キミと2回目の恋をしよう

なの

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11話

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シャワーを浴びてもまだなんだが寒くて仕方がなかった。普通ならまだ暑いから冷房を入れるが俺は暖房のスイッチに切り替えた。布団に包まりながら俺はさっきの2人を思い出していた。

相澤くんに会ってまだ数日だけど俺は相澤くんに対して好意を持ちはじめていた。元々の俺は恋愛対象が女か男なのかなんてわからなかったがメッセージのやり取りを見て相澤くんともしかしたら?と思っていたが違ったのかもしれない。弟とは同級生だと言ってたし……そうか付き合っていたのは俺じゃなくて弟の方だったのかもしれない。そう思うことにして自分の気持ちを切り替えようとしたけどそんなことできるはずもなかった。

俺の人生ってなんなんだろう?
今までの生きてきた記憶もない。もしかしたら付き合っていたかも?と思ってたがそれは俺の勘違いでその人は弟の彼氏だった……なんて自分でも呆れて、そして泣きたくなった。あのとき歩道橋から落ちたときに死んじゃったほうが幸せだったんじゃないだろうか?ふとスマホに手を伸ばしたら電源が落ちていた。まぁ俺のことを心配して電話なんてかけてくれる人なんていないだろう。

それにしてもなんで相澤くんは俺と一緒に暮らしてるんだ?弟と暮らせばいいものを俺は2人の邪魔なんじゃないだろうか?考えても答えが見つからなかった。暖房をつけているのに悪寒が治らない。雨の中歩いたせいで熱が出たのかもしれない。自分で自分の身体をさすりながら俺は今後のことを考えるのをやめて目をつぶった。


◇◇◇◇◇

「今日、家に行ってもいいか?兄貴に会いたいし」
そんなメッセージが翔から入ったのは通勤電車の中だった。俺は昨日のことがあって朝も先輩に会いづらくて早く起きたのに先輩は起きてきてしまった。残業があるから帰りは遅いからと逃げるように家を飛び出してしまったが、今日は残業がない日だからどこかで時間を潰す予定だったのだが翔がいてくれたらちょうどいい。気まずい思いをしないと思って

「いいよ。駅で待ち合わせよう」
そう返事をして翔と一緒に家に帰ったのに……帰ったら家の中は真っ暗で先輩は家にはいなかった。お揃いのイルカのキーホルダーもなかった。もしかしたら記憶が戻って出ていったのかと思ったが、あのスーツケースはそのままだった。いつ出て行ったのだろう?冷蔵庫を開けると俺がお昼にと買っておいたサンドイッチが入っていた。

「どこ行ったんだ?心あたりは?」
そんなこと聞かれてもわからなかった。

「お前、本当のこと兄貴に言ったほうがいいんじゃないか?」
そう言われてもそんなことは言えない俺たちは付き合ってたんだよなんて。もしかしたら男同士で気持ち悪いと思われるかもしれないし、それこそこの同居生活が終わるかもしれないのに……

「電話してみる」
そう言って電話をかけたが機械の音声が流れるだけだった。
あのときと同じだ。あのときも先輩に連絡がつかなくて、まさか先輩が荷物をまとめて出て行ったのなんて気が付かなかった。俺たちはどこでどうすれ違ってしまったのだろうか?俺は先輩を怒らせることをしただろうか?先輩のお母さんから事故にあったと聞いて病院に向かった。先輩に会ったら聞こうと思ったのに先輩は記憶をなくしてしまっていた。しかもスーツケースまで持って出ていってたとは知らなかった。

「おい康太、どうだった?」

「あぁ悪い。電源が入ってないみたいだ」
俺は翔の存在をすっかり忘れていた。

「どこいったんだよ。傘は?持ってってる?」
そう言われて玄関に確認しにいったが先輩の傘は置いてあった。

「兄貴と上手くいってなかったのか?」
どう答えていいのかわからなかった。翔は俺と先輩があの夏のときから仲良くなっていったのを知っている。そして俺が大学生になったのをきっかけに1人暮らしを始めたて……ちゃんと付き合い始めた。先輩がこの家で同棲することになったときも引っ越しの手伝いをしてくれた。

「やっぱり先輩はまだ忘れられないのかもしれない。ずっと好きだったんだもんね。それをあんな風に言われて俺が間に入ったから……」

「それは違うぞ。兄貴はお前が助けてくれたって、だから辛かったけど立ち直れたって言ってたぞ」
俺と先輩が付き合えるきっかけがあったのはあの夏の出来事があったからだ。そうじゃなきゃ俺は今でも片思いのままでいたかもしれない。

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