士を返上することとなっても。」
「はは、うん、勿論頼りにしているよ。頼まなくてもアリーを守ってくれることも知っている。」
頷き合う2人。私、みんなに大切にされていますのね、幸せ者ですわ。
窓から差し込む光が、後光のように2人を照らす。ひたすらに神。
※完結のめどがつきました。全65話(64話+番外編)です。最後までよろしくお願いします。
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